【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方④「自尊感情」「自己受容感」を高める

【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方④「自尊感情」「自己受容感」を高める

日本における「自己肯定感」ブームを作った第一人者であるカリスマ心理カウンセラーの中島輝さんが、自己肯定感の重要性と自己肯定感を高める方法を解説してくれる連載「【心理カウンセラーが教える】子どもの自己肯定感の高め方」。今回からは、中島さんが自己肯定感を構成する要素だと考える「6つの感」から、それぞれふたつの「感」をピックアップして詳しく解説し、それらを高める方法をお伝えします。第4回目に取り上げるのは、「自尊感情」「自己受容感」です。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)
取材・文/清家茂樹 写真/川しまゆうこ

自分には価値があると思える感覚――自尊感情

自己肯定感とは、簡単にいうと「ありのままの自分を肯定し、認めることができる感覚」のことです。ただ、自己肯定感はそのひとつの感覚だけで成立しているわけではありません。自己肯定感を1本の「木」だとすると、それぞれが根や幹、枝、葉などにあたる「6つの感」というもので構成されているとわたしは考えています。

そのうち今回は、「自尊感情」と「自己受容感」を取り上げます。それぞれについて解説していきましょう。

自尊感情とは、「自分に価値があると思える感覚」のことで、自己肯定感の土台となる木の「根」にあたります。この自尊感情が高まっている人は、自分の個性や人柄を認めて大切にしていくことができ、「わたしってなかなかいいよね!」と自分を尊ぶことができます。自分を尊ぶことができない人の自己受容感が高まるはずもありません。まさに、この自尊感情こそが自己肯定感の土台というわけです。

また、自尊感情が高まっていれば、「自分には価値がある」と思えるために「自分はなんのために生きているのか」ということが明確になります。そのため、「やりがい」や「夢」「希望」「目標」というものをしっかりと見出すこともできます。

子どもには夢や希望を持って生きていってほしい——。これは、すべての親の、そして保育士の願いであるはずです。子どもたちにとって自尊感情がとても重要なものであることはいうまでもないでしょう。

自尊感情が低下すれば、夢や希望を見失ってしまう

では、もしこの自尊感情が低下してしまうとどうなるでしょうか? ここで、わたしが行ったカウンセリングの事例を紹介しましょう。

相談者は、強豪の大学サッカー部に所属する20代の男性でした。以前、大事な場面でシュートを外してしまったことで、練習では問題ないのに本番になるとまったくゴールを奪えなくなってしまったといいます。「またシュートを外したらどうしよう…」という思いが先に立ち、思うように動けなくなったのです。結果的にレギュラーを外され、「自分はチームに迷惑をかけてしまう、価値のない人間なんだ…」と自尊感情が低下している状態にありました。

彼のように、過去の失敗体験によって自尊感情が傷つき、「自分は駄目な人間だ…」と夢や希望を見失ってしまうことは、スポーツに限らず仕事でも勉強でも人間関係でもあらゆる場面において起き得ることです。

もちろん、失敗した過去は変えることができません。だからこそ、失敗体験以上にポジティブな体験に目を向けることが大切。そうするための方法は、この記事の最後に紹介しましょう。

ありのままの自分を認める感覚——自己受容感

続いて、自己受容感について解説します。自己受容感とは、「ありのままの自分を認める感覚」であり、自己肯定感を力強く支える木の「幹」にあたります。「ありのままの自分」とは、「いいところも悪いところも含めた自分」のことです。

そのため、この自己受容感がきちんと高まっていれば、たとえ失敗して落ち込んだり、人をねたんだり恨んだり、将来に対して不安になったとしても、「そういう自分も自分なんだ!」とすべてを受け止めて、「大丈夫! 必ずなんとかなる!」というたくましさを発揮できます。

どんな人間も、完璧にはなれません。むしろ、完璧ではないからこそ人間らしいといえるのです。自己受容感が低下している状態で完璧を目指してしまうと、ただただ無理をするだけで自分を追い込んでしまい、幸せはどんどん自分から逃げていくことになるでしょう。

まずは、「人間は完璧になれない」ということを自覚し、不完全な自分を受け入れる。そして、そのなかから肯定的な部分を見出すことが幸せにたどり着くための鍵となります。

また、この自己受容感がしっかりと育まれ、ポジティブな自分にもネガティブな自分にも「OK」を出せる人は、なにが起きてもしっかりと地に足をつけて立ち直ることができます。つまり、いわゆる「レジリエンス=折れない心」が高まるのです。

レジリエンスは、昨今の教育現場で注目されているキーワードのひとつです。どんな人間も、一度の失敗もなく人生を歩み切ることはできません。保育士さんたちには、ぜひ子どもたちの自己受容感を高め、たとえ失敗をしてもそのたびに再び力強く立ち上がる強い心をしっかりと育んであげてほしいと思います。

自分やものごとの肯定的側面に目を向ける「スリー・グッド・シングス」

では、自尊感情と自己受容感を高めていくワークを紹介しましょう。そのワークが、「スリー・グッド・シングス」です。

たとえ大きな失敗をしたなどネガティブなことがあっても、日々のなかには必ずポジティブな出来事もあります。すべてがネガティブ1色だということはあり得ません。ネガティブなことのなかにもポジティブな側面を見出していくことが、ものごとのネガティブな側面を受け入れて乗り越え、ひいては自尊感情と自己受容感を育むことにつながります。そうするためのメソッドこそが「スリー・グッド・シングス」です。

◆ワーク【スリー・グッド・シングス】

ノートを用意し、1日の終わりにその日を思い返して3つの「今日のよかったこと」を書き出しましょう。もちろんノートではなくパソコンのテキストエディタやスマホのメモアプリを使ってもいいのですが、ノートに手書きすることでより強く記憶に刻まれ、「ポジティブな言葉で自分自身を幸せに導く」という「アファメーション」の効果が高まります。
書き出す内容は、「いつもより早起きできた」「書店で面白そうな本を見つけた」などどんなに些細なことでも構いません。むしろ、そうして些細なよいことを日々のなかで見つけていくことで、みなさんの脳は自然に「グッド・シングス」を探すようになり、自尊感情と自己受容感が高まりやすくなるでしょう。

【スリー・グッド・シングスの書き込み例】

・早く目が覚めてコーヒーをゆっくり飲めた
・散歩中にいままで知らなかったパン屋さんを見つけた
・綺麗な夕焼けを見ることができた

もちろん、このワークは保育士さん自身にも親御さんにも子どもたちにも取り組んでほしいものです。ただ、子どもが自分で「今日のよかったこと」を書き出すのは難しいでしょうから、降園前に保育士さんが子どもに聞く、あるいは自宅で寝る前に実践してほしいと親御さんに伝えることをおすすめします。

「今日のよかったことは何?」「ワクワクしたことは?」「笑っちゃったことは?」など、具体的にポジティブなことを聞いてみましょう

また、子どもが「今日のよかったこと」をなかなか思いつかないというときには、保育士さんや親がお手本を示しましょう。子どもは周囲の大人を模倣して成長していくものです。「先生は、今日のお弁当が美味しかったから本当に幸せだな!」というふうに、それこそ些細なことをお手本として見せてあげれば、子どもたちは何気ない日常のなかにもある幸せを見つける視点を身につけていくでしょう。

それから、「よかったこと」というと子どもにとってはちょっとあいまいに感じられて思い浮かべられないということも考えられますから、「今日のワクワクしたこと」とか「今日、思わず笑っちゃったこと」など、より具体的なかたちでポジティブなことを聞いてみるのもいいかもしれませんね。

【自己肯定感を高めるワークを行う際の留意点】

・大人にも子どもにも効果があるため、保育士と子ども、あるいは親子で一緒に楽しむ
・子どもがやりたがらないワークは、無理にやらせない
・保育士や親が楽しんで取り組んでいる姿を子どもに見せる

心理カウンセラー
「トリエ」代表。「肯定心理学協会」代表。心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。
Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)など多数。

自己肯定感アカデミー(https://ac-jikokoutei.com/