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気温や湿度が低くなる冬は、ウイルスが空気中に浮遊しやすい季節。さらに、寒さや乾燥のため免疫力も低下しがちで、おとなも子どもも感染症にかかりやすくなります。多くの乳幼児を抱える保育園でも、感染症対策には特に力が入る時期ではないでしょうか。今回は、冬に流行するインフルエンザとノロウイルス感染症について、基礎知識をチェックしていきましょう!

インフルエンザは「一度で終わらない」ことも?

アルコールスプレーで手を消毒する様子を写した画像

接触や飛沫(唾液のしぶき)により感染するインフルエンザは、1~3日間程度の潜伏期を経て、38℃以上の高熱、全身痛、だるさといった症状を引き起こします。保育園や幼稚園であれば、「発症後5日が経過している」「解熱後3日が経過している」という2つの条件を満たさなければ登園できないと、学校保健安全法に定められています。アルコール消毒が有効なため、清掃の際に活用するのはもちろん、石けん手洗いに加えてアルコール消毒液を使うのもいいでしょう。

インフルエンザは、予防接種によって発症を防いだり重症化を抑えたりすることが可能です。また、オセルタミビル(商品名タミフル)やザナミビル(商品名リレンザ)といった抗インフルエンザ薬により、発熱期間を短縮したり、ウイルスが排出される量を減らしたりできると考えられています(ただし、発症後48時間以内に服用を開始する必要があります)。なお、インフルエンザウイルスにはA・B・C型があるほか、近年では新型インフルエンザも多く報告されています。一度インフルエンザにかかった後、ひと冬の間に別の型に感染してしまったという例もあるため、油断禁物です。

わずかのウイルス量でも感染してしまうノロウイルス

悪そうな表情をしたウイルスのイラスト

ノロウイルスは、感染性胃腸炎を引き起こす代表的な病原微生物のひとつです。ノロウイルスが蓄積した二枚貝などから直接感染するほか、感染者の嘔吐物、乾燥して浮遊したノロウイルスから感染することもあります。代表的な症状は、下痢や吐き気、腹痛など。ウイルス量100個以下でも感染してしまうほど感染力が強く、特に乳幼児は重症化のおそれもあります。現在のところ有効なワクチンや治療薬が存在しないため、より予防に力を入れるべき感染症だといえるでしょう。

ノロウイルスがインフルエンザウイルスと大きく異なるのは、アルコール消毒が効かないこと。そのため、掃除や消毒、嘔吐物処理などの際は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の台所用漂白剤など)を希釈したものを使う必要があります。また、85℃で1分間以上加熱することでも感染力が失われることが分かっています。

ノロウイルスに関する出席停止期間は法で定められていませんが、症状が治まってからも長期間(1週間~1カ月程度)にわたって便などからウイルスが排出されます。医師の指導を受けながら、園内で感染が広がらないよう細心の注意が必要です。

感染経路をまとめたイラスト

園内感染が広がらないよう、感染が起こる場所の消毒を

「元気だけれど感染している」状態に要注意!

真剣に手洗いをする女の子の写真

感染症対策の基本は、うがいと手洗いです。子どもに促すだけでなく、保育士自身も積極的に行うようにしましょう。特に、外遊びの後、食事の前、オムツ交換やトイレ掃除の後などには、念入りな手洗いが必要です。石けんを使ってこすり洗いし、流水で30秒間を目安に洗い流します。「そんなの当たり前!」と感じるかもしれませんが、おとなでも十分に洗えていない人が多いのです。特に、手のひらのしわ、指先や爪の間、指のまたの部分、手首などは洗い残しが多い部位です。また、爪が長かったり、時計や指輪をつけたままだったりする状態では、その部分に汚れが残ってしまう点にも注意が必要です。

インフルエンザもノロウイルス感染症も、感染しているにもかかわらず症状が出ないこと(不顕性感染)があります。これは無自覚のままウイルスをまき散らしてしまう、とても危険な状態です。子どもたちの健康を守るため、「自分は元気だから大丈夫」と過信せず、基本的な予防策を徹底することを心がけましょう!

キャリアアドバイザーからのコメント

感染症が気になるシーズン、もうひとつ気になるのが「来年の働き方」。意識調査や面談などが行われ、来年もこの園で働くかどうか? といったキャリアプランを考えるシーズンです。
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