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乳児院で働く方のなかには、保育の仕事に大きな意義を感じている方が多く見られます。反面、乳幼児の保育は責任が重くプレッシャーを感じやすいことから、「辞めたい」「転職したい」と感じる方もいるようです。

しかし、仕事を辞めたいと思っていても、「周囲に迷惑をかけないか」「すぐに希望に合った職場が見つかるのか」などの不安を感じていると、すぐに転職に踏み切るのは難しいでしょう。

今回は、乳児院勤めの方が仕事を辞めたいと思う主なケースを取り上げ、その理由を考察するとともに、乳児院での経験が生かせる転職先についても解説します。「乳児院を辞めたい」「転職したい」と悩んでいる方は、ぜひ当記事を参考にしてください。

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乳児院を辞めたいと感じる瞬間とは?

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乳児院で働く保育士の多くは、大きな使命感と責任感を持って仕事をこなしています。そのため、乳児院を辞めたいと思ったとき、「自分の辞めたい理由は、まわりから理解されないのではないか」「単なるわがままだと思われるのではないか」と考えてしまう方も少なくありません。

しかし、乳児院を辞めた方たちの退職理由を知れば、そうした思いを払拭できるかもしれません。自分の気持ちに自信が持てれば、スムーズに退職を切り出すこともできるでしょう。

ここでは、乳児院を辞めたいと思う一般的なケースを4つ紹介します。

仕事がハードでついていけない

乳児院は、保護者と生活することが困難な乳幼児を預かり、養育する施設です。運営は24時間体制であるため、保育士の仕事も24時間体制となります。また、乳児院で働く保育士の勤務形態は、2交代制シフトがほとんどです。

以下に、乳児院におけるおおまかなスケジュール例を紹介します。

7:00~ 起床、検温、着替え
8:00~ 朝食
9:00~ 自由保育または一斉保育
12:00~ 昼食
13:00~ 昼寝(午睡)
15:00~ おやつ
16:00~ 自由保育または一斉保育、入浴
18:00~ 夕食、就寝準備
19:00~ 就寝

乳児院で働く保育士の役割は、子どもたちが家庭的な環境で安心して過ごせるように支援することです。

上記のほかにも、おむつ替えや寝かしつけ、就寝後の見まわり、引き継ぎ、事務仕事などもこなすため、仕事内容は非常にハードです。そのため、「このまま働き続けると、心身に支障が出るかもしれない」と感じて、乳児院を辞めたいと思うケースが多く見られます。

仕事で生じる責任が重い

乳児院で保育する子どもの多くは、虐待やネグレクト、経済的困難といった家庭の問題を抱えていたり、疾患や重い障害があったりします。そのため、家庭にかわって乳児を養育することに使命感を持ちながらも、仕事で生じる責任の重さを「つらい」と感じてしまう保育士も少なくありません。

なお、乳児と保護者が親子関係を築くための面会サポートも、乳児院で働く保育士の業務です。しかし、保護者のなかには子どもへの愛情を持てない方や、スタッフに不信感を抱いている方もいます。そうした保護者との人間関係に悩み、精神的負担を感じたときも、乳児院を辞めたいと思ってしまいます。

仕事にやりがいを感じられなくなった

乳児院には、複雑な事情を抱えている子どもが多く、保育士をはじめとするスタッフの手厚い関わりが必要となります。そのため、乳児院では実際の家庭に近い環境づくりを目指して、少人数のグループケアを行っており、スタッフは子ども1人ひとりとじっくり関わることができます。

一方で、数か月から1年ほどで家庭に復帰したり、里親が見つかったりして、施設を離れる子どもが多いのも乳児院の特徴です。保育士は、愛情を込めて養育した子どもの成長を見守れないままお別れすることになるため、それが原因でやりがいを感じられなくなるケースも少なくありません。

また、乳児院の給与水準は保育園より高い水準にあるものの、なかには仕事のハードさと待遇が釣り合っていない職場も見られます。そうした場合も「仕事は大変なのに給料が低くて生活が大変」と感じて、やりがいを失ってしまいます。

幅広い年齢の子どもを担当したい

乳児院で預かる子どもは、原則として1歳未満の乳幼児です(ただし、特に必要のある場合に限り、就学前までの子どもを預かることが可能です)。養成学校で学んでいた頃に、子どもが元気に走りまわるなかで働きたいと考えていた方にとって、乳児院は理想のイメージと異なる職場といえるでしょう。

そうしたことから、「もっと幅広い年齢と関わりたい」「子どもとコミュニケーションが取りたい」と考え、乳児院を辞めたいと感じる保育士も多く見られます。乳幼児だけでなく、幅広い年齢の保育を担当したい場合は、転職をすることも1つの選択肢となるでしょう。

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乳児院を辞める際には次の転職先も考える必要がある

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乳児院を辞める際は、転職先のことをしっかり考える必要があります。何の準備もなく辞めてしまうと、退職後に無収入の期間ができるため、計画性を持って転職活動を進めましょう。

保育士の転職活動における主な選択肢は、保育とまったく関係のない職種に転職するか、引き続き保育関連の職種に転職するかの2つです。保育士資格や乳児院の経験、キャリアを生かしたい方は、保育関連の職種を選ぶのがよいでしょう。

ここからは、乳児院の経験を生かせる転職先を4つ紹介します。

病院内保育施設

病院内保育施設とは、医師や看護師、コメディカル職といった病院スタッフの子どもを預かる施設です。病院内もしくは病院敷地内に保育施設があり、預かった子どもたちをクラス分けせずに保育します。保育園よりも託児所のほうに近いイメージで、必要な資格は保育士資格のみです。

また、夜勤スタッフのために、24時間体制で運営しているところが多いのも病院内保育施設の特徴です。その場合は、24時間運営である乳児院に近い勤務形態となり、子どもの寝かしつけや夜泣き、おもらしの対処といった乳児院での経験が生かせます。

託児所

託児所は、乳児から未就学児までの子どもを預かる施設です。一般的な託児施設のほか、オフィスビルや商業施設などにも設置されており、該当施設に滞在する保護者が、子どもの保育を一時的に任せたいときに利用します。

託児所で働く場合、保育士資格は必須ではありません。しかし、乳幼児の保育を任されるケースも多いため、保育士資格があると転職活動や業務の際に有利でしょう。

なお、託児所は認可外の保育施設であり、施設の設置基準や保育士配置基準が定められていません。そのため、託児所で働く保育士は衛生面・安全面の管理をきちんと行い、病気やけが、事故を起こさないように注意する必要があります。乳児院で働いていたときの子どもたちを注意深く見守る姿勢は、託児所でも求められる重要な資質といえるでしょう。

児童養護施設

児童養護施設は保護者がいない、または不適切な環境に置かれている子どもを保護し、養育する施設です。入所している子どもたちの年齢は、2歳から18歳までと幅広くなっています。

児童養護施設は各都道府県の管轄下にある児童福祉施設であり、児童福祉法によって職種・職員数の配置基準が決められています。そのため、児童養護施設の施設保育士として働くには、保育士資格が必要です。

児童養護施設は、乳児院から移ってきた子どもたちも多く入所しています。乳児院で働いていた保育士であれば、子どもたちの背景に理解を示しながら保育業務に励めるでしょう。

幼児教室

幼児教室は未就学児を対象に、幼児教育を行う施設です。考える力やコミュニケーション力を伸ばすことに重点を置いており、知育・情操教育・語学などさまざまなジャンルがあります。習い事や塾のように勉強に集中させる教育ではなく、子どもが楽しみながら学べる教育を目指しているのも幼児教室の特徴です。

求められる資格は教室によって異なり、必要な資格が規定されているわけではありません。しかし、複数人の幼児を預かることから、保育士資格を応募条件とする教室も多く見られます。

幼児教室の先生として働く場合は、教育内容に詳しいだけでなく、それぞれの子どもにきめ細かく対応できるスキルが必要となります。乳児院で、1人ひとりとじっくり関わってきた経験は、幼児教室で働く際の大きな自信となるでしょう。

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まとめ

乳児院を辞めたいと考えている方は、けっして少なくありません。乳児院の仕事はやりがいがあるものの、1つひとつの業務に大きな責任が伴います。仕事のハードさに体が悲鳴をあげたり、やりがいを感じられなくなったりすると、乳児院を辞めたいという気持ちになることもあるでしょう。

保育士が乳児院を退職するにあたっては、転職先を探す必要がありますが、現状保育士の需要は高い傾向にあります。病院内保育施設や託児所などの職場なら、乳児院での経験も生かせるでしょう。乳児院で働くのがつらいと感じる方は、転職も視野に入れながら、自分に合った働き方を見つけてください。