【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方①「自己肯定感」ってなんだろう? 「6つの感」から成り立つ自己肯定感

【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方①「自己肯定感」ってなんだろう? 「6つの感」から成り立つ自己肯定感

メディア等を通じて注目度が高まっていることもあり、「自己肯定感」という言葉を見聞きしたことがあると思います。ただ、自己肯定感といっても、それがどれだけ重要なもので、どうすれば高めることができるのかは、なかなか知り得ないことです。そこで、自己肯定感ブームを作った第一人者であるカリスマ心理カウンセラーの中島輝さんが、保育士のみなさん、そして親御さんに向けて、自己肯定感に関する様々な疑問に答えてくれる連載がスタートしました。第1回目のテーマは、「そもそも自己肯定感とはなにか?」です。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ イラスト/深蔵

人生をよりよい方向に導いてくれる自己肯定感

一般的には、「自己肯定感」とは「ありのままの自分を肯定し、認めることができる感覚」のことであり、もっと簡潔にいえば、「しっかり主体性を持って自立できているという感覚」を意味します。

ではなぜ、この自己肯定感の注目度が高まっているのでしょう? それにはいくつも理由があるとわたしは見ていますが、シンプルに自分の人生を充実させてくれるものだからではないでしょうか。

自己肯定感が低く「自分は駄目な人間だ…」と思っているより、自己肯定感が高く「自分は自分のままでいいんだ!」「自分にはできる!」と思っているほうが、どんな場面でなにをするにもベストの方向に自分を導いていけることは明白です。その結果、よりよい人生を歩めるというわけです。

自己肯定感は「6つの感」で構成される

しかし、ひとことで自己肯定感といっても、それはいくつかの要素で構成されています。その要素とは、「6つの感」とわたしが呼ぶものであり、自己肯定感を1本の「木」だとすると、「6つの感」それぞれが根や幹、枝、葉などにあたります。

【自己肯定感を構成する「6つの感」】

❶自尊感情:自分には価値があると思える感覚/木の「根」のようなもの
➋自己受容感:ありのままの自分を認める感覚/木の「幹」のようなもの
➌自己効力感:自分にはできると思える感覚/木の「枝」のようなもの
❹自己信頼感:自分を信じられる感覚/木の「葉」のようなもの
❺自己決定感:自分で決定できるという感覚/木の「花」のようなもの
❻自己有用感:自分はなにかの役に立っているという感覚/木の「実」のようなもの

では、この➊~❻の「感」について、説明していきます。

➊自尊感情

「自分には価値があると思える感覚」のことで、自己肯定感の土台となる木の「根」のようなもの。自尊感情が高まっていれば、わたしたちは「自分って結構いいよね!」と自分への誇りを胸に生き生きと過ごすことができます。

➋自己受容感

「ありのままの自分を認める感覚」であり、自己肯定感を支える木の「幹」にあたります。いいところも悪いところも含めて自分を認められますから、たとえ失敗して落ち込んだり将来に不安を感じたりなどネガティブな局面においても、「大丈夫! 必ずなんとかなる!」というたくましさを発揮できます。

➌自己効力感

「自分にはできると思える感覚」のことで、しなやかな「枝」のようなものです。自己効力感が高まると「なにかを成し遂げられるんだ!」と自分を信じられますから、なんらかの問題に直面したときにも「こうすればうまくいく!」とプランを立て、前進する勇気やチャレンジ精神を持つことができます。

❹自己信頼感

「自分を信じられる感覚」で、光合成によって養分を与えてくれる木にとっての「葉」のように、人生を豊かにする養分となってくれます。自己信頼感が高まっていると、自分を信じられるために行動の幅が広がり、自分の世界を大きく広げてくれる積極性を手に入れることができます。

❺自己決定感

「自分で決定できるという感覚」のことで、木でいえば幸せの象徴ともいえる「花」にあたります。じつは、わたしたちが感じる幸福度は、「自分で決めた!」という「人生を自分でコントロールできている感覚」、つまり、この自己決定感に比例するといわれます。

❻自己有用感

「自分はなにかの役に立っているという感覚」であり、木でたとえると「実」のようなものです。誰かに「ありがとう」といわれると、誰もがうれしくなりますよね。周囲の人や社会とのつながりのなかで「自分は役に立っているんだ!」と思えることは、まさに甘い果実のようなご褒美を受け取っていることだといえるでしょう。

日本人の自己肯定感は世界的に最低レベル

ここまでで、自己肯定感がどれほど重要なものであるかはおわかりでしょう。ところが残念なことに、世界的に見ると「日本人の自己肯定感は低い」といわれています。それは、子どもも同様です。

内閣府が13〜29歳までの若者を対象に行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」によると、「自分自身に満足しているか」という問いに対して「そう思う」と答えた日本の若者はわずか10.4%でした。

この数字は、同様の調査を行った7カ国中で他国に大きく引き離された最低の数字です。トップのアメリカの数字は57.9%、日本に次いで数字が低かったスウェーデンですら30.8%と、日本の約3倍もの数字になっています。 もちろんこの調査は、就学前の幼児や小学生を対象にしたものではありません。ただ、13〜29歳の若者でこれだけ大きな開きがあるのですから、幼児や小学生であっても日本人の自己肯定感はかなり低いだろうと推測するのが妥当でしょう。

自己肯定感が支える「自立」が人間の最終目的

しかし、冒頭の「自己肯定感とはなにか?」ということについての解説だけでもおわかりとは思いますが、当然ながら自己肯定感は子どもにとっても極めて重要なものです。

自己肯定感とは、「しっかり主体性を持って自立できているという感覚」だともお伝えしました。「いいところも悪いところも含めて自分は自分のままでいいんだ!」と自分を肯定できる人間は、同じ視点で周囲を見ます。つまり、他人を認められ、社会を認められ、自分の人生を認められる——。だからこそ、「どんな人生であっても、自分の人生を自分の足でしっかり歩んでいこう!」と「自立できる」のです。

この「自立」こそ、生き物としての人間の最終目的ではないでしょうか。あるいは、子どもを自立させることが親のもっとも重要な役割といってもいいでしょう。

いま、自立できずに引きこもりとなった中高年の子どもの生活を年老いた親が支えるという、いわゆる「8050問題」が取り沙汰されています。事故や病気の影響がなければ、親は子どもより先にこの世を去ります。そのときに、子どもを自立させられていなかったら…親は大きな悔いを残すことになるでしょう。

もちろん、自己肯定感は大人になったあとも、何歳からでも高めることはできます。とはいえ、人格形成の初期である幼児期から育み伸ばしておくほうがよいことはいうまでもないでしょう。だからこそ、その重要な幼児期に大きくかかわる保育士のみなさんには、ぜひ子どもたちの自己肯定感をしっかりと育んであげてほしいのです。

朝晩の「ヤッターのポーズ」「セルフハグ」が自己肯定感を伸ばす

この連載は全6回で構成しますが、自己肯定感を高めるワークをそれぞれ紹介していこうと思います。これらはいずれも子どもだけでなく大人にも効果的なものですから、保育士さん自身も子どもと一緒に楽しみながら取り組んでください。そして、親御さんにも教えてあげると、家庭でも取り入れることができるでしょう。

今回紹介するのは、「ヤッターのポーズ」と「セルフハグ」のふたつです。

◆ワーク【ヤッターのポーズ】

朝、目覚めたら、窓を開けましょう。そして、グーッと背伸びをしながら両こぶしを上に突き上げ「ヤッター!」といってください。たったこれだけのアクションで感情が「快」の状態になり、前向きに1日をスタートできます。

実際、このポーズによって血流がよくなり、恐怖を感じたときに脳内で分泌されるコルチゾールというストレスホルモンが減り、「勇気のホルモン」と呼ばれるテストステロンの分泌量が上がることが証明されています。

◆ワーク【セルフハグ】

自分に対してネガティブな感情を持って自己肯定感を下げてしまうような出来事や体験は、わたしたちが活動している日中に起こります。そこで、そんな出来事や体験から自分を守るために、帰宅したらゆったりとリラックスできる服装に着替え、右手で左肩を、左手で右肩をギューッと抱きしめましょう。

こうすることで、心の安らぎにかかわるセロトニン、一種の脳内モルヒネであるエンドルフィン、愛情にかかわるオキシトシンという神経伝達物質の分泌が促され、心が安定して自分やものごとのポジティブな側面に目を向けられるようになります。

保育士自身が楽しみながらワークに取り組む

保育現場で実践するのなら、登園したときに「ヤッターのポーズ」、降園前に「セルフハグ」をするのがおすすめです。もちろん、そのときは保育士さんも「それじゃ、『ヤッターのポーズ』をやってみよう! せーの、ヤッター!」というふうに子どもたちと一緒にやってみてください。

ただ、ひとつだけ注意点をお伝えしておきます。もし子どもがこれらのワークをやりたくないというのなら、無理にやらせることだけは避けてほしいのです。

無理にやらせることは、子どもからすれば「やりたくない」と思っている自分を否定されることになり、子どもの自己肯定感を高めるどころか逆に自己肯定感を下げてしまうからです。この連載では他にもいくつも自己肯定感を高めるワークを紹介していきますから、そのなかから子ども自身が楽しんでやりたがるものを選んであげるのがいいでしょう。

もちろん、子どもが「やってみよう!」と思えるように、保育士さん自身が楽しんで取り組んでいる姿を見せることも大切なことです。子どもは、親を含めた周囲の大人を模倣して成長するものですから、保育士さんが楽しそうにしている姿を見せることで、子どもも「楽しそう! やってみよう!」というふうに思ってくれるはずです。

【自己肯定感を高めるワークを行う際の留意点】

・大人にも子どもにも効果があるため、保育士と子ども、あるいは親子で一緒に楽しむ
・子どもがやりたがらないワークは、無理にやらせない
・保育士や親が楽しんで取り組んでいる姿を子どもに見せる

心理カウンセラー
「トリエ」代表。「肯定心理学協会」代表。心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。
Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)など多数。

自己肯定感アカデミー(https://ac-jikokoutei.com/