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保育士資格を持ちながら保育の現場で働いていない「潜在保育士」は、全国に80万人ほどいると考えられています。せっかく保育を専門的に学んだにもかかわらず、それを仕事に生かしていない人が意外に多いのが現状です。しかし、子育て中やブランクのある潜在保育士に対するサポートが、徐々に手厚くなっているのを知っていますか? 自治体による潜在保育士への支援制度を活用すれば、あなたも保育士としてスムーズに復帰できるかもしれません。

育児との両立やブランクへの不安も

2013年の厚生労働省の調査によると、保育士として登録している約119万人のうち、保育所などの社会福祉施設で働いている人は約43万人。つまり、6割以上に当たる76万人が潜在保育士であることが分かっています。潜在保育士数は年々増え続ける傾向にあり、現在では約80万人とも推定されています。

保育士としての就職を希望しない求職者への意識調査(2013年、厚生労働省職業安定局)によると、まず挙げられるのが「賃金が希望と合わない」「他職種への興味」「責任の重さ・事故への不安」といった理由です。一方で、30歳代の26%が答えた「子育てとの両立が難しい」、40歳代を中心に多い「ブランクがあることへの不安」のように、「保育の現場で働きたいのに、子育てやブランクが原因で動けない!」といった声も少なくありません。

保育士への就業を希望しない理由(複数回答可) 賃金が希望と合わない455件47.5% 他職種への興味413件43.1% 責任の重さ・事故への不安 383件40%。自身の健康・体力への不安375件39.1% 就業時間が希望と合わない・休暇がとりにくい 354件37%他

潜在保育士をサポートする保育士・保育所支援センター

保育所支援センターに書類を提出している女性保育士を描いたイラスト

そうした潜在保育士をサポートするためにスタートしたのが「離職保育士届出制度」です。保育士資格がある離職予定の人や、すでに離職した人、資格取得後すぐに保育士として就業しない人などが対象で、保育士・保育所支援センターに氏名や連絡先を届け出ると、さまざまなサポートが受けられます。今のところ届出は義務ではありませんが、うまく活用するのがおススメです。

保育士・保育所支援センターは2015年時点で35都府県(45か所)に設置されており、登録者に対して就職説明会や復職前の実技研修の案内・実施をしたり、再就職についての相談に応じたりしています。また、雇用する側の保育園に対して、どうすれば潜在保育士に活躍してもらえるかをアドバイスする役割も担っています。自分が住む地域ではどこにセンターがあるのか、調べておくといいですね。

子育て中の保育士にうれしい支援も続々登場!

とくに子育て中の潜在保育士をサポートする事業も、多くの自治体で実施されています。たとえば東京都では、未就学児を持つ潜在保育士が復帰する際、自分の子どもの保育料について2万7000円(月額)を上限に貸付けています。また、保育園などに再就職するために必要な経費を、一人一回に限り40万円以内で貸付ける制度もあります。これらの貸付金は、保育園などで2年以上勤務することで返済が免除されます。また、保育士の子どもの入園について優先規定を設けている自治体もあるため、復帰を考えている人は要チェックです。

さらに、保育セミナーなどを無料で実施している自治体も少なくありません。たとえばさいたま市では、2015年から「再就職支援セミナー」を実施していて、最新の保育事情やコミュニケーションスキルなどについて座学で学べるほか、保育施設の見学や現場実習を通して子どもたちと触れ合うことが可能です。しかも、一部のセミナーでは、自分の子どもを無料で一時預かりしてもらえるケースもあります。

キャリアアドバイザーからのコメント

保育の受け皿を確保するため、厚生労働省も潜在保育士の活用を積極的に後押ししています。条件に合う制度は賢く活用して、自分の保育士としてのキャリアに役立てていきたいですね。
「自分の住んでいる地域にどういった制度があるのか教えてほしい」「自分のライフスタイルに合った復職をしたい」といったことは、マイナビ保育士のキャリアアドバイザーにご相談ください。あなたにピッタリの復職をサポートいたします。