外遊びはなぜ大切?外遊びで感性が育つ理由と意外な2つのメリットとは【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

外遊びはなぜ大切?外遊びで感性が育つ理由と意外な2つのメリットとは【ぽん先生 保育のお悩み相談室】

皆さんは、外遊びによって育まれる力について考えたことはありますか。保育所保育指針の解説では、全身を使う運動を適度に取り入れることが推奨されており、外遊びもその1つに当たると思います。

しかし、単純に体を動かすだけでなく、外へ出ることは子どもの感性を育む上で重要なことなのです。今回は外遊びで感性が育つ理由と、外遊びの意外なメリットについてご紹介します。

なぜ感性が育つのか

室内で玩具を使って遊ぶことと、外遊びで自然と触れ合って遊ぶことにはどのような違いがあるのでしょうか。これは玩具が人工物であることに関係しています。

例えば、乳児が使うような仕掛け付きの布絵本で考えてみましょう。このような玩具には多くの仕掛けが施されていて、シャカシャカと音がなるようになっていたり、ファスナーやマジックテープのように指先が刺激されたりするようなものがついています。

玩具は「こういう感覚を育てたい」という思いを込めて作られたものです。これは跳び箱や鉄棒などのような運動器具についても同じで、運動の有無にかかわらずその意図が変化するものではありません。

一方で、自然物はそうではありません。戸外へ出たらまずは日の光を感じることができます。風も吹いています。暑い日もあれば寒い日もあり、鳥が鳴いていることもあれば、鳴き声が一切聞こえない日もあります。

目の前に葉っぱが落ちていたとして、柔らかいものもあればパリパリと崩れてしまう固いものもあります。また、緑のものもあれば赤いものもあり、その中間の色のものもあります。また、数日程度で枯れてしまうことも玩具にはない1つの特徴でしょう。

砂場の砂も気温や湿度、前日の天気、日向と日陰の場所などで、手触りは全く違ってきます。そして、それは実際に砂に触れてみないと味わうことのできない感覚です。

このように、自然からは人間の想像を超えた様々な感覚を五感を通じて全身で感じ取ることができます。そして、常に変わり続けるものであり、これらは1つとして同じものはありません。こういった日々の微妙な違いやその変化を全身で感じる中で感性が育つのだと言えるでしょう。

想像力を広げるのは「意味のないもの」

例えば、積み木は積んで遊ぶために作った遊具です。投げたり踏んだりする姿を見たら、保育士としては「使い方が違うよ」と注意しなくてはならないと思います。

一方で、自然物はそうではありません。例えば小石は、積んで遊んでも、並べて乗っても、地面に絵を描いても、穴を掘っても誰にも注意されることはありません。また、石同士をぶつけ合って音を鳴らしても、周囲の人に危険がなければ特に止める必要はありませんね。このように、五感で感じたことや試してみたいと思ったことをそのまま表現できるのは自然物を使った遊びならではの表現です。

意味のないものとの触れ合いは、自分で意味付けしないといけません。目の前にあるものと純粋に向き合い、想像力を広げながら遊ぶことは自然物ならではの遊び方です。

ただし、始めから自分で意味付けして想像しながら遊べる子はいません。これらは保育士が一緒になって遊びを楽しむ中で、少しずつ身に付く力です。

外遊びで友達との関わりも広がる?

戸外で自然と触れ合うと、心が開いて友達との関わりが広がるというメリットもあります。これは正直なところ、言葉で説明するのは難しいと思います。

例えば、町を歩いていて知らない人と挨拶することはほとんどありませんね。一方で、登山を経験したことのある方は分かると思いますが、山を歩いていると知らない他人に挨拶がしたくなりませんか?

一般的に登山中の挨拶には、遭難の防止や情報交換などの意味があると言われますが、本当にそれだけでしょうか?私自身の体験からしても、登山中に困っていそうな人を見つけたら積極的に声をかけられる方が多いように思います。

ここには、自然と関わることで気持ちがリセットされてニュートラルな気持ちでいられることが関係していると思います。このような気持ちでいれば、砂場で山を作るのも「こんなことをしてみよう!」「こうしてみたら良いんじゃないか?」とコミュニケーションが広がりますね。

気分がスッキリすると、些細なことが気にならなくなります。周りの人と気持ち良く関わる機会が増えると、自然と笑顔が増えて、互いに自分の思いを伝えやすくなるのです。

このように、外遊びには「想像力が広がる」と「友達との関わりが広がる」という2つのメリットがあります。運動としての外遊びだけでなく、このような視点を大切にすることで子どもの姿から新たな発見があるのではないでしょうか。

保育士ライター
東京都で働く現役の保育士。 自身の子育てや育休の経験を通して家庭保育の大変さを痛感し、子育て支援のための活動を始めた。
「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに育児の楽しさを伝える活動を精力的に行っている。
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