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みなさんのなかには、「大好きな子どもの世話をして、給料をもらえたら幸せだろうな」と考えている人も多いのではないでしょうか。

子どもの学びと生活をサポートする仕事に就きたいのであれば、幼稚園教諭といった選択肢があります。世話をする対象が3歳から小学校入学までの未就学児となるため、幼稚園教諭として働けば、子どもの世話をしながら給料を得る生活が実現できるでしょう。

このとき、気になるのは給料のことです。いくら希望にあった仕事内容だとしても、自分が望む金額よりも低い給料だと、なかなかモチベーションが上がりません。

本記事では幼稚園教諭の給料相場、施設形態(公立・私立)や学位による給料の違い、保育士との給料の違いについて解説します。あわせて、給料をアップさせる方法についても紹介するので、幼稚園教諭として働きたい人はぜひ参考にしてください。

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幼稚園教諭の給料相場はいくら?

幼稚園教諭の給料は、施設の形態(私立・公立)や都道府県ごとに異なります。また、雇用形態や幼稚園教諭としての経験年数などによっても給料は変動します。

ここでは、幼稚園教諭の給料相場や、保育士の給与水準との違いなどについて解説しましょう。

平均給料の相場

厚生労働省の調査によると、幼稚園教諭の平均給与は、月収約26.7万円、ボーナス約78.6万円、年収は約399万円となっています。

幼稚園教諭の平均給与
月収 約26.7万円
ボーナス 約78.6万円
年収 約399万円

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

幼稚園教諭の給料は、男女間で金額差がないことも特徴の1つです。また、上記金額は、保育士の平均給料と比較して大きな差はありません。

なお、この金額はあくまで平均値であり、前述したように勤務先や勤務内容、雇用形態などによって受け取る金額は変化します。

形態(公立・私立)や学位による違い

幼稚園の形態には公立と私立があり、それぞれに給料の相場が異なります。公立幼稚園の場合は、定期的な昇給があったり、勤続年数に応じて給料が高くなったりするなど、公務員の給与制度に準じるのが基本です。

一方、私立幼稚園の場合は、施設ごとに金額の差が生じます。例えば、教育に定評がある幼稚園や、「名門」と呼ばれるような幼稚園は、幼稚園教諭に求められるスキルも高く、待遇がよい傾向にあります。

また、学位によって給料に若干の差が生じるケースもあるため、応募前に確認しておきましょう。

保育士との給料の違い

保育士の資格も所持している人は、幼稚園教諭と保育士のどちらを選ぶか迷うこともあるでしょう。

厚生労働省の調査によると、保育士の平均給料は月収約26.7万円、ボーナス約71.2万円、年収約391万円となっており、給料面においては幼稚園教諭とほとんど変わりありません。

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

また、保育園も幼稚園と同様に、施設の規模や運営主体、働く地域によって、給与、待遇、仕事内容などが変わります。事前に施設ごとの給料についてよく調べ、希望する条件で働ける職場を探しましょう。

幼稚園教諭が給料アップを実現させる方法

お金と幼稚園教諭

幼稚園教諭が給料アップを目指す場合、主な方法として挙げられるのは、園独自の手当や国による手当を受ける方法と園長先生になる方法です。

ここでは、上記2つの方法について詳しく紹介します。給与面で悩んでいる人や、幼稚園教諭としてキャリアアップを目指す人は、ぜひ参考にしてください。

なお、園長先生にならなくても、十分なキャリアを積むことで昇給の機会は得られます。本記事では、給料アップを目指す際の一例として、園長先生を取り上げているという点にご注意ください。

手当を受ける

園によってさまざまな手当があります。住宅手当や資格手当、資格取得のための手当など、手当が充実している勤務先を選ぶことで、給与アップを狙うことができるでしょう。

魅力的な条件を提示している求人も少なくないため、求人情報を見る際は給料や年収だけでなく、各種手当についてもきちんと確認することが大事です。

あわせて、行政による手当も確認しましょう。近年、日本では保育士・幼稚園教諭不足が課題となっています。そのため、国は「職員の賃金改善」と「質の高い保育の安定供給」を目的に、処遇改善等加算制度を定めました。

処遇改善等加算制度は、保育士・幼稚園教諭の収入を改善するための補助金制度で、施設の平均勤続年数によって加算率が上がる仕組みです。この制度には処遇改善等加算ⅠとⅡがあり、それぞれの概要は以下のとおりです。

処遇改善等加算Ⅰ
制度内容 施設の勤続年数、キャリアアップへの取り組みに応じて加算率が上がる制度
対象者 非常勤職員を含む全職員

「処遇改善等加算Ⅰ」における加算率は、基礎分・賃金改善要件分・キャリアパス要件分によって変動します。例えば、基礎分加算率は、平均勤続年数1年未満で2%、平均勤続年数1年で3%、平均勤続年数10年以上で一律12%となります。また、賃金改善要件分の加算率は、平均勤続年数11年未満の施設で6%、11年以上で7%です。

処遇改善等加算Ⅱ
制度内容 技能・経験を積んだ職員が役職に就くことで、給与が加算される制度
対象者 管理職クラスではない一定の実務経験を持つ職員

「処遇改善等加算Ⅱ」で加算される金額は、最大月額4万円、もしくは最大月額5千円です。上限は決まっていますが、各施設の状況・判断次第で、具体的な加算金額は変化します。

【最大月額4万円の対象条件】

  • 副主任保育士・中核リーダーなどの役職に就くよう辞令を受ける
  • 4分野において、キャリアアップ研修を受ける
  • 加算される補助金が月給として支払われる

【月額最大5千円の対象条件】

  • 職務分野別リーダーなどの役職に就くよう辞令を受ける
  • 1分野以上のキャリアアップ研修を受ける
  • 加算される補助金が月給として支払われる

制度導入により、職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士などの役職も新設されました。そのため、処遇改善等加算制度は「保育士・幼稚園教諭がキャリアアップを目指せる制度」としても機能しています。

園長先生になる

幼稚園教諭が給料をアップさせる2つ目の方法は、園長先生になることです。マイナビ保育士をはじめとする求人情報を確認してみると、園長先生の求人は多く、さまざまな保育施設から需要があることがわかります。また、年収400万円以上の求人の多くが、園長先生の募集の求人となっています。

園長先生になるには、学校教育法に基づいて、次の2つの条件を満たすことが必要です。

  • 1種教員免状を持ち、5年以上教育に携わっている人
  • 10年以上教育に携わっている人(無資格も可)

1種教員免許状を持っている場合は、最短5年で園長先生になることができます。園長先生には、一般の幼稚園教諭とは違った重圧がありますが、園の運営にかかわれるため、非常にやりがいのあるポジションです。実務経験が豊富で、なおかつ給与をアップさせたいと考える人は、園長先生を目指すことも検討してみましょう。

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幼稚園教諭と保育士資格両方の取得がおすすめ

アップの図と幼稚園教諭

近年では、幼稚園教諭と保育士資格の両方を取得する人が増えています。園によっては、両方の資格を保有すると、給料が上がることもあります。倍率の高い施設への就職を目指す場合は、両方の資格を保有することで、他の求職者との差別化が図れるでしょう。

また、近年新設された「幼保連携型こども園」では、保育士免許と幼稚園教諭免許の両方が求められます。

ここからは、どちらかの資格を取得している状況で、もう一方の資格取得を目指す際の流れを紹介します。

●保育士が幼稚園教諭の資格取得を目指す場合
保育士資格を持つ人が幼稚園教諭となるためには、通常、大学や短大、専門学校などで学ぶ必要があります。ただし、幼保特例制度を活用すれば、大学や専門学校に通うよりも、安い費用と短い期間で幼稚園教諭資格の取得が可能です。

幼保特例制度とは、保育士が幼稚園教諭資格を取得するために設けられた制度で、具体的には、①対象施設における実務経験が3年以上(かつ4,320時間以上)あり、②大学において修得することが必要とされる8単位を修得し、③各都道府県教育委員会の教育職員検定に合格することで、幼稚園教諭資格が取得できます。

この制度が設けられた背景には、両資格を保有することが必須条件である「幼保連携型こども園」の存在があります。ただし、幼保特例制度は、2025年度末までの期間限定の制度である点に注意が必要です。

●幼稚園教諭が保育士の資格取得を目指す場合
保育士資格は、年2回行われる試験を受験して、合格した人のみが取得できます。卒業とともに保育士資格を取得できる大学や短大、専門学校などに通うのが一般的な方法ですが、それ以外にも取得する方法があります。

  • 通信教育の活用
  • 幼保特例制度の活用

近年では、保育士資格取得のための通信教育も増えています。自分で学習を進めることになるため、モチベーションを維持する大変さはありますが、粘り強く勉強すれば資格取得も十分に可能です。

幼保特例制度は幼稚園教諭資格だけでなく、保育士資格にも適用できるため、そちらを活用するのもよいでしょう。

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まとめ

女性の社会進出が進む現代では、「安心して子どもを預けられる場所」の重要度が増しています。また、それに伴って、未就学児を預かる幼稚園の存在意義も増しています

それを考えれば、幼稚園教諭は非常にやりがいのある仕事といえるでしょう。しかし、なかには労働条件や待遇面に問題を抱える施設もあり、幼稚園教諭の数は十分とはいえない状況です。そのため、近年では国を中心に幼稚園教諭の待遇改善が進められており、幼稚園で働こうと考える人も少しずつ増えてきました。

職場を探す際は、園の特徴や役職の有無なども入念に確認し、納得のいく待遇で働ける場所を見つけてください。国の制度を活用したり、資格を取得したりすることでも給料アップを目指せるので、そちらも覚えておきましょう。