【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方②自己肯定感が「高い人」「低い人」ってどんな人?

【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方②自己肯定感が「高い人」「低い人」ってどんな人?

「自己肯定感」に関する著書を多数上梓している、カリスマ心理カウンセラー・中島輝さんが、自己肯定感の重要性と自己肯定感を高める方法を解説する連載の第2回目です。今回のテーマは、「自己肯定感が高い子どもはどんな大人になり、低い子どもはどうなるか」です。また、子どもの自己肯定感を下げてしまう要因や、保育現場でとくに注意すべきことについても教えてもらいました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ イラスト/深蔵

自己肯定感が高い人は、「考える力」が育ち「自立」できる

「自己肯定感」を高めることのメリットはいくつもありますが、「子どもにとって」の観点から考えると、「自立できる」ということになるでしょうか。

自己肯定感が高く、いいところも悪いところも含めて自分を認めることができると、同じ視点で周囲を見ることができます。そのため、どんな人であっても他人を認め、社会を認め、そして自分の人生も認めることができます。「どんな人生であっても、自分の人生を自分の足でしっかり歩んでいこう!」と考え、自立できるということです。

そして、この自立にもつながることとして、自己肯定感が高まるほど「考える力」も高まるとわたしは見ています。

「どんな人生であっても、自分の人生を自分の足でしっかり歩んでいこう!」という思考を持つということは、「どんな問題に直面しても、自分で考え自分で答えを導き、そして自分で行動する」ということに他なりません。

いま、教育現場ではこの「考える力」を伸ばすことが大きな目標とされています。時代の変化のスピードがどんどん増しているといわれるなか、その変化に対応して未来を生き抜いていくためにも、「考える力」の重要性が増していくことは間違いないことです。

自己肯定感が低い親が、子どもの自己肯定感も低下させる

しかし残念ながら、日本の子どもたちの自己肯定感は世界的に見て非常に低いというのが現実です。その要因には様々なことが考えられますが、わたしは「親の自己肯定感の低さ」が最大の要因だと考えます。

先述したように、自己肯定感が高い人は他人を認めることができます。逆にいえば、自己肯定感が低い人は他人を認めることができない、信頼することができないのです。

そして、多くの日本人の自己肯定感は低いのですから、当然ながら親にも自己肯定感が低い人が多いということになります。そういう親は、相手が愛する我が子であっても信頼して認めることができません。そのため、子どもがなにをやろうとするにも、「危ないから駄目!」といったふうに否定しがちです。

あるいは、子どもを信頼して認めることができないために、「○歳頃になったらこんな習い事をさせるべきだ」というふうに、親自身の勝手な「べき」に基づいた「答え」を押しつけます。 そのために子どもは、「やりたい!」という気持ちを抱いている自分を否定され、自分自身の「答え」を見つけるために自分で「考える」という行為を阻まれます。そうして、その子は「自分は駄目な人間なんだ……」と自分を否定するようになり、「考える力」を伸ばす機会を奪われてしまうというロジックです。

保育現場で注意すべき、「負の注目」で関心をひく子ども

そう考えると、親だけではなく、幼児期の子どもと密接にかかわる保育士さんも、子どもとの接し方には注意しなければなりません。

保育現場で、「おなかが痛い」「頭が痛い」といつも訴えているような子どもはいませんか? もちろん、本当に体調を崩しているケースもあり得ます。しかし、何日も続けて同じような訴えを続けているような子どもには注意が必要だと思います。

これは、心理学において「負の注目」と呼ばれる行動です。親や保育士からきちんと認められ信頼されている、愛情を注がれている子どもはこういった行動を起こしません。対して、愛情を注がれず自己肯定感が低下している子どもは、「おなかが痛い」と訴えるといった「負の注目」によって、周囲の関心を得ようとするのです。

ですから、そういった子どもがいる場合は、まずはその子の訴えをきちんと受け止めて共感し、寄り添ってあげることが大切です。しかし、必要以上に甘やかすようなことはNGでしょう。なぜなら、そうすることがその子にとっては「おなかが痛いといったら、甘えさせてもらった」という一種の成功体験となり、同じような行動を続けることになるからです。自己肯定感が低下している状態から出た子どもの行動がパターン化され、自己肯定感は高まりにくくなります。

そうではなく、ふだんのなにげない子どもの自発的な行動をしっかりと認めてあげること、褒めてあげること、子どもを信頼してあげることがなにより大切なのだと思います。

コロナ禍により子どもの自己肯定感が下がっている

コロナ禍のいまはさらに注意が必要です。いまの子どもたちは、これまで「正しい」とされていたことがすべてひっくり返された状況に置かれています。

これまでは、「毎日元気に幼稚園や保育園に通いましょう」「お友だちみんなと仲良く遊びましょう」、小学生であれば「パソコンは使い過ぎないようにしましょう」というようなことも、親など周囲の大人から「正しい」ことだといわれてきたことでしょう。

ところが、コロナ禍で休園になれば「幼稚園や保育園には行っちゃ駄目」といわれますし、感染拡大防止のために「お友だちと遊んじゃ駄目」「パソコンを使ってオンラインで勉強しましょう」といわれます。すべて、これまでと真逆のことをするよう強いられるのです。

つまり、周囲の大人から「正しい」といわれてきたことをやって、「自分は正しいことをきちんとできているんだ!」「そういう自分って結構いいよね!」と自己肯定感を少しずつ積み上げている最中に、その積み上げてきた自己肯定感をすべて崩されたような状況に置かれているのがいまの子どもたちなのです。 だからこそ、保育士のみなさんには、いまこそ子どもたちの自己肯定感をしっかり高めてあげてほしいと思います。

3つの幸福ホルモンの分泌を促す「自己肯定感体操」

では、子どもたちの自己肯定感を高められるワークを紹介しましょう。今回は、「自己肯定感体操」というものです。心と身体は密接にかかわっていますから、身体を動かせば心も動いて元気になります。

◆ワーク【自己肯定感体操】

①深呼吸

まずは深呼吸をします。手を大きく動かし、4拍で息を吸って4拍で吐きながら「おはよー」といいましょう。これを2回行います。

②手を開いて閉じる

脚を肩幅に開き、手を力強く大きく開いたら、今度はギュッと閉じます。手を開きながら「元気ー」、閉じながら「元気ー」といいましょう。これを2回行います。

③胸を開く

手を後ろに組んで腕を下げ、胸を大きく開く運動です。4拍で息を吸って4拍で吐きます。吐くときはつま先を上げながら「ヤッター!」といいましょう。これを2回行います。

④前屈運動

全身を脱力させ、ふくらはぎ、太ももの裏、腰、背中、首の後ろなど身体の後ろ側を伸ばして前屈しながら、「おかげさまー」といいましょう。これを2回行います。

⑤身体の側面を伸ばす

上半身を脱力させ、腕を上げて身体の側面を伸ばしながら、「最高ー」といいましょう。左右1回ずつ行います。

⑥ひねりの運動

ひねるほうの脚を軸にして斜め後ろに身体全体をひねります。ひねりながら、「ツイてるー」といいましょう。左右1回ずつ行います。

⑦腰をまわす

手を腰にあてて、「安心、安心」といいながら2回腰を左右にまわします。反対側も同じように2回まわしましょう。

⑧屈伸運動

脚を閉じて屈伸運動をします。かがみながら「できる、できる」、伸ばしながら「できる、できる」といいましょう。これを4セット行います。

⑨ジャンプ

全身を脱力させ、リズムよく軽くジャンプします。「軽い、軽い」といいながら、16回ジャンプしましょう。

⑩セルフハグ

腕を交差して二の腕を包み込みながら脱力します。「ゆったりー」といいながら、頭と背中を丸めます。これを2回行います。

⑪深呼吸

最後に深呼吸をします。手を大きく動かし、4拍で息を吸って4拍で吐きながら「ありがとー」といいましょう。これを2回行います。

お気づきかと思いますが、体操のなかで使う言葉は「元気ー」「ヤッター」「最高ー」などどれもポジティブな言葉ばかりです。それらが耳を通じて脳が認識することで、気持ちはどんどんポジティブになり自己肯定感が高まっていきます。この体操はリラックスしたいときというより、リフレッシュして自己肯定感を高めながら活動的になりたいときに向いていますから、朝や昼寝のあとに行うことがおすすめです。

また、言葉を発しながらも「呼吸」に意識を向けることを子どもたちにも伝えてあげてください。そうすることで自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが整い、いずれも「幸福ホルモン」と呼ばれ、幸福感や自己肯定感を高めてくれるセロトニン、ドーパミン、オキシトシンという3つの神経伝達物質が分泌されやすくなります。

【自己肯定感を高めるワークを行う際の留意点】

・大人にも子どもにも効果があるため、保育士と子ども、あるいは親子で一緒に楽しむ
・子どもがやりたがらないワークは、無理にやらせない
・保育士や親が楽しんで取り組んでいる姿を子どもに見せる

心理カウンセラー
「トリエ」代表。「肯定心理学協会」代表。心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。
Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)など多数。

自己肯定感アカデミー(https://ac-jikokoutei.com/