保育士が初任給を受け取る上で覚えておきたい基礎知識

保育士は多くの子どもたちの成長に携われる、とても魅力的な職業です。しかし仕事を選ぶうえでは、給料の多い・少ない、ということも重要な判断材料と言えます。実際、これから保育士になろうとしている人は、働き始めてからどれくらいの給料がもらえるのか気になっているのではないでしょうか。

そこで今回は、保育士の平均初任給について紹介します。給与に関する基礎知識や今後の見通しについても解説しているため、保育士を目指している人はぜひ参考にしてください。

保育士が初任給を受け取る上で覚えておきたい基礎知識

初任給とは、新卒の人が6月分として受け取る給与のことを言います。一般的には仕事を始めて1番最初にもらう給与を「初任給」と呼ぶことが多いですが、厚生労働省が定義する初任給は6月分の給与です。

初任給は所定労働時間に対して支払われる賃金のことを指し、時間外勤務分の賃金は含みません。また家賃補助を始めとする諸手当は含みますが、通勤手当は除きます。

求人情報に記載されている初任給を見比べる際は、上記の正しい定義を理解しておくことが大切です。まずは、給与から差し引かれる「控除」と、差し引かれた後の「手取り」について解説します。

給与から差し引かれる「控除」と「手取り」について

給与は支給された額を全て受け取れるわけではありません。実際は各種保険料や税金が控除され、残った金額を手取りとして受け取れます。給与から控除される各種保険料や税金の説明は、以下の通りです。

◯健康保険料

日本国民は全員、公的医療保険に加入することが義務付けられています。目的としては、怪我や病気で通院した際、医療費の負担額を軽減するためです。健康保険料の支払いは勤め先が半分を負担し、残り半分が給与から差し引かれます。

◯年金保険料

老後に年金を受け取るためには、保険料を納める必要があります。年金の保険料についても支払いは勤め先が半分を負担し、残り半分が給与から差し引かれます。ただし、正社員もしくは公務員として保育士になった場合、年金の分類は厚生年金です。パートや個人事業主よりも納める保険料は高くなりますが、その分老後に多くの年金が支給されます。

◯雇用保険料

雇用保険は失業した際、失業手当や再就職手当を受け取るための保険です。基本的には就職と共に強制加入させられます。職種が「一般の事業」に該当する保育士は0

◯所得税

給与には所得税が課せられます。所得税の課税率は収入によって変動し、収入が多くなればなるほど課税率が大きくなる仕組みです。自分の収入において課税率が何

◯住民税

住民税は自分が住んでいる市区町村・都道府県に納める税金です。ただし住民税は前年度の収入を元に計算されるため、社会人1年目は支払いの義務がありません。1年目から2年目にかけて昇給がない場合は、2年目から手取り額は減ってしまうため注意する必要があります。

保育士の平均初任給はいくら?

初任給をもらう保育士

保育士の平均初任給は約16〜22万円です。地域によって給与水準が異なることに加え、私立・公立のどちらに勤務するのかでも初任給が異なるため、平均初任給のばらつきは大きくなっています。

ここでは私立保育園と公立保育園、それぞれに勤務した場合の平均初任給について解説します。ただし、データの参照元によって初任給の定義などが少しずつ異なるため、金額はあくまで参考程度に留めてください。

私立保育園に勤務した場合

私立保育園に勤務した場合の平均初任給を下記に示します。

私立保育園に勤務した場合の平均初任給
年(賞与や特別給与を含む)
20代 19.3万円 239.4万円
30代 20.6万円 260.7万円
40代 20.8万円 262.4万円

(出典元:e-Stat職種・性、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(2018年)https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003084964

私立保育園に勤務した場合の平均初任給は約19〜21万円です。ただし、上記の数値は時間外勤務・休日出勤手当などを含まない金額であるため、勤務状況によってはもう少し給与が増えます。

前述したように、給与からは保険料や税金が控除されるため、上記の金額が全額支給されるわけではありません。時間外勤務・休日出勤手当による加算を考慮しなければ、手取り額は20万円以下となるケースが大半です。

公立保育園に勤務した場合

公立保育園に勤務した場合の平均初任給
高卒 14.9万円
短大卒 16.1万円

(出典元:平成29年4月1日地方公務員給与実態調査結果http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/h29_kyuyo_1_03.pdf

公立保育園に勤務した場合の平均初任給は約15〜16万円です。私立保育園に勤務した場合に比べ、平均初任給は多少落ちます。

ただし公立保育園の保育士は、公務員に分類され、有給の取りやすさや福利厚生などの勤務環境は安定しやす点が特徴です。そのため勤務先を選ぶ際には、初任給以外の面も考慮して私立・公立を選びましょう。

また高卒と短大卒では、短大卒の方が平均初任給は多い傾向にあります。少しでも多くの初任給が欲しいなら、短大を卒業してから保育士を目指しましょう。

【現状と今後】保育士の給料はアップする?

給料のアップした保育士

世の中に数多くある職業の給与水準は、時代と共に変化しています。保育士の給料が今後どうなっていくのかは、保育士を目指している多くの人が気になる部分でしょう。ここでは保育士の給料の現状と今後、さらに初任給・給料アップを目指す方法ついて詳しく解説します。

「保育士の初任給は低い」と言われる理由

厚生労働省のデータによると、全職種平均の初任給は以下の通りです。

全職種の平均初任給
大卒 20.7万円
高専・短大卒 18.1万円
高卒 16.5万円

(出典元:平成 30 年賃金構造基本統計調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

以上の平均額に対して保育士の平均初任給は、前述したように約16〜22万円です。保育士という仕事の責任や負担の大きさを考えれば、決して高給とは言えません。

保育士の初任給が低さは、日本社会の歴史とも大きく関係しています。数年前までの日本には、「子育ては母親の仕事」という考えが根付いていました。

今でこそ女性が社会に出て働くことは当たり前になったものの、「お金を払ってまで子どもを他人に預ける必要はない」という一昔前の風潮が、現代においても保育士という仕事を軽視することに繋がっています。

保育士の給料・処遇は改善する見込み

保育士の初任給が低いと言われている一方で、近年社会問題にもなっている待機児童の増加への対策や、保育園無償化に備え、これからの日本ではますます保育士が必要とされています。人材確保を目的に、政府は今後保育士の給料・処遇を改善していく見通しです。

実施に「保育士処遇改善等加算Ⅱ」という、保育士の給与のベースアップを目的とした制度もスタートしています。この制度は、保育園に新たな役職を作り、保育士がキャリアアップがしやすい組織体制を整備するというものです。昇給の見込みが小さいと言われる保育士ですが、今後は技能や能力に応じてより多くの給与が得られる仕組みとなります。

初任給・給料アップを目指すなら?

保育士の初任給は、高卒よりも短大卒・大学卒の方が高いです。少しでも多くの初任給を得たいなら、短大卒・大卒という学歴で保育士として働き始めましょう。

加えて求人情報をしっかりと調査しておくことも大切です。私立・公立だけでなく、地域によっても給与水準が異なるため、可能な限り多くの求人情報をチェックしておきましょう。また賞与も給料をアップさせるための重要な要素であるため、支給される年間賞与額についても確認しておく必要があります。

まとめ

保育士の初任給の現状は、業務の責任や負担の大きさなどを考慮すれば決して高給ではありません。しかし今後、保育士の給料・処遇を改善していくとは確実視されています。

また、もらえる給料を考慮したうえでの求人情報のチェックも大切ですが、給与に関する正しい知識を持っておくことも大切です。給与に関して正しく理解したうえで、保育士としてキャリアアップを目指しましょう。

■さらにくわしく保育士の給与について知りたい方はこちら