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保育士は保育園に通う子どもだけでなく、保護者とも密接に関わる職業です。そのため、保護者からさまざまな意見や要望を聞く機会もありますが、保護者のなかには保育園や保育士に対するクレームを伝えてくる方も珍しくありません。

保育士に対してクレームをくりかえす保護者は、「モンスターペアレント」と呼ばれており、クレームの内容には理不尽なものや、自己中心的なものも多く含まれます。そして、モンスターペアレントからのクレームは、保育士が「仕事を辞めたい」と考えてしまう原因にもなっています。

そこで当記事では、クレームの実例を紹介しながら、保護者からのクレームを適切に処理する方法や予防する方法について解説します。クレーム対応に悩んでいる方や、うまく乗り越えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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保育士を辞めたい!と感じるクレーム6選

クレーマーな保護者たち

保育士として働いていると、保護者からの意見や要望を聞く機会は多くあります。それを考えれば、保育士や保育園に対するクレームは、ある意味「避けては通れないこと」なのかもしれません。

もちろん、保護者の意見・要望の多くは妥当なものです。軽いクレームであれば貴重なアドバイスとしてとらえることもできるでしょう。しかし、なかには「保育士を辞めたい」と感じるほど理不尽なクレームがあることも事実です。

ここでは、保育士が辞めたいと感じてしまうようなクレームの事例を紹介します。

食事に関するクレーム

多くの保育園では、アレルギーなどがない限り、全員が同じ給食を食べます。また、保育園の給食には、「栄養バランスの取れた給食をみんなで楽しく食べることで、心身の健全な成長を促す」というねらいがあります。

しかし、家庭でのルールや都合を保育園に押し付けるようなクレームがくることも、けっして珍しくありません。

【クレーム事例①】 苦手な食べ物がある子どもについて、「給食を絶対に完食させて」と強く要求された。

苦手な食べ物の克服を目指すのは、食育の観点からも重要な意味があります。しかし、無理に苦手な食べ物を食べさせようとすると、子どもが給食や保育園での生活に拒否反応を示す可能性もあります。

そのため、子どものペースを無視した保護者からの要望に、困ってしまう保育士は少なくありません。

【クレーム事例②】 持病やアレルギー、肥満などの問題がない子どもについて、保護者の価値観で「野菜しか食べさせないで」と要求された。

保育園では、持病やアレルギーなどがある子どもに対して、給食の個別対応を行います。しかし、家庭内の食事に関するルールや、保護者の価値観を保育園に持ち込まれても対応しきれません。

また、極端な食事制限は、子どもの健康に悪影響を与える恐れがあります。そのため、保護者の要求にどこまで応えるべきか、頭を悩ませる保育士が多くいます。

保育園のルールに関するクレーム

保育園では、子どもや保護者への対応ができるだけ公平になるように、さまざまなルールを設けています。また、そうしたルールのなかには、保護者同士で話し合って決定したことも含まれています。

そのため、多くの保護者はルールを守ってくれますが、「自分の子どもさえ優遇されれば良い」と考える人がいることも事実です。

【クレーム事例③】 通園バスについて、「停留所を自宅前にしてほしい」「早く預かってほしいから、○時着で」と自分勝手な都合で、ルールの変更を要求された。

通園バスは、利用する園児を効率良く送迎できるようにルートや時刻を決めています。保護者の都合や希望をすべて反映できるわけではないため、対応に困るクレームの1つと言えるでしょう。

【クレーム事例④】 PTAが決めた遠足のおみやげに文句を言われ、保育料やPTA会費の支払いを拒否された。

遠足をはじめとする行事のおみやげは、保護者同士で話し合って決めるのが一般的です。保護者間で決めたことについて不満や文句を言われ、困惑してしまう保育士は少なくありません。

行事に関するクレーム

保育園の行事は、わが子の成長や活躍を間近で見られる絶好の機会であり、多くの保護者が楽しみにしています。しかし、なかには日程や子どもの扱いについて、行き過ぎた要求をしてくる保護者もいるので注意が必要です。

【クレーム⑤】 雨天のため運動会延期の連絡をしたところ、「夫の都合がつかなくなるから、絶対に今日開催して」と要求された。

雨天でも延期せず、屋内のホールなどで運動会を行うこともありますが、通常は日程を変更して開催します。天候に関わることなど、保育園が対策できないクレームを受けると、保育士の精神的な負担も大きくなりがちです。

【クレーム⑥】 お遊戯会で子どもが後列になったことに対して、「なぜ後列なのか納得できる説明をしてほしい」と求められた。

保育園には子どもが多数いるため、発表会やお遊戯会では何列かにならざるを得ません。そのため、自分の子どもが列の後ろとなったことに対して、クレームを付ける保護者もいます。

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保育士を悩ませるクレームへの対処法&予防法

クレームを解決した保育士と満足した保護者

保育士を悩ませるクレームには、園として対処できないものもありますが、工夫次第で保育士が対策できることもあります。

ここでは、保育士を悩ませるクレームへの対処法や予防法について解説します。保育士を辞めたいと感じるようなクレームを減らすためにも、適切な対処法・予防法を身に付けましょう。

対処法の基本は共感とスピード

クレームに対応する際は、保護者の意見をしっかり聞くことと、謙虚な姿勢で臨むことが大事です。最初から聞く耳を持たなかったり、適当に聞き流したりすると、新たなクレームのもとになりかねないので注意してください。

保護者と話し合う場合は、話をさえぎったり否定したりせず、相手の言い分や思いを最後まできちんと聞きましょう。また、保護者が話し終えた際に、「気持ちはよくわかります」などの言葉をかけ、相手に「受け入れてもらえた」と納得してもらうことも重要です。

ただし、共感の姿勢を示す際に、「今回だけ特別に許可します」などの例外を作るのは厳禁です。例外を作ると、将来的に「以前は許可してくれた」「○○ちゃんは良くて、うちがダメなのはなぜ」といったクレームが発生する可能性もあるので、場の雰囲気に流されないようにしましょう。

また、保護者からのクレームに対しては、スピード感を持って対処することが大切です。対処が遅れると、保育園・保育士に対する不信感や不満感が強まる恐れがあるため、クレームを受けた際は、早急に園長や主任保育士に報告しましょう。

予防の基本はコミュニケーションと情報量

保護者からのクレームは、できるだけ受けたくないものです。クレームを防ぐためにも、保護者とのコミュニケーションを深め、子どもや保護者に関する情報を集めておきましょう。

保護者とのコミュニケーションを密にするには、お互いの立場を理解し合うことが大切です。保護者は保育の現場を見たり、専門知識を学んだりする機会が少ないため、お互いの情報量や感覚には差があります。「保育士にとっての常識が、保護者にとっての常識だとは限らない」という点を忘れずに、1つひとつの出来事や思いを丁寧に説明するように心がけてください。

また、クレームがあった際に「知ったかぶり」で対処すると、さらなるクレームにつながる可能性があります。自分の知らないことについては、「上司に相談させてください」と伝えた上で、園長や主任保育士の指示を仰ぐようにしましょう。

コミュニケーションについて付け加えるなら、苦手な保護者ほど積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。コミュニケーションを密にすることで、クレームにつながるような不信感・不満感を小さくできる可能性があります。

クレームで保育士を辞めたいほど悩んでいるならば転職も手段の1つ

いくつかのポイントを押さえることで、クレームの予防につなげることは可能ですが、クレームを完全になくせるわけではありません。

自身が受けるクレームが非常につらいもので、保育士を辞めたいと感じるようであれば、別の保育園に転職するのも1つの方法です。

転職活動は、現在の職場を辞めてからスタートしても問題ありませんが、スムーズに転職するためには早めに求人を探し始め、退職前に内定を取れるように進めるのが良いでしょう。

転職活動開始から入職までの間は、転職活動と通常業務、引き継ぎなどで忙しくなることが予想されます。転職活動に不安がある場合は、「マイナビ保育士」のように保育士専門の転職支援サービスを行っているエージェントを活用して、スムーズに転職活動を進めましょう。

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まとめ

保育士として働いていると、保護者から「保育士を辞めたい」と感じるほどのクレームを受けることがあります。理不尽なクレームを受けると、精神的に大きな負担を感じてしまいますが、日頃からきちんとコミュニケーションを取ることで、クレームを減らすことは可能です。また、保護者からのクレームに対処する際には、「相手への共感」と「対応の早さ」を心がけることが大事です。

どのような保育園にもクレームは存在しますが、クレームの質や量は保育園ごとに異なります。クレームが原因で保育士を辞めたいと感じている方は、別の保育園への転職を検討するのも良いでしょう。

「今よりも働きやすい職場がないか」と考えている方や転職活動に不安がある方は、「マイナビ保育士」の転職支援サービスを活用するのがおすすめです。