チームワークを向上させる8つの名言【子どもと関わるあなたへ贈る魔法の言葉】#09

失敗して落ち込んだ時や人間関係に悩んだ時、ふと目に止まったひと言で心が軽くなったり、勇気がわいてきたりした経験はありませんか?このコーナーでは、仕事や人間関係などで迷いが生じた際に、みなさんの心の道しるべとなるような「名言」を集めて紹介していきます。今の気持ちに寄り添ってくれるようなひと言が見つかれば、明日からも笑顔でいられるはずですよ!
チームの結束力を高めて、最高のパフォーマンスを発揮しましょう!
春は人事異動や新規プロジェクトの立ち上げなどで、働く環境が変わることが少なくありません。「新しいチームで、うまくやっていけるかな?」「リーダーを任されたけど、チームを引っ張っていけるだろうか」。みなさんのなかにも、そんな不安や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
同じ職場で働く仲間とはいえ、性格や能力、経歴はバラバラ。息を合わせるのが難しいのは当然です。そこに仕事感やキャリアプランの違いが加わったら、ますます連携の難易度が上がるでしょう。だからこそ、じっくりと関係を構築して、最高にチームにしたいところですが……。そんな時間を与えられないまま、成果を求められる場合も少なくありませんよね。
そんなときは、先人たちの「名言」にならって、チームワークの向上を目指してみるのも一つの方法です。「たかが言葉」と思われそうですが、チーム内のモチベーションを高めたり、協力・結束を促したりする際、心を揺さぶるようなひと言は意外な影響力を発揮するものです。ましてや、過去の名言は先人たちの実績に裏打ちされたものばかり。きっと、最高のパフォーマンスを発揮するヒントになるはずでしょう。
成功の秘訣は、自分で仕事をするのではなく、仕事をさせる適材を見つけることだ。
――アンドリュー・カーネギー
「鉄鋼王」とも称されるアメリカの実業家。1835~1919年。貧しいスコットランド移民だったが、投資によって得た資金で鉄鋼業へ進出。当時最新の製鋼技術を取り入れるなどして大成功し、カーネギー鉄鋼会社を設立した。引退後は、ビジネスを離れ大学教育の振興や平和活動などに専念。
この春から新しいチームに所属し、チームリーダーになった方はいませんか?そんな方に質問です。「自分なりのリーダー像を持っていますか?」
ここに紹介したのは、アメリカの鉄鋼王・カーネギーが考えるリーダーシップのあり方です。自分ですべてをこなすのではなく、才能ある人材を見抜き、彼らに適切な役割を与え、力を発揮させることこそが組織全体の成功につながる——。チームをひっぱる立場になるとつい肩に力が入ってしまいがちですが、より大きな成果につなげるためには、個々の強みや能力を生かしながら、チーム全体の力を最大化する必要があります。それを考えるなら、あれこれ指示するだけでなく、部下の自主性を尊重し、成長を促すことも大事ですよね。
どんなことも細かく分ければ、特に難しくはない。
――ヘンリー・フォード
アメリカの実業家。1863~1947年。エジソン照明会社でエンジニアとして働きながら自動車用エンジンの試作を続け、独立後にフォード・モーター社を創業。第二次産業革命末期に安価な大衆車「T型フォード」を大量生産し、世界の労働者のライフスタイルを一変させた。
突然大量の仕事を割り振られたり、急なプレゼンが入ったりして、キャパオーバーになってしまった。そんな経験はある方は、意外に多いものです。仕事量が多すぎると、「やるしかない」と頭で理解していても、どこから手をつけていいかわからなくなりますよね。でも、ヘンリー・フォードはこう言います。やっかいな仕事を一度に処理しようとしたり、一人で処理しようとしたりするから困惑するのだ、と。要は、タスクを細分化して、優先順位とスケジュールを決め、チームに振り分ければ、仕事で頭を抱えることはなくなるということです。当たり前のことですが、気持ちが焦るとそれどころじゃなくなったりするもの。「細かく分ける」という意識を徹底して、チーム力の向上を目指しましょう。
欠点というものは、お互いの心を結び付ける強い絆になりうる。
――リュック・ド・クラピエ・ド・ヴォーヴナルグ
フランスの思想家。1715~47年。軍人としてヨーロッパ各地を転戦するも、凍傷にかかり28歳で退役。31歳で世を去るまでに残した著作が、後にロマン主義の先駆けとして高く評価された。同時代を生きた、哲学者のヴォルテールとは友人同士。
仕事がうまくいかないとき、あなたはどうやって事態の解決を目指すでしょう。「自分の責任だから」とあくまで一人で何とかしようとする? それとも同僚や上司に相談する?「相談するのはカッコ悪い」と思う人もいるかもしれませんが、「自分の欠点や弱さをさらけ出して、助けを求めることは全然恥ずかしいことじゃない」というのが、ヴォーヴナルグの言い分です。同じチームの仲間であれば、頼られるのはうれしいこと。弱みを見せることは、お互いを深く知ることにもつながるため、信頼関係はより強固になるはずです。「欠点が絆になる」をチームの合言葉にして、結束力を高めてみてはいかがですか?
あなたにもし『完璧主義者的なところ』があったとしても、他人に自分と同じように完璧であることを期待してはいけない。
――ナポレオン・ヒル
アメリカの自己啓発作家。1883~1970年。教師や実業家として働きながら執筆活動を続け、1936年出版の『思考は現実化する』が世界的ベストセラーに。同書は、アンドリュー・カーネギーなどを例にとって成功法を指南する本で、その後のビジネス書に大きな影響を与えた。
何事にも高いレベルを求めるのは、競争社会を生き抜くうえで大事なことです。細部まできちんと目配りすれば、つまらないミスを未然に防ぐこともできるでしょう。でも、完璧主義はときに両刃の剣になります。仮に完璧主義なあなたが、プロジェクトリーダーになったとしましょう。その際、自分自身の厳格な基準を周囲に押し付けたり、失敗を避けるために挑戦を避けがちになったりしたら、チームはどうなると思いますか? みんなが萎縮して、生産性が上がらなくなる可能性大です。ミスはあって当たり前。そんなときはみんなでフォローすればいい。そのくらいの意識でいたほうが、チームとしてはうまくいくかもしれませんよ。
成功とは、失敗が続いても、情熱を失わないでいられる能力である。
――ウィンストン・チャーチル
イギリスの政治家、軍人、作家。1874~1965年。文筆活動で得た知名度を武器に、騎兵将校から政治家へと転身。1940年から第二次世界大戦の終結まで首相を務め、イギリスの本土防衛に成功するなど、連合国勝利に大きく貢献した。戦後、第二次内閣の任期中に『第二次大戦回顧録』でノーベル文学賞を受賞。
チームでの取り組みに失敗はつきもの。とはいえ、その程度がひどければ、チームの団結が危うくなる場合もあります。メンバーがお互いに責任を押し付け合って、会話がなくなり、雰囲気もよどんでいく……。なかなかつらい状況ですよね。そんなときは、ウィンストン・チャーチルの言葉を思い出しましょう。チャーチルは、イギリスがナチスドイツの猛攻撃を受けるなか、国民をひとつのチームにまとめあげ、「バトル・オブ・ブリテン」に勝利した名宰相。そんな彼の哲学は、「失敗続きであっても前向きでいられることこそが成功である」でした。戦時の国家運営において、インシデントやアクシデントは避けられないもの。だからこそ、状況が変わるたびに一喜一憂するのではなく、常に前向きな気持ちで進んでいくことが大事なのです。チーム全体がネガティブモードに突入する前に、成功や失敗の捉え方を見直してみましょう。
少数精鋭とは、少数の精鋭社員で事業をやるのではない。少数の凡人で事業をやっていくうちに精鋭になっていくことである。
――中島迪男
日本の経営者。1926~2006年。国内有数の時計メーカー・シチズン時計株式会社の創業家に生まれる。大学卒業後に同社へ入社。1987年より10年間社長を務め、その後は会長、相談役を歴任した。
「少数精鋭」という言葉を辞書で引いてみると、「選び抜かれた少数の優秀な兵士」と書かれています。優れた人材ばかりのぜい肉ゼロ集団。それはチームのひとつの理想像といえますよね。しかし、中島迪男はこの言葉を少し違った意味で捉えていました。彼の考える少数精鋭とは、凡人ばかりの小チームが経験によって研ぎ澄まされ、気が付けば精鋭集団になっていること。背景にあるのは「努力を続ける限り誰もが成長できる」という温かい人間観と、「会社が人を育てて一流にする」という経営者としての矜持です。こなせるかどうかギリギリの難易度の仕事ほど、学びが多いことは事実。少数で困難なプロジェクトに挑むときは、この言葉を思い出してモチベーションアップにつなげてみては?
重要なことは、自分の持ち場、自分の活動範囲においてどれほど最善を尽くしているかだけ。
――ヴィクトール・フランクル
オーストリアの精神科医、心理学者。1905~97年。ウィーン大学でフロイトやアドラーらに学び、患者に「生きる意味」を見出させることで心をケアする「ロゴセラピー」療法を創始した。ナチスドイツによって家族とともに強制収容所へ送られた壮絶な体験を振り返る著書『夜と霧』でも有名。
ヴィクトール・E・フランクルはフロイト、ユング、アドラーと並ぶ、心理学の巨頭です。ある日、そんな彼のもとに一人の青年があらわれてこう言いました。「あなたは人々を手助けしたり、立ち直らせたりしている。私はと言えば一介の洋服屋の店員です。私は、どうすれば人生を意味あるものにできるんですか」と。そして、青年に対してフランクルが返したのが、前述の言葉でした。
人は他人の仕事をうらやんだり、見下したりしがちですが、「人間の価値とは選んだ職業や過去の実績で決まるものではない」というのが彼の考え方なのです。どんな会社に勤めているか、どんな仕事をしているかではなく、どんな姿勢で仕事をするかが幸福感を左右する。自分の置かれた場所で最善を尽くし、自身が輝けるような働き方をすれば、仕事は自然と創造性に満ちたものになる。素敵な考え方だと思いませんか? チームの仲間が自分の仕事や立場に迷いを感じているときは、こんな言葉をかけてあげたいですよね。
仕事をするときは上機嫌でやれ。
――アドルフ・ワーグナー
ドイツの経済学者、財政学者。1835~1917年。19世紀末のドイツ帝国において、労働者の生活環境の改善などを国家に求めた「新歴史学派」の論客。資本主義国の経費支出が増大していく傾向を「経費膨張の法則」として定式化した。
仕事をしているとき、知らず知らずのうちに眉間にしわがよっていたりしませんか? 仕事というのは、けっして楽なものではありません。ときにはつらい思いをしたり、理不尽さを感じたりすることもあるでしょう。でも、だからといって不機嫌そうな顔をしていたら、まわりまでどんよりしてしまいます。仕事は一人ではできないからこそ、できるだけ笑顔でいたいですよね。ちなみに、笑顔をつくると表情筋の動きが脳に伝わって、ドーパミンやエンドルフィンが分泌されやすくなるのだとか。つまり、笑顔にはチームの雰囲気をよくするだけでなく、仕事の効率をあげる効果も期待できるわけです(楽しんでやったほうが、仕事がはかどるからです)。さっそく「仕事をするときは上機嫌で」を実践してみましょう!
まとめ
リーダーとしてチームをひっぱるときは、カーネギーやフォードのアドバイスを思い出してみましょう。産業革命という変革の嵐のなか、大きな成果を上げた彼らがチームを動かすときに重視したポイントは、「まず部下を生かすことを考える」ことと「タスクの割り振りを工夫する」こと。AI時代を生きる私たちの仕事にも、しっかりあてはまるはずです。
一方、ヴォーヴナルグやナポレオン・ヒル、そしてチャーチルは、失敗や欠点をポジティブに捉えるよう説いています。チームの足を引っ張っているのがあなたであっても、別の誰かであっても、みんなで解決すべき課題。自責の念やイライラは脇に置いて、改善方法を考え、実践することに時間を使いましょう。そうすれば中島迪男が言うように、いつかあなたのチームも精鋭集団になれるはずです。
ワーグナーの言葉もシンプルながら印象的ですよね。笑顔のない職場ではチームワークも期待できないというのは、もっともな話。基本「上機嫌」でいきましょう!