【読み聞かせ②】うまく読もうとする必要はない。子どもたちが夢中になる「絵本の読み聞かせ」のコツ|絵本スタイリスト® 景山聖子

【読み聞かせ②】うまく読もうとする必要はない。子どもたちが夢中になる「絵本の読み聞かせ」のコツ|絵本スタイリスト® 景山聖子

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幼稚園や保育所での定番の活動である「絵本の読み聞かせ」。定番であるがゆえに日常的に行うことも多く、「読み聞かせが苦手……」「子どもたちの反応が薄い」といったふうに悩んでいる保育士さんもいるかもしれません。そこでアドバイスをお願いしたのは、保育士資格も持つ「絵本スタイリスト®」の景山聖子さん。意外にも、「うまく読もうとする必要はない」と景山さんは語ります。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

もっとも大切なのは、子どもとのコミュニケーション

「絵本の読み聞かせがうまくできない……」というふうに悩んでいる保育士さんにまず伝えたいのは、「うまく読もうとする必要はない」ということです。

わたしは仕事を通じて保育現場に行くことも多いのですが、絵本をうまく読んでいる人が子どもたちにとって心地のよい人かというと、必ずしもそうではないというケースも多く見てきました。そういう人には、「さあ、聞きなさい!」というようなエネルギーが出てしまっていることが多いように感じます。それでは、子どもたちはリラックスできないのです。

逆に、技術的にはうまく読めているとはいえない保育士さんであっても、子どもたちがリラックスして前に乗り出すようにして絵本に夢中になっているというケースもあります。

そういう人の特徴は、「子どもたちとコミュニケーションを取る」ことと「自分自身も楽しんで読み聞かせをしている」ことにあるように思います。それこそが、絵本の読み聞かせにおける最大のコツといっていいでしょう。

考えてもみてください。「絵本をうまく読もうとしている人」の意識はどこに向いているでしょうか? それは、絵本、あるいは自分自身であるはずです。子どもを主体としていないのですから、子どもたちが楽しんでくれるはずもありませんよね。

そうではなく、なにより大切なのは子どもたちとのコミュニケーションです。子どもたち一人ひとりの目を見て、反応を確認しながら読み進める。そして、主人公がピンチにおちいった場面なら「どうなっちゃうんだろう!」とハラハラした表情を見せたり、楽しい場面なら満面の笑顔を見せたりするなど、表情豊かに自分自身も絵本の世界を楽しむ。

読み手の楽しむ気持ちが伝わったときこそ、子どもたちは夢中になってくれるのです。

子どもたちのなかで最後にうなずく子のペースに合わせる

もちろん、それらの重要なポイントを押さえながら、読み聞かせの技術を磨いていくことも大切です。そうすることで、読み聞かせの時間を子どもたちがもっと楽しんでくれるようになるでしょう。ここで、わたしが考える読み聞かせのコツを紹介します。

【絵本の読み聞かせのコツ】
1.必ず予習をする
2.抑揚をつけるなど「変化」を意識する
3.読み聞かせがはじまる「合図」を決める
4.1冊読んだら、身体を動かす時間をつくる
5.子どもの素直な反応を受け止める

まずは一度目を通して、どこが盛り上げるべき場面なのかを把握しましょう。そして、そういったお話の内容に合わせて、速く読んだりゆっくり読んだりたっぷりと間を取ったりと、抑揚をつけてみてください。なぜなら、子どもたちは「変化」が大好きだからです。変化を意識すると、これまでよりも子どもたちはずっと楽しんでくれるようになるはずです。

もちろん、そのときには子どもたちの目を見て反応を確認することを忘れないでください。子どもたちは、内容を理解したときには自然にうなずいてくれるものですし、うなずかなくとも目を見ればそのことが読み手にも伝わります。そして、集団の子どもを相手に読み聞かせする場合には、いちばん最後にうなずく子どもに合わせたペースで読み進めてあげてほしいと思います。

また、保育士さんたちからよく寄せられる悩みのひとつに、「子どもたちがおとなしく静かに聞いてくれない」というものがあります。でも、それも当然のことです。次々といろいろなものに好奇心が向く子どもは、おとなしくずっと聞き続けるということが基本的にできません。それが、子どもなのです。

でも、習慣化によってそういったことを減らすことは可能です。そのための方法が、読み聞かせがはじまる「合図」を決めること。わたしは、パペットを使うことをおすすめしています。むかしから子ども向けのテレビ番組に欠かせないように、パペットに子どもたちは強い関心を示します。

絵本の読み聞かせをするときには、パペットにしゃべらせるようにふだんとは声色を変えて「絵本の時間だよ!」と語りかけ、最後に手を膝に置くといった歌詞の手遊び歌を一緒に歌うようにしてみてください。絵本の読み聞かせの時間になれば静かに手を膝においておとなしく聞くという習慣を徐々に身につけてくれると思います。

先まわりする子どもには、その反応を受け止めたうえで誘導する

ただ、そうはいっても、身体を動かしたい盛りである子どもたちは、10分もじっとしていたらストレスを感じてしまいます。絵本を1冊読み終わったら、子どもは騒ぎはじめるものだと思いましょう。

そこで、絵本を1冊読み終わったら、軽いものでいいので身体を動かす運動や遊びをするようにしてみてください。それが気分転換になり、子どもたちの集中力が戻ります。でも、足まで動かすようなものにしてしまうと収拾がつかなくなってしまいますので、座ったまま手の動きだけでできるものや歌を歌うといったことを推奨しています。

また、それぞれにキャラクターが異なる子どもたちのなかには、「僕、それ知ってる!」とったふうに大きな声を出して他の子の先まわりをしてしまう子もいるでしょう。でも、そういった場で「シーッ!」というふうに静かにさせようとしたり叱ったりするのはNGです。それが、その子の素直な反応だからです。

ですから、一度その反応を受け止めることを考えてあげてください。その子の目を見てにっこり笑ってその子の反応を受け止めるのです。それから、「○○君はいろいろなことを知ってるんだね、すごいね」「でも、知らない子もいるから、静かにしていられるかな?」といったふうに優しく誘導するようにしてあげてほしいと思います。

最後に、コロナ禍のいまだからことお伝えしておきたいことがあります。みなさんは保育現場でマスクをしているはずです。でも、最初に解説したように、絵本の読み聞かせにおいては読み手の表情がとても重要なもの。

また、周囲の人間の表情がきちんと見えることは、相手の表情から気持ちを読み取る能力を育むといったふうに、子どもの発達にとっても重要ともいわれています。

もちろん、いまは感染リスクを軽減することが最優先ですから、ふだんは飛沫飛散抑制効果の高いマスクを必ず着用すべきです。ですが、絵本を子どもたちがより楽しめるように、読み聞かせのときだけは、適切な距離を取ったうえでいわゆるマウスシールドといった透明のマスクを使ってみてもいいのではないでしょうか。

(社)JAPAN絵本よみきかせ協会 代表理事
絵本スタイリスト®
局アナからテレビ番組などのナレーターへ。一児の母になり絵本に特化。
NHK絵本朗読。保育園読み聞かせ研修多数。カルピスよみきかせ隊、
花王・パナソニック読み聞かせアドバイザー。
2021年保育士試験、実技(言語)満点で合格。

『ママが楽になる絵本レシピ31 子育ての悩みには“絵本”が効く!!』(著:景山聖子 /出版社:小学館)
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