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保育士たちが意欲的に働き続けられる環境を作るため、2017年度から始まった「処遇改善加算Ⅱ」。現場の声を受けて実態調査が行われ、すでに制度の見直しが決まったことをご存じですか? 皆さんのお給料にも関係あるかもしれない、処遇改善策の最新情報をチェックしておきましょう!

2017年度スタートの処遇改善策Ⅱとは?

技能や経験を積み重ねた職員への給与加算を行う「処遇改善策Ⅱ」は、主に若手から中堅の保育士等に関して、私立の認可保育園が対象(希望した場合)となります。具体的には、8つの分野のキャリアアップ研修が創設され、その修了状況などを要件として以下3つの役職に就けるものとされました。そして、これらの役職に応じて月額5000円~4万円の給与加算が行われます。

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■新たな役職とおもな要件

(1)副主任保育士:おおむね経験年数7年以上で、マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了した人
(2)専門リーダー:おおむね経験年数7年以上で、4つ以上の分野の研修を修了した人
⇒月額4万円の処遇改善

※(1)(2)については、園長・主任保育士を除く保育士等全体のおおむね1/3(公定価格上の職員数に基づいて算出)。
※(1)(2)の対象人数の約半数に対しては必ず月額4万円を支給し、残りはその他の職員(1)(2)にも配分可能。

(3)職務分野別リーダー:おおむね経験年数3年以上で、担当する職務分野1つ以上の研修を修了した人
⇒月額5000円の処遇改善

実際に加算を受け取った保育士はどのくらい?

それでは、実際にどれくらいの園が処遇改善加算Ⅱの対象となっているのでしょうか。実態を把握するために内閣府が行った調査の速報値(各自治体が加算認定した状況)が2017年7月に公開されました。それによると、全国1万4543か所ある私立保育園のうち、約8割で加算が行われていることが明らかになりました。

保育所における加算の認定状況の円グラフ 加算を行った施設11,650か所 加算を行っていない施設2,893か所 ※80.1%の施設で加算が適応!

参考:内閣府子ども・子育て本部「平成29年度 処遇改善等加算IIの実施状況について(速報値)」
【平成30年7月】

月額4万円加算の対象者(副主任保育士や専門リーダー)は6万1402人いて、その半分程度の3万3843人が実際にその金額を加算されています。4万円支給ではなかった人についても、6万997人が5000円~4万円未満を配分されていました。また、職務分野別リーダーとして5000円加算された人は、3万7664人に上ることが分かりました(いずれも保育所における人数)。

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より現場の実情に即した処遇改善を目指して

笑顔で子供を抱える男性保育士と、女性保育士の写真

一方で、支給金額や対象人数が固定されすぎていて、現場の実情に即した処遇改善ができないという声も上がりました。それを受けて制度の見直しが行われ、2018年度以降はより柔軟な配分方法が認められるようになりました。具体的には、従来は副主任保育士と専門リーダーにしか認められていなかった加算の配分について、職務分野別リーダーにも一部を配分できるようになりました。この結果、若手保育士の加算金額や対象人数を増やすなど、弾力的な処遇改善が可能になったのです。

また、職務分野別リーダーへの支給についても、これまで「○人に5000円」と固定されていたものが、「○人以上に5000円以上」と変化がつけられるように。さらに、2022年度までの時限措置として、加算総額の20%までは法人内であれば保育園をまたいで配分できるようになりました。

現場で活躍する保育士さんのため、より使いやすい制度に生まれ変わった「処遇改善加算Ⅱ」。皆さんのお給料がアップするチャンスも広がったのではないでしょうか?

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