雇用契約書と履歴書

家庭の事情や個人的な理由から保育職から離れていた保育士資格保有者は、「パート保育士」という働き方を始めることができます。パート保育士であれば都合の良い時間帯だけ仕事ができ、一定の収入を確保も可能です。フルタイムの正社員として働くことが難しい介護や育児をしている方も安心して仕事に復帰できるでしょう。

今回は、保育士のパート時給やパート保育士と正社員の待遇や仕事内容の違いなど、職場復帰や転職に役立つ情報を紹介します。

1.パート保育士の仕事内容|正社員保育士とどこが違う?

二人の保育士

まずは、パート保育士の仕事内容を紹介します。

パート保育士の主な仕事内容は、保育補助です。正規職員同様に園児が行う活動全般を支援しますが、責任範囲が異なります。正社員のように担任を担当する可能性は低く、片づけや掃除、室内活動や行事の準備といった補助業務が中心です。

保育士のパート社員・正社員の違いは、応募資格にも見られます。保育士資格を持たない主婦でも、自治体ごとの研修を受講することにより、保育補助の仕事に就くことは可能です。これは、パート保育士の中でも、子育て支援員に特化した内容にあたります。保育士パートの求人情報に「資格必須」「有資格者」の記載が見られる場合、子育て支援員認定者の申込みはできません。パート保育士の求人数は資格保持者向けの方が、雇用形態の選択肢も豊富です。

さらに、保育士のパート求人に見られる仕事内容は、施設の状況にも左右されます。 保育士の人数に余裕がある施設では、子どもたちと関わる仕事の分量が少なく、クラス担任の補助や雑務などを主に担当します。職員不足が深刻な施設では、登園や降園、保護者の対応・食事の補助・室内活動など、正社員と変わらない業務を任されることもあります。

2.パート保育士の給料と社会保障事情はどうなってるの?

ライフスタイルに応じた働き方に魅力を感じる反面、保育士パートの給料水準や社会保険に関し、不安を持つ方もいることでしょう。ここからは、パート保育士に対する処遇の実態をご紹介します。

保育士業界に限ったことではなく、労働力不足問題に対する解決策として、パート・アルバイトや派遣社員、臨時職員など、多様な働き方を受容する動きが高まっています。一度保育士の職から距離を置いた人でも復帰しやすい環境が整備されつつあります。

2-1.パート保育士の平均時給・ボーナスについて

給与明細と給与

保育士のパート時給は、勤務地や保有スキルに応じて異なります。全国的には、900円から1,200円程度が相場です。保育士資格を有する人や認定こども園など特殊な実務経験者に対しては、上乗せ支給がなされることもあります。

求人検索を行う際には、時給と合わせて各種手当を確認しましょう。通勤手当など時給とは別に支給されるお金の有無でも、月給ベースの手取り額が変わります。保育士のパートには、ボーナスを支給しない事業所が大半です。経営者の方針によっては、寸志程度の賞与支給がなされるケースもあるため求人要項は詳細まで確認が必要です。

なお、保育士全体としては、2017年実績値で月額約32,000円(2012年比)の処遇改善が見られます。厚生労働省は、さらなる処遇改善を進める方針です。新たな財源として技能・経験に応じた処遇加算が導入された場合には、最大4万円の上乗せが見込まれます。処遇に不満を抱えて離職し、ブランクの長い保育士であっても、条件のよい職場への再就職が可能です。

2-2.パート保育士の社会保険・雇用保険・有給休暇について

雇用保険被保険者証

保育士のパートに対する社会保険(健康保険・厚生年金)・雇用保険・有給休暇は、次のように適用されます。

〇社会保険(健康保険・厚生年金)

健康保険や厚生年金の保険料は、労使折半にて支払います。保険料の半額は雇用者の支払いとされ、自己負担分より多くの保障を得られる点から、メリットの大きな制度です。
次の条件をすべて満たす保育士のパートであれば、健康保険・厚生年金に加入できます。

・週20時間以上の所定労働時間であること
・月額賃金8.8万円以上であること
・1年以上の継続雇用見込みがあること
・従業員数501人以上の会社で働くこと
・500人以下の会社では、社会保険に関する労使間の合意がなされること

〇雇用保険

雇用保険とは、失業・就業不能状態に陥った際、生活基盤の維持や再就職に要する技能の習得、再就職先の紹介などを行うものです。以下2点を満たすパート保育士は、雇用保険に加入できます。

・1週間の所定労働時間が20時間以上
・1年以上雇用される見込みがあること

〇有給休暇

パート保育士として雇用契約を結び、半年以上が経過すると、有給休暇を取得する権利が発生します。

所定労働日数によって付与される年次有給休暇の表

(引用:厚生労働省労働基準情報「労働基準行政全般に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei06.html

働き方改革法案の成立により、年10日以上の有給休暇を取得する権利がある労働者には、雇用者の方から日程を指定し、最低5日以上の取得を義務づけることとなりました。この法案は、2020年4月から施行されます。条件を満たすパート保育士も、対象となります。

3.保育士としてパート勤務するなら保育園選びが重要!

保育園の様子

保育士として新しいスタートを切るために再就職したにも関わらず、人間関係や仕事内容に悩み、早期離職を選ばざるを得ないケースも発生しています。

そのため、自分に合う環境を見つけ、安定した働き方を実現するためには、保育園選びが大切です。

最後は、パート保育士の再就職や勤務先選びの失敗事例とよい職場に出会うためのポイントを紹介します。

3-1.パート保育士によくある「こんなはずじゃなかった...」とは

保育職は、まだまだ人手不足という問題を抱えています。ワークライフバランスを考えてパート職を選択したにも関わらず、正社員同様の働きを要求される・当初の約束以外の時間帯勤務を依頼される保育園があります。

【事例1】クラス担任を依頼され... 保育士のパート職にも関わらず、クラス担任を依頼され、勤務時間や時給に見合わない業務量や責任が発生したケースがあります。これは求職者側と保育園の「保育補助」に含まれる具体的な仕事内容の認識のミスマッチから生じた食い違いです。

【事例2】早番・遅番をすべて任せることに... 人手不足の園では、早番・遅番のシフトをすべてパート保育士に任せられるというケースも発生しています。パート保育士に関しては残業やシフトに関し、契約と異なる働き方を指定された場合には、拒否する権利を有します。ただし、人間関係や保育園からの心象を考慮すると、断固拒否を継続することが現実的ではなくライフバランスを崩してしまったり、退職を余儀なくされる保育士の方もいます。

すべての保育園で契約違反があったり、大きすぎる責任が課されたりするわけではありませんが、自分や家族の状況に合った生活・仕事ができるよう保育園選びは慎重に行いましょう。

3-2.保育園選びは「勤務条件・業務内容」を要確認

パート保育士が働きやすい保育園の条件は、ライフスタイルに応じた働き方ができることです。入園前に次のことを確認し、希望条件に対する適合度合いを見極めます。

・勤務時間と日数
・通勤の利便性(自宅からのアクセス・最寄り駅からの徒歩分数)
・時給や交通費規定支給額・時間外手当に関する詳細
・業務内容
・有給休暇の有無と付与条件
・社会保障制度(健康保険や厚生年金保険、雇用保険)の加入可否

社会保障と業務内容は、特に重要なポイントです。保育士のパートが担当する業務内容は非常に多岐に渡ることから、認識違いが生じやすい事項といえます。「クラス担任を受け持つ可能性はあるか」「正社員保育士と責任範囲の違いはあるか」といった具体的な質問を自分から行い、齟齬がないことを確認しましょう。

また、求人サイトの記載内容や求人事情を読み解くことでも、仕事探しの失敗を予防できます。広告を長期間掲載する・地域相場と比較して明らかに高い給与が設定されているといった不自然な兆候が見られる場合は、慎重に確認が必要です。

まとめ

今回は保育士パートの給料水準や仕事内容、働きやすい求人の探し方を紹介しました。

近年は、保育士の労働環境は改善しつつあり、病児保育・夏休みや冬休み期間の学童保育など、育児を理由に離職した保育士の復職支援を行う保育園も見られます。経験キャリアやブランクの長さに応じた実務研修制度、勤務時間の調整を図る保育士再就職コーディネーターなど、自治体支援の活用も検討しましょう。

保育士資格を有効に活用し、新しいキャリアを踏み出しましょう。