20191007_night_shift_main_01-thumb-600x400-1304.jpg

あらゆる職種で働き方改革が進行し、パートスタッフ・派遣社員・契約社員など、多様な勤務スタイルや雇用形態が存在する時代です。保育士の夜勤の求人も、自分らしい働き方を実現するための選択肢の1つと言えます。

この記事では、夜勤勤務の募集を行う保育施設の種類と求人職種、仕事内容を紹介します。夜勤勤務のメリット・デメリットや求人選びのポイントを知り、転職先選びの参考に活用ください。

夜勤勤務がある代表的な保育施設と仕事内容・給料

夜の保育園

保育士の夜勤勤務を必要とする施設は、非常に多岐に渡ります。たとえば、24時間保育を行う保育園や保育所・乳児院・児童擁護施設・企業内保育園などが夜勤勤務を伴う施設の代表例です。
乳児院とは、保護者の養育が困難である乳児を養育、保護するための施設を指します。児童擁護施設とは、おおむね2歳から18歳の子供を保護し、生活環境を提供する施設です。

このうち、保育園及び院内保育園は、とくに求人数が多く、高い需要が見込まれます。これらの施設で夜勤勤務を行う保育士の担当する仕事内容や給料の相場、働き方に関して、以下で詳しく解説します。

保育園

認可保育園の開所時間は、施設ごとに異なります。延長保育を行う保育園は、夜間に働く人材が必要であるため、夜勤専門もしくは夜勤を伴うシフト制の職員募集を行います。

夜間保育とひと口にいっても、24時間体制の施設から18時から22時のように限定的な時間帯の預かりを実施する施設まで、サービス形態は様々です。夜勤勤務の保育士は、預かり時間に応じ、夕食・睡眠・入浴補助など、全般的な保育業務を行います。

■夜勤勤務の特徴

保育園の夜勤勤務には、以下のような特徴が伴います。日中勤務とは異なる業務も発生するため、夜勤勤務の保育士特有の仕事内容を覚えることが大切です。

①室内で行う活動が多く、体力面の負担が軽い
②体位や呼吸の確認など、睡眠中の安全確認業務が発生する
③日中勤務と比較し、担当する子供の人数が少なく、小規模園が目立つ
④夜勤手当の支給により、給料アップが見込まれる

■給料水準

正社員保育士の給料相場は、月収23万円から30万円程度です。アルバイト・パートスタッフは時給制で働くことが多く、経験・能力・保有資格などを考慮の上で、給与時給を決定します。

院内保育園

院内保育園とは、病院内もしくは病院の周辺に設置する認可外保育園を意味します。不規則な時間帯で勤務する医師や看護師、病院職員の子供を預かり、仕事と子育ての両立を支援する重要な機関です。

医師や看護師は、三交代や二交代のシフト制で勤務します。夜勤勤務の保育士には「医師や看護師の勤務シフトに合わせて子供を出迎え、退勤時間に合わせて降園を行う」といったように、変則的な働き方を要求されます。

仕事内容は、一般的な保育士と同様です。ただし、預かる子供の顔ぶれが日ごとに異なることから、運動会や音楽会といった年間行事を控える施設が多く、託児所に近い仕事内容を担当します。

■夜勤勤務の特徴

院内保育園で働く保育士の夜勤勤務は、以下のような特徴が存在します。

①幅広い年齢の子供の保育を担当し、寝かしつけやトイレトレーニング、見守りを行う
②保護者の勤務先が近く、連携が容易である
③24時間体制でシフト制勤務の求人が目立つ

■給料水準

院内保育園で働く正社員保育士の給料相場は、月収18万円前後です。大規模な病院や医療法人、大手企業が運営を行う院内保育園は、月収20万円以上の好条件を提示し、求人募集を行うこともあります。
パート・アルバイトの給料は、保育士の経験や能力と募集施設の規程を照らし合わせ、決定します。夜勤勤務・早朝勤務に対し、時給の上乗せ支給を行うことも多く、日中勤務と比較し、高収入の期待される働き方です。

夜勤保育士として働くメリット・デメリット

メリットとデメリット

日中勤務から夜勤勤務に働き方の切り替えを行うと、生活の変化が生じます。夜勤保育士のメリット・デメリットを正しく理解した上で判断を行わなければ、再度転職せざるを得ない結果になりかねません。
以下の内容をふまえて、夜勤保育士として働くことが自分にとって望ましい選択であるかを今一度検討しましょう。

メリット①夜勤手当・夜間割増賃金で収入が割り増しされる

夜勤保育士は、夕方から日勤保育士の出社時間まで働くことが一般的です。この時間帯の勤務は夜勤手当や夜間割増賃金の対象に該当し、給料の上乗せ支給がなされます。

夜間割増賃金は、労働基準法第37条第4項に沿い、通常賃金の125%以上を支給するルールです。たとえば、時給1,000円で働く保育士は、時給1,250円以上を確保できます。

労働基準法第37条第4項
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

(引用:昭和二十二年法律第四十九号労働基準法https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049

メリット②平日の日中を仕事以外に使える

夜勤当日や翌日の日中に、自由時間の確保が可能である点も、夜勤保育士のメリットです。勤務シフト制の職場では、土日祝日以外の曜日に休暇を確保し、仕事以外の予定を組むことができます。

子供の授業参観や三者面談は、平日に行うことが多いため、子育て中の保育士と相性の良い勤務形態の1つです。

メリット③勤務日数が少なくても安定した収入が得られる

夜勤手当・割増賃金の上乗せ支給を受けることから、限定的な勤務日数でも、安定的な収入の実現が可能です。
サービス残業は比較的少なく、ワークライフバランスを重視する保育士に適した勤務体系に該当します。

デメリット①拘束時間が長い

夜勤保育士は、1回の出勤に対して、16時間から18時間程度勤務します。
勤務時間の合間に適度な仮眠や休憩時間の確保を行うため、拘束時間が長く、短時間勤務を希望する保育士には不向きです。

デメリット②夜に寝られない

夜勤保育士は変則的な時間に帰宅するため、一定の時間帯に寝ることが困難です。変則的な生活に身体が慣れるまでの期間は、負担を感じる可能性が高く、日勤の保育士よりも体力が要求されます。

応募条件に「夜勤専従」といった記載を伴う求人は、昼夜逆転の働き方を行います。昼間の時間帯は照明の明るさを調整し、生活リズムを整えるなど、働き方に適応する自己努力が必要です。

デメリット③体調の自己管理が重要となる

夜勤保育士は、日中勤務の保育士と比較し、少ない人員で勤務します。急な欠勤は、他の保育士に負担をかけてしまうため、徹底した体調管理を行いましょう。

人員不足が深刻な事業所の場合は、別の保育士の欠勤による出勤要請を受けることも想定されます。休日出勤に対する割増手当の支給規程を確認し、できる限り対応しましょう。

夜勤勤務ありの求人に申し込む前は「勤務体制」を要確認!

パソコンの前の女性

夜勤勤務の求人から絞り込みを行う際には、勤務体制や職場環境の確認が必要です。具体的には、以下の点に注目し、働きやすい職場を選択しましょう。

  • 子供の人数や事業形態に応じ、保育士の人数が十分であること
  • 仕事内容や量に対し、適切な給料水準であること
  • 給与の記載が不自然に高く、高待遇を強調する記載ではないこと
  • 求人掲載を繰り返し掲載し、頻繁な募集を行う保育園に該当しないこと

ブラック保育園を見分けるためには、保育園見学を行い、施設内の衛生環境や職員の雰囲気を調べることも大切です。タイムカードが存在しない・保育士の人数不足など、気になる兆候の存在する職場は、安易な応募を避けて下さい。

夜勤保育士特有のチェックポイントは、夜勤手当や夜間割増賃金の取り扱いです。不自然に高いモデル給与を提示する保育園は、ブラック保育園である可能性が否めません。

求人選びに不安を感じる場合は、転職サイトのキャリアアドバイザーに相談しましょう。求人施設の実態を知るアドバイザーの意見をもとに求人企業の絞り込みを行うことが理想的な職場と出会う近道です。

まとめ

保育士の夜勤勤務・日勤勤務のいずれにも、他方と比較した場合のメリット・デメリットが存在します。転職活動を始める前に職場に対する要求の優先順位を決定し、マッチング度合いの高い働き方を検討しましょう。

保育士業界全体として処遇改善の動きが本格化しつつあるとは言え、施設ごとの取組み状況は異なります。スキルやキャリアをより高く評価し、自分らしく働くことが可能である職場転職を行うことは、悪いことではありません。

夜勤勤務・日勤勤務の選択はもとより、保育士としての長期的なキャリアを今一度見つめ直し、理想のライフスタイルを実現しましょう。