保育士さんが考える「理想の保育園」ってどんな園?アンケート結果発表!

保育士さんが考える「理想の保育園」ってどんな園?アンケート結果発表!

イヤイヤ期真っ最中の“にこちゃん”が主人公の人気絵本『おにのこ にこちゃん』(発行:ポプラ社)と、マイナビ保育士によるコラボ企画が実現! この企画は、有識者のインタビューや保育士のみなさんからのアンケートをもとに「理想の園」を考え、にこちゃんの絵本に登場させようという夢のプロジェクトです。第4回は、「保育士さんが考える理想の保育園」についてのアンケート結果をご報告します。現場で活躍する保育士のみなさんが思い描く「理想の保育園」とは?

保育士さんが考える「理想の保育園」 アンケート結果発表!

今回、保育士のみなさんに質問したのは、それぞれが思い描く「理想の保育園」についてです。どのような設備や環境が理想か、理想の保育園で働くならどんな保育士になりたいかなど、6つの項目にお答えいただきました。

【アンケートに答えてくれた保育士さん】

対象エリア全国
年齢30代を中心に20~60代以上
経験年数15年以上を中心に1~25年以上
保有資格保育士のほか、幼稚園教諭一種・二種など
事業形態保育所・子ども園を中心にデイサービスや幼稚園など
(2023年3月1日~17日実施)

20代で経験年数3年未満の新人保育士さんから、60代以上で経験年数25年以上のベテラン保育士さんまで、たくさんの保育士の方がアンケートに答えてくださいました。みなさん、たくさんのご回答ありがとうございます! それではさっそく、アンケートの結果を見ていきましょう。

Q1.みなさんにとって「理想の保育」とはどのようなもの?

1.子どもが主体となって活動できる「子どもファースト」の保育 62%
2.子どもたち一人ひとりの興味関心に合わせた保育 77%
3. 子どもの「したいこと」にていねいに寄り添える保育 93%
4. 多様性(一人ひとりが違っていること)を認め合える保育 70%
5. 時代に合わせて新しいことに挑戦できる保育 47%
6.自分の「得意なこと」を生かせる保育 31%
7.多彩なカリキュラムが揃っている保育 8%
8.そのた4%

保育士のみなさんの声をピックアップしてご紹介!

保育士のみなさんのリアルな声

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30代/保育士
「保育士の人材不足のせいか、時間に追われて集団行動優先になってしまう園が増えているように感じます。そんな時代だからこそ、子どもの「したいこと」にていねいに寄り添っていきたいですね」(30代/保育士歴5~7年未満)
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30代/保育士
「子どもが「したい」と思うことは、一緒に深めていけるし、保育のヒントにもなります。決して保育者主導にならず、子どもファーストで環境を整え、適切な見守りと援助ができたらいいなと、いつも思っています」(30代/保育士歴15~20年未満)
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30代/保育士
「みんな違ってみんないい! そんなふうに多様性を認め合える保育は、これからの時代に必要だと思います」(30代/保育士歴10~15年未満)
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40代/保育士
「多様なカリキュラムや、園としての新しい挑戦も必要だとは思います。でも、それ以上に「自分が愛されている」と実感できる環境、「したいこと」を受け止めてもらえる環境をつくって、自己肯定感を高めていくことを優先したいです」(40代/保育士歴8~10年未満)

編集部からのコメント

理想の保育園について、保育士さんたちが「いちばん重視したい」と答えたのは、ダントツで子どもの「したいこと」にていねいに寄り添える保育でした! 「子どもファースト」「興味関心に合わせる」「多様性を認め合える」というのも、すべて子どもの気持ちに寄り添わなければ実現できないことですよね。

Q2.みなさんにとって「理想の保育園(設備面)」とはどのようなもの?

1.子どもたちがリラックスして過ごせる設備・遊具などが整っている 85%
2.保育室に子どもたち一人ひとりの居場所(専用の机、ソファなど)がある 50%
3.保育士が働きやすい設備(作業スペースや休憩室)および備品が整っている 93%
4.セキュリティ・防災対策が徹底している 58%
5.保育業務がICT化されている 43%
6.そのた 4%

保育士のみなさんのリアルな声

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30代/保育士
「家よりも多くの時間を、保育園で過ごしている子どもがたくさんいます。それを考えると、遊具や玩具が充実していることはもちろんのこと、疲れたときに「ほっ」とできるような物的環境・人的環境が整っているのが理想です」(30代/保育士歴15~20年未満)
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60代/保育士
「みんながリラックスして過ごせれば、園のなかが笑顔でいっぱいになるはず! 理想の園をつくるなら、子どもたちがリラックスして過ごせる設備・遊具などが整った環境にしたいです」(60代/保育士歴25年以上)
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30代/保育士
「自分が理想の園をつくるなら、子どもたちが「自分の居場所」だと感じられる場所、落ち着いて過ごせる場所にしたいです」(30代/保育士歴15~20年未満)
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30代/保育士
「子どもたちにとって、安心安全に過ごせる環境・設備が第一ですが、保育士が働きやすい環境も大事だと思います。きちんと休憩を取らずに働く人も多いと聞くので、気持ちや体をリセットできるような休憩スペースがあるといいかもしれません」(30代/保育士歴15~20年未満)

編集部からのコメント

理想の保育園の「設備」について、保育士さんたちが重視しているのは、子どもたちがリラックスして過ごせる設備・遊具などが整っていることでした! 長時間過ごす保育園だからこそ、落ち着いて過ごせる設備が大切と考えている保育士さんが多いようです。

また、それと同じくらい「保育士が働きやすい設備」を重視する方も見られました。余裕のない保育は、子どもにしわ寄せがいってしまいます。子どもも大人も、どちらも心地よく安全に過ごせる設備が第一ですよね。

Q3.みなさんにとって「理想の保育園(環境面・社会面)」とはどのようなもの?

1.周囲に自然が多い 74%
2.遊びの想像が膨らむような園庭がある 85%
3.地域の方たちとの交流がある 39%
4.保護者が保育や園行事に積極的に参加してくれる 35%
5.職員同士の情報交換・意見交換が活発 85%
6.そのた4%

保育士のみなさんのリアルな声

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50代/保育士
「周囲に自然があることは、とても大事だと思います。現在、自分が働いている園は、すぐそばに森があるので、木の実で製作物をつくったり、おままごとをしたりと、子どもたちは自然のなかで想像を膨らませながら楽しんでいます。リスなどの小動物が遊びにくることもあるんですよ!」(50代/保育士歴1~3年未満)
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30代/保育士
「職員同士の情報交換や意見交換が活発になれば、偏りのない保育につながると思います。それを考えると、クラス単位ではなく園全体で情報を共有して、考察・改善していけるような環境が理想ですね」(30代/保育士歴5~7年未満)
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60代/保育士
「さまざまな世代の方、多種多様な職業の方との交流があると、人を思いやる気持ちや協調性が身につくと思います。だからこそ、地域の方たちとの交流できる環境も大事にしたいですね」(60代/保育士歴15~20年未満)

編集部からのコメント

理想の保育園の「環境面・社会面」を尋ねた質問では、遊びの想像が膨らむような園庭があることを重視する保育士さんが多く見られました。子どもの発想力は無限で、与えられた空間でどんどん遊びを発展させていきます。想像力を刺激できるような園庭や、情緒を豊かにする自然との触れ合いがあれば、子どものさまざまな力を引き出せそうですよね! また、職員同士の情報交換・意見交換を重視している保育士さんも多数いらっしゃいました。園全体で考え方、やり方を常にアップデートし、多様化する子どもの特性に対応しようとする姿勢は、とても大事だと思います。

Q4.理想に向かってチャレンジできている?

YES 58%
NO 42%

「理想に向かってチャレンジできている」と答えた保育士さんは約65%。多くの保育士さんが、理想の保育園の実現を目指して努力されているようです。常に子どものことを考え、理想にチャレンジする姿勢には、本当に頭が下がります!

Q5.理想にチャレンジする際に「あったらいいな」と思うものは?

他園の取り組みを見学する機会 33%
職場のみんながディスカッションできる場 47%
職場以外の保育士さんと情報交換・意見交換をする場 20%

編集部からのコメント

理想にチャレンジするにあたっては、職場のみんながディスカッションできる場を求めている方が多数派でした。日々の業務に追われていると、行事の打ち合わせなどで職員会議の場を設けるのも一苦労。それだけに、「保育士一人の思いだけでは保育園は変えられない」「保育園全体で話し合って理想の保育園に近づけたい」という思いが強いようです。

あわせて、「理想をかなえるために課題となっているもの」についても聞いてみたのですが、そちらには「時間的な余裕がない」という声が多く寄せられました。思い描く理想があるのに、時間を確保できない……。とても難しい問題です。

Q6.「理想の保育園」で働けるならどんな保育者でありたい?

保育士のみなさんのリアルな声

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50代/保育士
「私自身は決して若いとは言えない世代なので、若い先生たちが働きやすく、保育しやすいようにサポートする「縁の下の力持ち」になりたいです」(50代/保育士歴1~3年未満)
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20代/保育士
「子ども主体の保育ができる保育者、子どもたちと同じ目線で物ごとを楽しめる保育者でありたい! また、ずっと目標としている「第2の母親」のようなあたたかさを持って、仕事をしたいです」(20代/保育士歴5~7年未満)
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30代/保育士
「保育士同士、いいところは「いいね!」と言い、違うところは「違うんじゃない?」と言えるような関係をつくりたいですね。そうやって、お互いに高め合いながら、子どもたちのお手本になれるような保育者を目指したいです」(30代/保育士歴15~20年未満)
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30代/保育士
「子どもたちと一緒に思い切り遊び、いろんな気持ちに共感しながら、1人ひとりに寄り添った保育ができる存在でありたいです」(30代/保育士歴15~20年未満)
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30代/保育士
「ある程度の指導は必要だと思います。でも、子どもたちにとって「ただの指導者」に見えるのはダメ。その点には十分気をつけたいです」(30代/保育士歴15~20年未満)
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40代/保育士
「子どもたちのやりたいことに目を配り、耳を傾けながら、遊びの手助けやヒントを出せる保育者でありたいです」(40代/保育士歴8~10年未満)

編集部からのコメント

アンケートには、こちらが想像した以上に素敵な声が集まりました。子どもたちが思いきり遊べるようにつとめながら、保育士同士で助け合い、いい関係を築こうとするのは、まさに理想の保育園で働く、理想的な保育士だと感じます。

「子どもにていねいに寄り添う」こと、そして「保育士が働きやすく意見を交換しやすい環境を整える」ことは、どちらも同じくらい大切です。そして、子どもに寄り添うためには職員の連携が不可欠です。職員が同じ思いを共有することで、しっかりと子どもに寄り添えるようになるのではないでしょうか。

「理想の保育園」が実現しますように……

保育士のみなさんの素敵な言葉によって、少しずつ理想の保育園像が見えてきました! こうした声を反映した保育園なら、イヤイヤ期真っ最中の“にこちゃん”も、大喜びなのでは? 

最後に、記事中のイラストを担当してくださった原あいみさんに、アンケートへの感想や「理想の保育園」に対する思いをお話していただきましょう。

子どもの成長を一緒に喜んでくれる先生は偉大です!

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イラストレーター
原 あいみさん
保育士のみなさんが、まるでわが子のように子どもたちのことを考え、理想の園を思い描いてくださっていることに感動しました。保育園は、子どもが自分と過ごすよりも長い時間を過ごす場所。だからこそ、子どもの成長を一緒に喜び、おもしろがってくれる先生の存在は、本当に偉大なんです。娘が大きくなった今でも、当時の先生には感謝の気持ちでいっぱいです! でも、先生だって人間。疲れていらいらすることだってあるでしょう。とにかく園で働くみなさんが毎日笑顔で心地よく、子どもたちと接することができるように、そして、みなさんの思いがしっかりと保育の現場に届くように、と切に願います!

【原 あいみさん プロフィール】
イラストレーター。『おにのこ にこちゃん』の絵を担当しているほか、企業や商品のイメージキャラクターも数多く手がけています。難しいことをわかりやすくマンガで伝えることが得意で、2歳だったころのわが子をモデルに、リアルで愛くるしい“にこちゃん像”を作りあげました。Twitterにて、にこちゃんのマンガ「きょうもにこまるけ。」も配信中(毎週水曜朝8時)。

今回は、理想の保育園に関するアンケートの結果をご紹介いたしました。子どものため、そして保育士のため。みなさんが思い描く保育園はとても魅力的なものだと感じます。しかし、一方で「理想をかなえるための時間的な余裕がない」など課題も浮き彫りに——。

そうしたなかで、理想の実現を目指すには、「どうせできない」「うちの保育園ではムリ」ではなく、一人ひとりが「自分の思い描く理想」を持ち、前に進んでいくことが大事です。

本記事をご覧になっている保育士さんも、「理想の保育園ってどんなもの?」「働くならどんな保育園がいいかな?」などについて、ぜひ一度想像してみてください。そして、想像した理想に近づくために、一歩ずつがんばっていきましょう!

文/保育士ライター 山本彩香

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