170525_salary_main_img_1-thumb-690x350-212.jpg

保育士の給料の安さはニュースでもたびたび取り上げられる問題です。
子どもたちの安全を守り、健やかな成長を手助けする責任の重い仕事でありながら、労働量に対する適正な給与を支払われないのはなぜなのでしょう。
そこには複雑な理由が絡み合っているのです。

難しい財源の確保

そもそも、保育士の給与はどのようにして決められているのでしょうか。その仕組みを知ることで、保育士の給料が低い理由が見えてくるはずです。
認可保育園の場合、国と都道府県、そして各自治体から補助金を支給されます。それに加えて、保護者から支払われる保育料が運営費となるのです。保育士への給料は、その運営費の中から人件費として支払われています。(補助金が出ない無認可保育園では、保育料だけで運営費をまかなっています)
このように、税金が使われている「補助金」、そして公定価格によって決まる「保育料」が保育士の給料に直結しているため、簡単には給料を上げられないのです。
しかし、昨今の待機児童問題と深刻な保育士不足が大きな波紋となり、平成29年度から保育士の給与を実質2%上げることが閣議決定されました。長い間見過ごされてきた問題を表面化し、小さいながらも一歩踏み出したことは、保育業界全体の希望につながるでしょう。

運営母体による人件費節約

働く女性保育士たちの様子を写した画像

保育園の運営は、市町村や社会福祉法人だけに限ったものではなく、2000年以降には株式会社やNPOなどが続々と参入するようになりました。
保育の質を一定の水準で保つには、運営費の7~8割を保育士の給与に充てるべきといわれています。さまざまな運営形態での保育園が増えるなか、運営費に占める保育士への給与に大きな影響を与えていることも問題のひとつでしょう。

保育士という職業を軽視してきた歴史

体育座りで落ち込む女性を写した画像

保育士の低賃金問題が表面化してきたのは、実はここ最近のことです。それまでは現場で働く保育士たちの間で不満は募っていたものの、社会問題にまで発展することはありませんでした。
その社会的背景として、昔から日本では「子どもの面倒を見るのは母親の役目」という家庭内育児を推奨する考えが根強かったことが影響しています。核家族化が進む前は、子どもたちを見守るたくさんのおとなの目がありました。働く母親は、祖父母や知り合いに子どもの面倒を見てもらうことが当たり前で、わざわざお金を支払って他人に預けることに抵抗感を持っていたのです。
また、保育士の仕事内容についても「子どもと遊んでいるだけ」と軽視される傾向がありました。小さな命を預かるという重大な責任をともない、肉体的精神的に過酷な仕事であることが知られるようになり、ようやく大きな問題となって国会でも議論されるまでになったのです。こうしたことをきっかけに、保育士の処遇が大きく改善されることを期待したいですね。

キャリアアドバイザーからのコメント

スーツ姿で案内をする笑顔の女性を写した画像

給料が低いことを理由に転職活動をするなら、次の転職先はできるだけ有利な条件になるよう給料交渉をしたいですよね。とはいえ、お金のことはなかなか聞きづらいものです。そんなときは、『マイナビ保育士』に相談してみませんか? 転職のプロが、聞きにくい給料面などの条件交渉を行ってくれます。そのほか、面接対策や履歴書・職歴書の添削なども。給料面での不満から転職を考えるなら一度相談してみてはいかがでしょうか?