ただいま大人気 『鬼滅の刃』への向き合い方をどうしますか?

ただいま大人気 『鬼滅の刃』への向き合い方をどうしますか?

10月16日から公開されているアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(作・吾峠呼世晴=ごとうげ・こよはる)が大人気ですね。公開初日から3日間で342万人を動員して、興行収益も46億円を超えたといいますから、もはや国民的人気作品です。

もともとは2016年2月から今年5月まで週刊少年ジャンプ(集英社)に連載。2019年4月からスタートしたTVアニメシリーズは、首都圏では東京MXテレビなどで放送されておりましたが、全国共通で放送時間はほぼ深夜帯でした。決して幼年層をターゲットにした作品ではなかったはずですが、小学生ばかりか幼児層までに大人気となっています。

電車やバスなどで鬼滅グッズを手にした幼児や、下校中の小学生が登場キャラクターのポーズやセリフを真似たりしているのを、よく目撃します。また小学校などでは、登場人物名などにあてがわれる難読漢字を積極的に練習する子どもが続出している模様です。

しかし、子どもにつられる形でアニメを目にして驚いた大人も多いことでしょう。大正時代のストーリーとはいえ、切られた首は転がり、血しぶきは飛び散り、ほかにも子どもには刺激の強い場面がかなり多めです。

少し前ならば、「良識ある」を自称するオトナたちから、「子どもに悪影響」などと袋叩きに遭っているパターンですが、鬼滅~の場合はもともとが深夜帯アニメだったせいか、現在のところ、そういう非難は集まっていない模様です。放送ではなく、「自分の意思で選んで視聴できる」配信時代の申し子ともいえます。

しかし、幼児にとって刺激が強い場面が多いのは確か。週刊少年ジャンプ(集英社)連載作品だけあって、「友情・努力・勝利」の鉄則は守られつつ、家族への愛情、鬼にされてしまった側の悲しい物語もキチンと描かれているがゆえ、残酷描写だけを切り取って語るのは相応しくありません。これを視聴する幼児に付き添いつつ、時代背景や刀や武器の危険性、鬼ではない人間の弱さなども語ってあげることが大切かとも思います。

物語の舞台は大正時代初期。今から108年前あたりの日本です。中年世代にとって「大正時代を舞台とした漫画、アニメ」といえば、『はいからさんが通る』がおなじみです。はいからさん~が連載スタートした1975(昭和50)年を基準に考えると、ほんの50数年前のお話であり、そこから108年もさかのぼったとすると、1867(慶応2)年と、江戸時代末期となります。時間軸をあてはめて比較すると、現在の子どもたちにとって大正時代とは、もはや時代劇の範疇に入るともいえます。

遠山の金さんや、桃太郎侍がバッタバッタと悪人どもを斬り、赤穂浪士や新撰組が斬首、切腹しても、「子どもに悪影響」なんて非難が殺到しなかったのも「時代劇だから」という理由も大きいでしょう。  そんな時代背景や、生命の尊さなど「大正コソコソ噂話」を楽しみながら、しっかり対話しつつ『鬼滅の刃』を楽しんでみるのも一興です。今の世の中、「これは見ちゃダメ」と制御したところで、いくらでも視聴手段はあります。隠すよりは積極的に対話していくことが大事かとも思われます。

文/ほいくらし編集部