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保育士が仕事する上で、「園児の怪我」はとても恐ろしい事態といえます。園児に怪我させてしまうと、手当てをしながら、どうすればいいのだろうと途方に暮れてしまうものです。中には責任をとって、今すぐ保育士を辞めたいと考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、すぐに保育士を辞めることは本当に正しい行為なのでしょうか。保育士なら誰もが遭遇する可能性のある「園児の怪我」について、事態に直面した際にしてはならない対応も交えて解説します。

園児の怪我が原因で保育士を辞めたいと思う人は多い

保育士は、子どもを安全に保育することが主な仕事内容です。しかし、子どもは自由に走り回り、安全・危険の区別が分からないまま行動するため、どれだけ注意を払っていても事故や怪我を負うといった事態は発生する可能性があります。

保育園で園児が怪我をしてしまった場合、クラス担任の保育士が責められることがほとんどです。怪我を負う事態が発生した理由や経緯に、保育士の落ち度がなくても関係ありません。保育士が園児の監督を怠ったとして事後の対応が行われるため、多くの保育士が「園児の怪我」が原因で、仕事を辞めたいと考えてしまいます。

辞めたあとの転職先

保育園を辞めて転職する際、以下の選択肢からどちらの転職方法を選ぶかによって、求人情報の選び方が異なります。

・保育士自体を辞めて、別の職種へ転職する ・保育士は辞めず、別の保育園へ転職する

責任感の強い人は、保育士自体を辞めて、全く違う職種で働きたいと考えるのではないでしょうか。たしかに保育の仕事から離れれば、過去のショックをやわらげることができるかもしれません。ただし、心の中では結局わだかまりが残り続けるうえ、せっかく取得した保育士資格を活かすことができません。

別の保育園へ転職することは、単に仕事を辞めるよりも大きな勇気が必要です。保育の現場に立ち続けるためには、過去の失敗と向き合わなければなりません。園児が怪我したあとの対応を誠実に行った上で退職して、同じ失敗は繰り返さない自信を持てるようにしましょう。

園児が怪我をした際に辞めたいと感じる瞬間

落ち込む保育士とけがをする園児

園児に怪我をさせてしまった際、保育士はさまざまな対応に追われます。対応の一つ一つに叱責と謝罪がついて回り、保育士が肉体的・精神的な負担を感じて、仕事を辞めたいと感じる瞬間です。ここでは、園児が怪我をした際の対応と、具体的に辞めたいと感じる瞬間について説明します。

保護者への説明

子どもが怪我をすると、当日中に保護者と対面して、説明と謝罪を行うこととなります。怪我の説明で重要なポイントは、事故が起きた詳しい状況と、再発防止策として取り組むべきことの2点です。ただし、保護者にとっても我が子の怪我は突然の事態であるため、中には保育士の話を聞かず、ひたすら怒号を繰り返す保護者もいます。

また、保育士が誠意を込めて謝罪をしても、保護者が許してくれるとは限りません。保護者は「子どもに怪我させる先生で大丈夫かしら」と思って、保育士に不信感を抱くこととなります。場合によってはすり傷程度の比較的軽い怪我でも許してもらえず、冷たい態度をとり続けられることもあるでしょう。

さらに、怪我をした子どもの保護者から、他の保護者へ噂として話が回るケースもあります。怪我が骨折やひどい出血を伴う重い状態だと、他の保護者を集めて説明会を開く場合もあり、複数の保護者たちに囲まれて、厳しく責められることも考えなくてはなりません。保護者への説明や対応によって発生するストレスは、保育士が辞めたいと考え始める原因の一つです。

上司や関係者による責任追及

園児が怪我をしたことは、直ちに上司や園長先生にも報告されます。怪我の程度に関係なく、必ず行われることが、上司による繰り返しの叱責です。「どうして目を離したのか」「教育者として大切なお子さんを預かっている自覚があるのか」と、すでに後悔しながら自問自答したうえにされる叱責は、辛い経験となるでしょう。

怪我の責任追及も、保育士に大きなストレスがかかり、辞めたくなる原因の一つです。怪我の原因や状況、責任は誰にあるのかといった論議が始まり、ほとんどの場合で、現場の担当保育士が責任の大部分をかぶることとなります。「慰謝料は担当保育士が全て負担してもらう」と言われたら、目の前が真っ暗になるのではないでしょうか。

本来、保育園で起きた園児の怪我は、担当していた保育士1人の責任とは言い切れないものです。保育園の設備や安全対策、人員配置や職場環境が原因となって起こるケースも存在します。

さまざまな事後対応をしていると、「自分にばかり作業が集中している」と感じる瞬間があります。そういった事が立て続けに起こると、「どうして自分1人だけこんな目に......」と気持ちが押しつぶされて、保育士を辞めたいと考えるようになってしまいます。

虚偽報告による信用失墜

園児が怪我したことを恐れるあまり、自分の落ち度を隠そうと虚偽報告してしまう保育士もいます。しかし、事実と異なる点を含んでいる虚偽報告は、必ずどこかに綻びがあるものです。怪我した園児本人が本当のことを言うだけでなく、他の園児たちが見ていたり、保護者や同僚が状況に不審を感じたりして、虚偽であることがバレてしまいます。

虚偽報告をしたことがバレると、園児に怪我をさせたこと以上の問題となります。保身のために嘘をついた保育士は、保育園の上司・同僚や保護者からの信用がなくなります。子どもを預かる保育士は、信頼関係が大切な職種であり、信用失墜した人は仕事を続けられません。周りからの冷たい視線の中で、退職を覚悟することとなるでしょう。

園児が怪我をしてしまったとき絶対にしてはならないこと

保育士と園児

園児が怪我をすると、担任の保育士はさまざまな悩みを抱えることとなります。しかし、辛さやストレスが原因であっても、絶対にしてはならないことの線引きは守らなければなりません。最後に園児が怪我をしてしまった際に、絶対にしてはならないことと、転職時の影響を紹介します。

保身や隠蔽のための虚偽報告

園児が怪我をした原因や状況について、保身や隠蔽のために虚偽報告をすることは、絶対にしてはなりません。保育士の虚偽報告は、今の職場で信用を失うだけでなく、将来的な働き方の幅も狭めてしまう、絶対にしてはならない対処法です。

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保育園を含めた保育サービスを提供する施設は、虚偽報告した保育士を採用しようとは考えません。とくに近隣の保育園はすでに情報が出回っている可能性が高いため、自宅から通勤できる範囲で転職活動をしても不採用ばかりです。今まで素晴らしいキャリアを積んでいても、保育士として働き続ける道を選べなくなり、別の職種へ転職するしか方法がなくなってしまいます。

責任を負いたくないため無断退職

怪我の責任を負いたくないために、退職届を出さず無断退職しようと考える人もいるのではないでしょうか。しかし、無断退職しても、怪我の責任は消えてなくなりません。保護者が賠償請求した場合、訴えられた保育士は退職したあとも損害賠償の責任を負います。

何よりも、保育士の無断退職は、勤務している保育園に大きな迷惑をかけてしまいます。保育園は、預かる子どもの数に合わせて保育士を採用しており、保育士が1人でも欠けると業務に支障をきたしてしまいます。子どもに怪我をさせたうえ無断退職することは、保育園からの信用を大きく損ねる行為です。

無断退職は、転職する際にもデメリットがあります。転職先が決まると、新しい職場に以下の書類を提出する必要がありますが、無断退職した人は基本的に書類を持っていません。

  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 源泉徴収票

本来、上記の書類は退職時に前の職場から受け取るものです。しかし、無断退職した保育士は受け取っていないため、前の職場に連絡して取り寄せなければなりません。前の職場に顔を出すバツの悪さだけでなく、転職先からは書類不備を不審に思われて、退職理由に問題があったのでは、と勘繰られてしまいます。

園児の怪我は保育士を続ける限り、常に可能性がつきまといます。園長やベテラン保育士の人もそのことは理解しているため、重要なのは事後対応です。事後対応がしっかりしていれば、転職する場合でもしっかり評価してもらえるでしょう。無断退職は、事後対応の中でも前述した虚偽報告と並ぶやってはいけないことの筆頭とも言えます。退職するにしても無断退職は絶対にしないようにしましょう。

まとめ

園児に怪我をさせてしまって、保育士を辞めたいと思う人は多くいます。園児が怪我すると、保護者への説明と謝罪、上司による責任追及に、保育士は対応しなければなりません。すでに後悔をしているところに、さまざまな対応に追われてストレスや辛さを抱えることが、保育士を辞めたいと感じる原因です。

園児の怪我に大きな責任を感じていても、虚偽報告や無断退職をしてはなりません。どちらの行為も、自分自身の信用失墜と人間関係悪化を招いて、転職活動にも悪影響を及ぼすだけです。

園児の怪我は、保育士1人だけの責任ではないケースも多々あります。誠実な対応と謝罪する姿勢を忘れず、責任のありかを明確にして、保育士として胸を張れる解決方法を選びましょう。