図鑑の読み方・使い方に関する親野智可等先生の名言 「学力が伸びる子は図鑑が好き! 教育評論家の親野智可等さんに聞く、図鑑が『最強の教育ツール』である理由」のインタビュー記事より【子どもと関わるあなたへ贈る魔法の言葉】#10

仕事をしていると、必ずと言っていいほど悩んだり、逃げ出したくなったりする場面があります。もしかすると、人生には楽しいことと同じくらい、試練があるのかも。だからこそ、壁にぶつかった時は上手に気持ちを切り替えることが大事です。このコーナーでは、「ほいくらし」に掲載されたインタビュー記事や対談記事のなかから、前向きになれる言葉や学びになる言葉などを厳選して紹介します。識者や人生の先輩方の“名言”に耳を傾けて、気持ちを切り替えるためのきっかけにしてください。
今回紹介するのは、教育評論家である親野智可等(おやのちから)先生の言葉です。先生が言うには、図鑑を上手に使うことで、子どもの学力がぐんと伸びるのだとか。そこには、どんな理由があるのでしょうか。
図鑑は最強の教育ツールである。
――親野智可等(教育評論家)
教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)などベストセラー多数。Instagram、Threads、X、Blog、Yahoo!ニュース、メルマガや各種メディアの連載などで発信中。オンライン講演を含む全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
図鑑を眺めているだけで、知識量が圧倒的に増える!
近年、子どもを対象にした「学習図鑑」の人気が高まっているのをご存じですか? 以前の図鑑は、さまざまな昆虫や動物が一覧で紹介されている博物学的なものが一般的でしたが、現在はビジュアル重視の図鑑が主流。いまにも動き出しそうな躍動感のある写真やイラストがたくさん使われていて、わくわく感が格段に向上しているんです。
なかには、一つのテーマに沿って編集された図鑑もあり、こちらも子どもたちに大好評。「くらべる」がテーマの図鑑を例にとると、クジラの体長とビルの高さを比べたり、人間でいちばん速く走れる人と動物の速さを比べたりと、図鑑というより絵本のようなつくりです。
では、なぜそうした図鑑が最強の教育ツールになるのでしょうか。
「図鑑は、楽しく読めるうえに情報量も充実しているので、眺めているだけで知識量が圧倒的に増えます。そして、知識が増えると『もっと知りたい!』と知的好奇心が旺盛になり、学ぶことが楽しくなります。その結果、学力がぐんぐん伸びていくのです」というのが、親野先生の考え方です。
確かに、「図鑑って楽しい」「知らないことを知るのはうれしい」という意識が芽生えれば、先生が言うような良好なサイクルが生まれそうです。図鑑を見たり、読み聞かせをしてもらったりするなかで、ひらがなやカタカナの読み書き能力も身につくので、読解力や表現力も磨かれるでしょう。
また親野先生は、臨場感のある写真やイラストで、「プチ本物体験」ができるのも図鑑のよさだと言います。子どものうちは行動範囲が限られるので、見たり触ったりできるものが限られますが、図鑑のなかでなら恐竜やクジラ、ロケットにだって簡単に出会えます。そうやって「自分の知らない世界に触れることの楽しさ」を知れば、知識欲や学習意欲はさらに高まりそうですよね。
親と一緒に楽しむことで、子どもは図鑑好きになる
とはいえ、「せっかく図鑑を買ったのに、子どもが見てくれない」という声を聞くことも、けっして少なくありません。この点についての親野先生のアドバイスは、「図鑑を買って与えればそれでいいという発想ではダメ。特に未就学児の場合は一緒に見る、読み聞かせる、相手をしてあげるなどのサポートすることが大事です」というものでした。
たとえば、図鑑を一緒に見ながら「りんごはどれ?」とクイズを出して、正解したらほめてあげる。テレビ番組で見慣れない動物が取り上げられていたら、「動物図鑑で見てみよう」と図鑑を開いて一緒に確認する。そういったコミュニケーションがあってこそ、子どもは図鑑が好きになり、「もっと読みたい」と思うようになるのだそうです。
環境づくりという点では、すぐ手に取れて、すぐ読める場所に図鑑を置くことも大事です。読み終えた絵本や図鑑は、つい本棚に片づけたくなるものですが、子どもにとって使うたびに出し入れするのは面倒な行為。次第に手に取らなく気持ちもわからなくはありません。
置き場所は家族と一緒に読めるリビングがよいそうなので、夜に本棚に片付けたとしても、子どもが保育園から帰る前にはリビングに出しておきましょう。そうやって、手に取る機会を増やせば、きっと図鑑=最強の教育ツールになるはずです!