ガッツポーズをする保育士の女性

保育士不足が深刻な社会問題として認知される中、待遇面の見直しや勤務条件の再検討を行うことにより、人材確保に取り組む施設が見られます。そのようなニュースや同業者の体験談を見聞きし、転職を検討する人も多いのではないでしょうか。

しかし、保育士は有資格者の人数に対し、有り余る求人数が見られます。売り手市場であるはずの保育士であっても、転職に失敗し、後悔する人は存在することが実情です。

そこで今回は、保育士の転職で失敗する3つの理由と失敗事例から、転職を成功させるポイントまで詳しくご紹介します。保育士の転職失敗パターンと対策方法を理解しておきたいという方は、ぜひ参考にしてください。

1.【保育士の転職】3つの失敗事例

転職に失敗する保育士には、典型的な失敗パターンが存在します。失敗事例を知り、反面教師とすることによって、リスクヘッジが可能です。

3つの事例に対して「どこが悪かったのか」「どのようにすれば、失敗することがなかったか」を考え、自らの転職活動に活かしてください。

1-1.【事例①】持ち帰りの残業が多くお給料が割に合わなかった

保育園で使う壁面製作

Aさんは、働いていた保育園の残業がひどく、転職のために保育士の求人サイトを見ていました。その際に見つけた、通勤範囲内にある保育園の求人情報に記載された「残業なし」という文言に魅力に感じ、転職を決めました。

職場選びを行う際に「自分の子どもと過ごす時間も大切にしたい」という想いがあったためです。しかし実際は、残業がない代わりに持ち帰る仕事が増加し、子どもと過ごす時間は依然と変わりませんでした。

上記は、優先順位が高い条件に対し、思い描いたイメージと実情のミスマッチが生じたことにより、転職満足度が低下した事例です。

求人サイトの待遇欄に記載される内容は、最低限の情報です。求人サイトに記載された内容だけを鵜呑みにして転職を判断した場合には、このような失敗が危惧されます。保育士と求人施設の「どちらが悪い」というわけではなく、記載内容に対する解釈の相違が招いた失敗だと考えられます。

1-2.【事例②】待遇は良かったものの園の方針が気に入らなかった

憂鬱そうに悩む保育士

子どもとともに成長したいと考えているBさんは、子どもの良いところを伸ばすために「褒める保育」が望ましいと考え、これまで長い間、保育士としてのキャリアを重ねてきました。

さらに新しい環境で、たくさんの子どもと関わりたいと考えたBさんは、求人サイトから応募し、晴れて合格。

新しい環境でまた子どもたちの成長が見れると歓喜していたのもつかの間、転職先のベテラン職員から「安易に褒めることは子供のためにならない」といった注意を受け、保育理念とのミスマッチに気付きました。

転職前の職場と比較して給料が良く、待遇面に対する不満こそないものの、子どもたちとの接し方に頭を抱える毎日となってしまいました。

上記は、施設の掲げる保育理念・個人的な保育観の不一致から生じた失敗事例です。保育理念を確認することなく転職を決定した場合には、このような問題が生じます。

求人サイトの待遇欄に記載される内容は、最低限の情報です。求人サイトに記載された内容だけを鵜呑みにして転職を判断した場合には、このような失敗が危惧されます。保育士と求人施設の「どちらが悪い」というわけではなく、記載内容に対する解釈の相違が招いた失敗だと考えられます。

近年では、募集要項に保育方針を明記する・保護者との接し方や施設の日常をまとめたDVDを配布するなど、ミスマッチ防止に向けた具体的な取組みを始める施設も見られます。

提供される資料を読み込むことはもちろんのこと、自分の理想とする保育士像を伝えて、認識合わせに努めましょう。

1-3.【事例③】保育士同士の人間関係がうまくいかなかった

ギスギスしている男女保育士

残業が多かった保育園を辞め、再度違う保育園で働こうと考えていたCさん。 その時、ふと見つけた保育士求人の賃金や通勤の利便性は申し分なく、園長先生の掲げる理念にも共感したため、転職を決めました。

就職先は、複数担任制の保育園。ペアを組むベテラン保育士と折り合いが悪く「園児や保護者には、迷惑をかけたくはない」といった思いから離職し、転職活動のやり直しを決意しました。

上記は、転職先の人間関係に関する失敗事例です。保育士同士のコミュニケーションが滞ることにより、子供や保護者に対する悪影響が懸念されます。

複数担任制の施設は特に、担当者同士の相性が重要です。片方に明らかな非が見られる場合は、ペアの入れ替えなど、経営者からの配慮や改善対応も期待されます。

しかし、職業観の衝突や人間性など漠然とした理由で衝突を起こした場合は、勤続年数の長い保育士が優先される可能性も否めません。

2.保育士の転職で失敗してしまう3つの理由

雇用契約書と履歴書

どれほど優秀な保育士であっても、子供や保護者との接し方に悩んだり、他の施設と比較して待遇が悪いように感じたりする時期があります。不満を抱えたまま今の職場で働くことより、自分に合う場所を見つけ、再チャレンジする選択肢の方が魅力的に感じるものです。

実際には、転職が最適な答えとは限りません。ここからは、「転職しなければ良かった」と後悔するリスクの高い失敗パターンをご紹介します。

2-1.条件の表面的な部分のみに注目する

新しい職場への期待に胸を膨らませるあまり、求人情報に記載されている条件の表面的な部分にのみ注目してしまう方も多いです。しかし、求人情報しかチェックせずに転職してしまうと、後々「こんなはずじゃなかった」と後悔する原因にもなりかねません。

現在の給与に不満がある場合、求人を探す際に注目するべき情報は給与面ですが、表記の仕方は園によってさまざまです。額面では大きく見えていたとしても、その中に各種手当が含まれている場合もあり、手当を含まない金額を記載している方が、実際の手取り額が多くなる...なんてこともあります。

また、休日制度に関する表記にも注意が必要です。「完全週休2日制」とは、1週間で必ず2日は休めるということを意味します。一方で「週休2日制」は、ひと月のうち最低1週は2日休めるということであり、その他の週は休みが1日しかないケースも珍しくありません。 このように表記の違いをよく理解したうえで、雇用条件について少しでも疑問を感じるようであれば、曖昧なままにせずに、必ず採用担当者に確認しておきましょう。

2-2.条件のみに注目する

求人情報を隅々まで読み込み、理解した上で応募することはもちろん大切です。しかし先述した失敗事例にもあったように、給与面や待遇が良くても、園の方針や雰囲気が合わなかったというケースも少なくありません。

園の方針や雰囲気は、実際に園を見学してみなければ分かりません。求人情報の記載事項を眺めるだけでは、実態を探ることは困難です。

園を見学せずに応募を決めてしまうと、「園の雰囲気が嫌だけど、待遇や給料は良いから辞めるに辞められない」ということが起きてしまうかもしれません。転職先を決める際は、担当者に保育園の見学を依頼するのも良いでしょう。

2-3.転職回数が多い

昔に比べれば、今は転職に対して「キャリアアップのため」「自己実現のため」と好意的に見てくれる人も増えてきました。キャリアプランや人生設計に合わせて職場を変えるということは、今や珍しいことではないのかもしれません。

しかし、安易な転職を繰り返すことは自分自身の評価を下げることにつながり、周囲の人だけではなく、転職先からも不信感を抱かれる可能性は少なからずあるでしょう。 本来ならば前向きな転職であっても、短期間で繰り返すようであれば、「根性がない」「人間関係をうまく築けない」といった印象を与えてしまい、書類審査の時点でふるいにかけられてしまうこともあります。

そうなれば、必然的に転職活動期間が長期化し、次に進むことすら困難な状況に陥るという悪循環にもつながりかねません。

3.転職することにより発生するリスクについて

レッドカードとイエローカードを掲げる女性

現状を変えたいという強い思いに突き動かされてしまうと、次の転職先のことばかりを考えてしまうかもしれません。しかし一度立ち止まってみて、今の職場のどのような点が自分に合わないのか、どの部分が改善されれば気持ちよく仕事ができるのかを再度考えてみましょう。

今の職場の不満やマイナス面だけに目が向いてしまうと、現在自分がどれほど恵まれた条件のもとで働いているのかを忘れがちになります。 たとえば残業が多いことに不満があり、転職先は「残業なし」の職場を希望したものの、実際は家に持ち帰る仕事が増えただけ、もちろん残業代は出ない...という結果を招き、転職を後悔するケースも見られます。

先述したように、転職回数は書類審査に大きく関係します。 まずは今の職場での不満点をまとめると同時に、実は恵まれた条件も含まれているかもしれない、と冷静な視点で現状を見つめ直すことも大切です。 保育士としての原点に立ち返り、転職という判断が自分にとって望ましい答えなのかを今一度考えましょう。

4.保育士の転職を成功させるポイント

OKサインを出す保育士

厚生労働省の策定した「子育て安心プラン」では、2020年度末までに30万人を超える児童の受け皿確保を目指し、技能や経験・保有資格に応じた給与の改善・業務負担の軽減といった方策が示されました。

転職・就職活動を行う保育士にとっては、大きな支援材料です。このチャンスを活用し、キャリアアップを図るためには、次のポイントを守りましょう。

4-1.転職の目的や希望を明確にする

保育士の転職を成功させるためにはまず、転職の目的を明確化することが第一に重要です。転職を検討する理由は、人それぞれ異なります。家族と過ごす時間が少ない・施設の理念と自分自身の志向に生じたギャップなど、いろいろな理由が存在するでしょう。

いずれの人にも該当する共通点は「何らかの問題を解決するための手段として、環境を変える」ということです。これが「転職の目的」にあたります。 そして、目的を達成するための必須事項が「条件」です。家族と過ごす時間を確保するための転職であれば、「完全週休2日」「30分以内の通勤時間」などの希望条件を洗い出し、優先順位をつけましょう

優先順位をつける理由は、転職活動の長期化を防ぐためです。希望条件をすべて満たし、理想通りの転職先を探すことは、現実的と言えません。 完全週休2日は必須条件・通勤時間は45分程度まで許容範囲といったように、譲歩できる条件・譲歩できない条件を区別することにより、理想に近い求人を検索しやすくなるでしょう。

派遣会社やハローワークの求人紹介・求職者支援を受ける場合や人材紹介会社・民間企業のサービスを活用する場合には、初回相談に備えて、目的や条件を整理します。 合わせて、退職理由や希望するキャリアプラン・仕事内容を明確化することにより、有意義なアドバイスを受けられるでしょう。

4-2.園や他の保育士さんの雰囲気もチェックする

次に、施設見学を有効活用することです。志望度が高い施設へと実際に足を運び、労働環境や保育士の人間性、子供との接し方を確認することにより、ミスマッチを予防できます。

保育園見学では、次のような点を確認しましょう。

・受け入れ児童数に対して、十分な人数の保育士がいること
・衛生面や安全管理が徹底され、保育に適した環境であること
・絵本やおもちゃ、遊具の種類や数の充実度合い
・保育士の年齢層や男性保育士と女性保育士の比率
・保育士同士の連携が滞りなく行われ、働きやすい環境であること

施設見学から得た情報をもとに転職後の働き方をシミュレーションし、目的や希望条件との合致を確認しましょう。現地で見聞きした情報を整理し、履歴書作成や採用面接に活かすことも可能です。

まとめ

保育士は、子供の人格形成や心身の成長を見守り・支援する魅力的な仕事です。目標とする保育士像を実現するという目的で、前向きな転職を行うことにより、働き甲斐を創出することができるでしょう。

安易な転職を繰り返すことは、保育士としての成長を逃すこととなりかねません。感情的な行動は控え、これまでの経験から得た知見や保有スキル、転職目的や希望条件をあらためて整理し、後悔しない判断に努めましょう。

ここまでの内容を参考に、成功できると自信を持てる最良な手段を選んでください。