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埼玉県は全国的に見ても待機児童が多い地域であるため、自治体と民間が一体となって保育士の人材確保に努めています。その努力は、埼玉県における保育士の給与や支援・補助制度といった待遇面にあらわれています。

出典:厚生労働省「令和3年4月の待機児童数調査のポイント (参考)令和3年4月1日 全国待機児童マップ(都道府県別)」

この記事では、全国平均や他の都道府県との比較による埼玉県の保育士の給料相場、埼玉県の地域差で生じる給料の違いについて解説します。埼玉県で実施されている支援・補助制度も詳しく紹介するため、埼玉県で保育士として就職活動を行っている方は参考にしてください。

【埼玉県】保育士の給料相場|全国平均との比較

給与

地域によって物価や人口の規模が異なるため、保育士の平均給与にも地域差が存在します。埼玉県は首都圏に近く、人口も比較的多い地域であることから、全国の平均給与と比較すると埼玉県における保育士の給与は高い傾向にあります。

実際に埼玉県の保育士の平均給与はどれくらいの水準にあるのでしょうか。 全国の平均給与と比較してみましょう。

埼玉県と全国の保育士の平均給与比較(年収)
埼玉県の保育士の平均給与 364万円
全国の保育士の平均給与 374万円

出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

上記の表を見ると、埼玉県の保育士の平均給与は、全国の保育士の平均給与と比べると10万円程度の差と、大きな隔たりはありません。

年収の金額としてはさほど差がないように見えますが、全国の保育士の平均給与は東京都など一部の平均給与の高い地域により押し上げられています。 そうした理由から、下記の表に示したとおり、埼玉県の保育士の給与は他の都道府県と比べても高水準だと言えるでしょう。

埼玉県とその他都道府県の保育士の平均給与比較(年収)
埼玉県の保育士の平均給与 364万円
東京都の保育士の平均給与 398万円
大阪府の保育士の平均給与 385万円
福岡県の保育士の平均給与 356万円
北海道の保育士の平均給与 317万円

出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

こうした地域差のほか、勤続年数や業務内容、役職などによっても、保育士の給料は異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。

埼玉県内で違いはある?保育士の給料が高い市区町村はどこ?

検索

次に、埼玉県内における給料の地域差について見ていきましょう。埼玉県における保育士の給料は、埼玉県の地域によって差があります。なかでも、下記の自治体で働く保育士の給料は高い傾向にあります。

  • さいたま市
  • 戸田市
  • 新座市
  • 越谷市

上記の地域は、保育所によっては保育士の年収が400万円を超えることもあり、埼玉県内でも保育士の給料が高い市区町村です。また、保育士の募集が多い地域でもあります。

市区町村によって給料に違いがある理由

市区町村によって保育士の給料に差が生じる理由には、下記の点が挙げられます。

  • 市区町村により、家賃にかかる費用や物価が異なるため
    地域における家賃や物価などの生活費用の差は、給料の地域差に大きく関わる要素のひとつです。人口の密集している都市部では家賃や物価に比例して給料も高くなりますが、人口の少ない町村部は家賃や物価が安いため、保育士の給料も低くなる傾向にあります。
  • 市区町村独自の手当や取り組みをしている地域があるため
    市区町村によっては、保育士の待遇改善を目的に独自の手当や取り組みを導入しているところもあります。給料改善に積極的な市区町村の場合、保育士の平均給料は高くなる傾向にあります。

保育士に関する独自の手当や取り組みを導入している地域の多くは、保育士の福利厚生・勤務環境が整っている点も特徴です。転職による年収アップを考えている方は、各自治体における独自の取り組みについてチェックするとよいでしょう。

埼玉県で実施!保育士に対する「支援・補助制度」とは

支援・補助

埼玉県では、保育士を確保することを目的に、さまざまな「支援・補助制度」を実施しています。基本的に、各支援・補助制度は所定の届け先へ申請することでサポートを受けられる仕組みとなっています。利用条件を満たす場合は、積極的に申請を出しましょう。

ここからは、埼玉県で実施されている支援・補助制度を紹介します。

保育士宿舎借り上げ支援事業

保育士宿舎借り上げ支援事業は、さいたま市が国や県の補助制度を活用して実施している支援制度です。この制度では、保育士用の宿舎(賃貸マンション、アパート)を借りている民間の保育園に補助金を支給しています。

保育士宿舎借り上げ支援事業
対象施設 さいたま市内の民間認可保育所・認定こども園・地域型保育事業
対象職員 対象施設に勤務する常勤保育士で、対象施設に採用されてから9年以内の方
※特例として保育士としてみなしている保健師又は看護師も対象となります。
なお、常勤保育士とは、1日6時間以上かつ月20日以上勤務の雇用契約となっている方をいいます。
上記に当てはまる場合でも、住居手当を支給している職員や、施設長は対象外です。
対象宿舎(物件) 対象施設を運営する法人等が借り上げている、さいたま市内の物件
(法人等及びその利害関係者が所有する物件は対象外です。)
対象経費 賃借料、共益費(管理費)
補助額 新設園の場合
対象経費から本人負担額を差し引いた金額(1戸あたり月額上限72,000円)の8分の7が補助額となります。

既設園の場合
対象経費から本人負担額を差し引いた金額(1戸あたり月額上限72,000円)の16分の13が補助額となります。
(ただし、「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(平成27年3月31日付け三府省連通知)に定めるキャリアパス要件を満たしていない施設の場合、4分の3の補助率となる場合があります。)

※国、県の規定によっては、変更となる可能性があります。
※令和2年度に本事業の対象となっており、令和3年度も引き続き雇用が継続、かつ同じ宿舎にお住まいの場合は従前の補助基準額(80,000円)が適用となります。

引用:さいたま市役所「保育士宿舎借り上げ支援事業を実施しています」

保育士宿舎借り上げ支援事業を利用すると、保育所等の運営者は宿舎を借り上げることによる経費の一部を補助金でまかなえるようになります。そのため、保育士用の宿舎(賃貸マンション、アパート)を提供している事業者は、この制度を利用していることが多いです。

埼玉県保育士就職準備金貸付

埼玉県保育士就職準備金貸付は、埼玉県(さいたま市を除く)で保育士として就職を考えている方に準備金を貸し出す制度です。この支援制度を利用し、さいたま市を除く埼玉県内の保育所等で保育士として2年間働くと、借りたお金の返済が不要となります。

埼玉県保育士就職準備金貸付の内容は以下のとおりです。

埼玉県保育士就職準備金貸付
貸付対象 以下の全ての条件に該当する方。
①保育所等を離職した又は勤務経験がない方。
②県内の保育所等(さいたま市を除く)に令和3年4月1日~令和4年3月31日の間に新たに保育士として勤務する方。
③一週間あたり20時間以上の勤務である方。
※ただし、新卒保育士の方及び保育士修学資金貸付の「就職準備金」を受けた方は対象外です。
貸付額 最大40万円(千円未満切り捨て)
準備金の使途 ①就職準備にかかわる、以下に要する費用として貸付けます。
ア 保育所等への就職によって転居が伴う場合における転居費用
イ 転居先の賃貸物件の借り上げを伴う礼金や仲介手数料
ウ 保育所等で使用する被服費
エ 保育所等の勤務に復帰するに当たり研修等を受けた際の研修費用
オ 保育所等への通勤に要する移動用自転車等の購入費
カ 申請者の子どもが保育所等を利用する際に必要となる費用
キ 子どもの預け先を探す際の活動に必要となる費用
ク その他、就職準備金として県が認める経費
返還免除の要件 埼玉県内の保育所等(さいたま市を除く※)において2年間引き続き保育業務に従事した場合。

引用:社会福祉法人埼玉県社会福祉協議会「保育士就職準備金貸付」各種様式PDF 令和3年度埼玉県保育士就職準備金貸付の手引き

埼玉県保育士就職準備金貸付では、一度離職してブランクのある人も対象となり、就職を支援してくれます。貸付金を受け取った後、埼玉県内(さいたま市を除く)で2年間保育士として働けば全額返済不要となるため、実質的には貸付金を給付に近いかたちで利用できます。

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業は、さいたま市が実施している支援制度です。まだ学校に行けない子どもを抱える保育士をサポートするために、保育料の一部を無利子で貸与してくれます。

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業
対象者 未就学児を持つ保育士で、平成29年4月1日以降にさいたま市内の保育所等へ就職した方、又は産後休暇、育児休業から復帰する方
※ 週20時間以上勤務する必要があります。
※ 公立保育所の正規職員は対象外になります。
貸付限度額 利用者負担額(保育料)の半額(1月当たり最大27,000円を上限)
貸付期間 保育所等に勤務している期間とし、当該保育所等に勤務を開始(復帰)した日から1年間
返還免除の要件 貸付けを受けた保育士が市内の保育所等において2年以上勤務したときは、貸付金の返還の債務を免除します。

引用:さいたま市役所「未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業(返還免除有り)を実施しています!」

保育士として働きたいと思っていても、未就学児を家に残したまま勤務することは困難です。同事業を利用すれば保育料の経済的な負担を軽減できるため、金銭面を心配することなく保育士の仕事に就くことができます。

ここまで紹介したように、埼玉県では保育士に対するさまざまな支援・補助制度を用意しています。 「離職したけどもう一度埼玉県で保育士として働きたい」「育休が終わるタイミングで保育士として復職したい」という場合は、埼玉県の各支援・補助制度を有効活用しましょう。

まとめ

埼玉県は保育士の給料が全国的にも高い水準にある地域です。特にさいたま市などの都市部では高収入が見込めます。

また、埼玉県では宿舎借り上げ支援事業や就職準備金の貸付、未就学児の保育料の負担など、さまざまな支援・補助制度を実施しています。そのため、埼玉県は保育士が安心して働ける環境が整っていると言えるでしょう。

埼玉県による支援・補助制度を積極的に利用すれば、経済的な負担の軽減につながります。幅広く情報を集めながら、実りある就職活動を行ってください。

※当記事は2022年3月現在の情報を基に作成しています

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