口を開けている子供の様子を写した画像

「日本は経済的に豊かな先進国」というイメージの裏で、実は子どもの貧困が大きな社会問題となっています。日本の子どもたちが置かれた厳しい現状と、そうした子どもたちを救うために始められた「こども宅食」という新たな取り組みについてご紹介します。

監修:認定NPO法人フローレンス

13.9%の子どもが陥っている「相対的貧困」とは?

そもそも貧困には2つの種類があることを知っていますか? まずは、開発途上国におけるストリートチルドレンのように、生きていくために必要最低限の食品や生活必需品が得られていない状態を指す「絶対的貧困」。一方、日本において大きな問題となっているのが「相対的貧困」です。これは、その人が暮らす社会の中で「普通」とされる生活ができず、最低限の衣食住を保つのがやっとという状態のこと。母ひとり子ひとりの世帯なら、年収約173万円以下の生活を指します。

2016年の国民生活基礎調査では、日本で相対的貧困に陥っている17歳以下の子どもは13.9%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国平均である13.3%を下回っている現状が明らかになりました。さらに、一人親家庭における子どもの相対的貧困率は実に50.8%で、2人に1人が該当することが分かっています。相対的貧困にある子どもたちは、十分な食費がかけられず栄養バランスが極端に偏っていたり、「皆ができること」ができない経験を重ねて自己肯定感が低下したりと、さまざまな問題を抱えています。

貧困率の年次推移

平成 18年 21年 24年
子どもの貧困率 14.2% 15.7% 16.3%
子どもがいる現役世帯 12.2% 14.6% 15.1%
 ひとり親世帯 54.3% 50.8% 54.6%
 それ以外の世帯 10.2% 12.7% 12.4%
【参考】
親ひとり子ひとり世帯の貧困線
180万円 177万円 173万円

注:1)おとなは18歳以上の者、子どもは17歳以下の者をいい、現役世帯とは世帯主が18歳以上65歳未満の世帯をいう。
2)等価可処分所得金額不詳の世帯員は除く。
出典:平成25年国民生活基礎調査

食品ロスやふるさと納税を活用した「こども宅食」の取り組み

こども宅食 とどく、つながる、みらいのために

貧困状態の子どもたちを支えるため、国や自治体、民間団体がさまざまな支援を実施していますが、まだまだ十分とは言えないのが現状です。そうした中、2017年7月から新たにスタートしたのが、官民連携プロジェクトの「こども宅食」。これは、経済的に困窮している東京都文京区内の子育て世帯に対して、パートナー企業から提供された食品などを宅配するというものです。

このプロジェクトは、行政側から対象世帯に事業内容を案内することや、申し込みをペーパーレス化し、食品を宅急便でダイレクトに届けることに特徴があります。これにより、本当に必要としている人に情報が確実に届き、簡単な申し込みで周りの目を気にせず支援を得ることができるのです。また、ふるさと納税制度を使って資金調達しており、寄付者の負担は手数料の2000円のみで、いずれにせよ支払うことになる税金の一部を寄付に充てることができる仕組みです。

文京区のホームページのスクリーンショット

文京区ホームページでは事業内容や寄付の方法などが確認できる。

保育の専門家として、社会的に厳しい立場の親子を支える意識を持とう!

子供にご飯を食べさせる女性保育士の様子を写した画像

しかし、こども宅食の最終目標は、単に食品を届けることにとどまりません。それをきっかけに対象世帯と顔の見える関係を築き、NPOから支援情報を届けたり、必要に応じて専門機関につなげたりすることが重要なのです。このプロジェクトは、官民協同でこどもの貧困問題を解決するモデルの一つとして、全国的に波及していくことが期待されています。

相対的貧困にある子どもたちは、一見すると身なりが整っており、見た目だけでは発見しづらいこともあります。そこで重要になってくるのが、日々子どもたちと触れ合う保育士の存在。厳しい環境に置かれた子どもにとって、保育園における栄養たっぷりの食事や温かなスキンシップは特に大きな価値を持つものです。また、保育士は支援を必要としている家庭を発見し、保護者からの相談に応じたり、適切な社会的支援につなげていったりする立場にもなり得ます。「すべての子どもを適切に保育する」ことを使命とする保育士として、厳しい環境にある子どもたちの存在にも敏感でありたいですね。

キャリアアドバイザーからのコメント

子どもが置かれた状況を把握しながら向き合うことに、専門職の意義を感じ、仕事への充実感を感じることも多いかと思いますが、多忙な勤務と家事や子育てとの両立はできないと感じている人もいるのではないでしょうか? そんなときはマイナビ保育士のキャリアアドバイザーに相談してみませんか? 転職のプロがライフスタイルに合った職場のご提案をさせていただきます。