保育士の「伝え方」がクラスの雰囲気を左右する!クラスの雰囲気が明るくなる言葉選びのポイントとは【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

保育士の「伝え方」がクラスの雰囲気を左右する!クラスの雰囲気が明るくなる言葉選びのポイントとは【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

子どもたちが毎日過ごす保育室は、ゆったりとした雰囲気や落ち着いた雰囲気が欠かせません。そんな保育室が子どもたちにとって居心地の悪い場所になっていないでしょうか。そこでポイントとなるのが明るいクラス作りですが、実は保育士がたった1つのポイントに気を付けるだけで全く違ってくるのです。

今回は子ども同士の仲が良い、明るいクラスを運営する方法についてご紹介していきたいと思います。

「伝え方」でクラスの雰囲気が変わるその理由

保育の中で子どもたちへ話す時、「伝え方」には様々な選択肢があります。例えば、「静かにしてもらえる?」と「ちょっとうるさいよ!」はどちらも意味がほとんど同じですが、言葉を受け取る方は全く印象が違いますね。

日々の保育に追われていると、意図せず強い言葉を選んでしまう場面はどうしても出てきてしまうもの。強い言葉を使うことで、受け取った方は自分のことを否定されたように感じてしまいます。保育者が否定的になると、子どもたちは何をするにも保育者の表情を伺うようになります。そして子どもたちは否定されることを恐れ、消極的になってしまいまうのです。

さらに、このような伝え方は子どもたちの言動にも影響します。保育士の言葉を聞き、子ども同士の関わりでも同じようなやり取りが見られるようになることで、それがトラブルの原因となるのです。

他にも「〇〇君がうるさかったから叩いたの」というように、言葉以外の方法で伝えようとするようなケースも見られます。叩かれた方は突然のことに驚くばかりで、「静かにしてほしい」という意図は当然相手に伝わりません。

他者とのやり取りの中で、自分の思いを相手に伝えること自体は正しいことです。しかし、適切な伝え方を知らないことは適切な人間関係を築くことが難しくなるばかりか、トラブルの原因にもなってしまいます。このようなことから、伝え方に注目することは重要だと言えるでしょう。

伝え方のポイントはお願いすること

自分の思いを相手に伝える上で、トラブルにならないようにするには伝え方が大切です。柔らかく伝えるためには、疑問形にしてお願いをする伝え方がよいでしょう。

「静かにしてください」よりも「静かにしてもらえる?」の方がより優しく聞こえますね。そうすることで、決定権は相手にあることを示しながらも自分の思いを丁寧に伝えることができます。そして、聞き入れてもらった時には「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。

時には受け入れてもらえないこともあると思います。しかし、子どもを叱る必要はありません。そんな時は「こういう意見がクラスの中で出ました。皆さんはどう思いますか?」とクラス全体を巻き込んで話し合えば良いのです。クラス全体で話し合うと、特定の子と話すためにクラスの活動を止める必要はなくなります。

みんなの前で特定の子だけを叱ってしまうと、クラスの空気が悪くなってしまいますが、お願いをする伝え方であればみんなの前で話しても問題ないのです。

そして、保育士はそこで出た結論やルールにしたがって行動すれば問題ありません。みんなに投げかけることで、1つの問題を色んな子どもの視点で多角的に捉えることができるため、新しい意見や解決方法が出てくることが多々あります。

丁寧な言葉を選ぶことで、その思いは正確に相手に伝わるものです。日頃から柔らかい言葉を使うようにすることで、明るい雰囲気になっていくことでしょう。

保育士の言葉は子どもたちの見本

気を付けていただきたいのは、言葉遣いは指導するものではないということです。

丁寧な伝え方、優しい伝え方ばかりに気を取られてしまうと、「その言い方は良くないよ」「もっと違う言い方があるでしょう」などと相手をコントロールしようとする方向へ向かってしまいます。丁寧に伝えることを大切にしているのに、これでは本末転倒ですね。

言葉遣いは常に後から付いてくるもの。保育士の言葉が強いと、子どもがそれを真似してしまうのは当然のことです。保育士は子どもたちにとって見本であり、教えるよりも行動を見せることで子どもたちの言葉遣いは少しずつ変わっていくもの。

そうやって優しい言葉で溢れるクラスこそが、ゆったりと過ごせる明るいクラスになっていくのではないでしょうか。

保育士ライター
東京都で働く現役の保育士。 自身の子育てや育休の経験を通して家庭保育の大変さを痛感し、子育て支援のための活動を始めた。
「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに育児の楽しさを伝える活動を精力的に行っている。
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