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日本では、乳児の5~10%、幼児の5%ほどが食物アレルギーを持っていると考えられています。症状が重ければ命に関わることもあるため、保育士もしっかりと知識を身に付け、いざというとき迅速に対応することが必要です。あらためて確認しておきたい、食物アレルギーの基本を学んでおきましょう!

「食物アレルギー=皮膚がかゆくなる」と思い込んでない?

食物アレルギーの症状(咳、痒み、目の充血など)について描かれたイラスト

そもそも食物アレルギーとは、原因物質(アレルゲン)を食べたり、触ったり、吸い込んだりすることで、体の免疫システムが過剰に反応して起こる有害な症状のこと。原因となる食べ物はさまざまですが、年齢別に見ると0~6歳児では鶏卵が最も多く、次いで乳製品、小麦となっています。そのほか、ピーナッツ、そば、ゴマ、甲殻類などのアレルギーを持つ人が多いとされています。食物アレルギーを好き嫌いやわがままだと誤解し、「少しでもいいから食べてみよう」などと勧めるのは厳禁です。

食物アレルギーの症状というと「皮膚がかゆくなる」というイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。皮膚症状以外にも、消化器症状(腹痛や嘔吐)、呼吸器症状(咳や呼吸困難)、さらには全身性の症状が起こることもあります。とくに要注意なのが、血圧や意識レベルの低下などが現れるアナフィラキシーショック。すぐに適切な対応をしなければ命に関わる、重篤な症状であることを覚えておきましょう。

アクシデントが起こりやすいのは「いつもと違う」環境

救急車と薬の瓶やカプセルが描かれたイラスト

保育園では、保護者と相談のうえで除去食や代替食を用意するなどアレルギー児に個別の対応をすることで、アレルギーの発症を予防しています。給食を取り違えないよう、色の違う専用の食器を使っている園も多いのではないでしょうか。保育士はアレルギー児の顔と名前を一致させ、年齢に応じて子どもが食物アレルギーについて理解できるよう関わるのが理想的。おかわりの際に普通食を提供したり、こぼれた食物を子どもが食べたりすることのないよう、注意深い対応が求められます。

とくに「いつもと違う」環境にあるときは、アクシデントが起こりやすくなります。たとえば、保育体制の変わる土日祝日や延長保育の際の対応について周知徹底しておくことが肝心です。「うっかり延長保育用のおやつをアレルギー児にも与えてしまった!」ということのないよう注意しましょう。また、応援職員や実習生にも確実にアレルギー児の情報を伝えることが欠かせません。さらに、豆まきなど特定の食材を使う行事の際は、「その食物アレルギーを持つ子どもがいないか」「いる場合はどのように対応するのか」など、事前に確認しておく必要があります。

「子どもが苦しんでいる!」緊急時にあなたはどう動く?

子供を抱え、慌てながら電話しているお母さんのイラスト

それでもアレルギー症状が出てしまったら、保育士はどのように対応すればいいでしょうか。子どもがアレルゲンとなる食品を口に入れてしまったら、まずはすぐに口から出し、水ですすがせましょう。皮膚に触れたときもすぐに洗い流します。

緊急用の医薬品には、皮膚症状など軽い症状に用いる内服薬(抗ヒスタミン薬、ステロイド薬)と、アナフィラキシーショックなどに用いるエピネフリンがあります。エピネフリンには心臓の動きを強めたり気管支を拡げたりする作用があり、アナフィラキシー症状が出たら即座に使用することが大切です。子どもが自分で注射できない場合は園の職員が代わりに行うことになっているので、いざというときに迷わないよう、すべての職員が保管場所や使い方を知っておく必要があります。

いつ、どのような状況でアレルギー児の対応をすることになるかはわかりません。自分の担当クラスにアレルギー児がいなかったとしても、園のルールを把握し、基礎的な知識を持っておくことは保育士として必須だといえるでしょう。

キャリアアドバイザーからのコメント

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