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少数の子どもを家庭的な環境で保育する小規模保育所が、2015年4月から認可事業となったのを知っていましたか? 待機児童対策のひとつとして、さらには新たな保育のあり方として注目を浴びている小規模保育所とは、いったいどんなところなのか知っておきましょう!

待機児童を解消する決め手!? 急増している小規模保育所

小規模保育所の一番の特徴は、0~2歳の子どもを6~19人の範囲で保育すること。マンションなどの既存施設を活用できるということもあり、新たに大規模な園を作るのが難しい都市部でも開設しやすく、待機児童問題が深刻な地域を中心に広がりを見せています。実際、2015年4月にスタートした「子ども・子育て新制度」で、地域型保育事業のひとつとして市町村の認可事業となってから、小規模保育所の数は急増し、2016年4月時点で2429施設も存在しています。

【地域型保育事業の件数の推移】

2015年4月 2016年4月
家庭的保育事業 931 958[+27]
小規模保育事業 1,655 2,429[+774]
居宅訪問型保育事業 4 9[+5]
事業所内保育事業 150 323[+173]
2,740 3,719[+979]

([ ]内は対前年差)

参照:厚生労働省「「少子化への対応を考える有識者会議(第2回)」の開催について」

小規模保育所の認可基準は自治体などよって多少の違いがありますが、国が設定した基準は表のとおり。さまざまな事業からの移行を想定して、保育所分園に近いA型、家庭保育に近いC型、その中間であるB型に分けられています。たとえばA型とB型は、一般的な保育所の配置基準に+1人の職員数が求められており、質の高い保育となるよう配慮されています。

地域型保育事業の認可基準について

保育所
職員 職員数 0歳児 3:1
1・2歳児 6:1
資格 保育士
※保健師または看護師などの特例有(1人まで)
設備・面積 保育室など 0歳・1歳
乳児室 1人当たり1.65㎡
ほふく室 1人当たり3.3㎡
2歳以上
保育室等1人当たり1.98㎡
処遇など 休職 自園調理
※公立は外部搬入可(特区)
調理室
調理員
小規模保育事業
A型 B型 C型
職員 職員数 保育所の配置基準+1名 保育所の配置基準+1名 0~2歳児 3:1
(補助者を置く場合、5:2)
資格 保育士
※保育所と同様、保健師または看護師等の特例を設ける。
1/2以上保育士
※保育所と同様、保健師または看護師などの特例を設ける。
※保育士以外には研修実施
家庭的保育者
※市町村長が行う研修を修了した保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者
設備・面積 保育室など 0歳・1歳1人当たり3.3㎡
2歳児 1人当たり1.98㎡
0歳・1歳児 1人当たり3.3㎡
2歳児 1人当たり1.98㎡
0歳~2歳児
いずれも1人3.3㎡
処遇など 休職 自園調理
(連携施設等からの搬入可)
調理設備
調理員
自園調理
(連携施設等からの搬入可)
調理設備
調理員
自園調理
(連携施設等からの搬入可)
調理設備
調理員

※ 小規模保育事業については、小規模かつ0~2歳児までの事業であることから、保育内容の支援及び卒園後の受け皿の役割を担う連携施設の設定を求める。
※ 連携施設や保育従事者の確保等が期待できない離島・へき地に関しては、連携施設等について、特例措置を設ける。
※ また、給食、連携施設の確保に関しては、移行に当たっての経過措置を設ける。
※ 保健師又は看護師に係る職員資格の特例については、地方分権に関する政府方針を踏まえ、平成27年4月1日から准看護師についても対象とされている。

参照:内閣府「子ども・子育て支援新制度について」

「もうひとつの家庭」のような手厚い保育環境

大きなボールを追いかける子供たちの様子を写した写真

「小規模」といっても、子どもたちの1日のスケジュールは、一般的な保育園と大きな違いはありません。指導案に沿った保育を提供するのはもちろんのことですが、少人数のため固定化されたカリキュラムに縛られすぎないのが大きなメリット。一人ひとりの体調や気持ちを観察しながら、「今日はAちゃんの調子がよさそうだから、オムツを外してトイレに挑戦してみよう」「Bちゃんは自分で歩くことにこだわりが生まれてきたから、ベビーカーを降りて先生と手をつなごう」といったように、家庭のように柔軟な対応をしやすいのが特徴です。

一般的な小規模保育所に広々とした園庭があるケースはまれですが、代替地となる近所の公園などへ移動して、外遊びの時間もしっかりと確保するのが基本です。交通ルールを学んだり、地域の人と交流したりするきっかけにもなりますね。少人数を手厚く見守れる人数配置のため、広い公園まで出かけて自由遊びを存分に楽しむこともできます。また、運動会のような大きな行事については、系列の園や近所の保育施設と連携しながら大規模に行われるケースもあります。

<おもなメリット>
・固定化されたカリキュラムに縛られすぎない
・家庭のように柔軟に対応しやすい
・少人数を手厚く見守れる人数配置

保育士自身の満足度も高い魅力的な職場のひとつ

滑り台の前で子供たちと一緒に嬉しそうに笑う女性保育士の写真

このように、子どもたちにとってメリットの多い小規模保育所ですが、実は保育士にとって魅力的な職場でもあります。少数の子どもとていねいに対話を重ねられる小規模保育所では、家族のような信頼関係を築きやすい環境にあります。子ども一人ひとりにきめ細やかな個別支援をしたい、落ち着いた環境でじっくりと保育に取り組みたいと考える保育士にとっては、まさに理想的な保育環境だといえるでしょう。また、少人数であるからこそ保護者とも顔の見える関係となりやすく、的確な保護者支援を実践しやすいという一面もあります。

一方で、小規模保育所の課題とされているのが、いわゆる「3歳の壁」。0~2歳児を対象とする小規模保育所において、3歳になった子どもたちの受け皿の確保は重要な問題です。あらかじめ設定された提携施設へ優先的に入園できる仕組みが原則となっていますが、「枠が埋まってしまいなかなか次の園が決まらない」といったケースも多いのが現実です。そこで現在、国家戦略特区を設けることで対象年齢を5歳まで緩和する方針を国が打ち出しており、今後の動きが注目されています。

キャリアアドバイザーからのコメント

待機児童対策としてはもちろん、これまで以上に家庭的な保育を提供する場として、大きな期待が寄せられている小規模保育所。より深く子どもに寄り添いたいと考える保育士は、就職先の選択肢として頭に入れておけるといいですね。
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