保育士は、未就学児の子どもたちを預かり生活全般のお世話をする、大切な職業です。男性保育士の存在は昔こそ珍しかったものの、現在はさまざまな職業で男女の偏見がなくなっており、男性でも保育士として活躍する人が増えてきました。今回は、男性保育士の給料水準や待遇、また男性保育士のメリット・将来性について解説します。給料アップを実現させる方法についても解説するため、保育士として働きたい・働いている男性は参考にしてください。
男性保育士の給料水準
男性保育士の給料水準は、女性保育士に比べてやや高めとなっています。しかし、全職種の平均年収に比べると低い傾向です。平均年齢の低さや、勤務時間が短いことも理由として挙げられるでしょう。また、勤務先や都道府県ごとでも給料水準は異なります。以下は、厚生労働省の調査に基づいた、保育士と全職種の平均年収や平均年齢です。
保育士の平均年収
年収 | 年齢 | |
---|---|---|
男性 | 約401万円 | 32.4歳 |
女性 | 約373万円 | 37.9歳 |
男女合計 | 約374万円 | 37.6歳 |
※いずれも、1万円未満は四捨五入
全職種の平均年収
年収 | 年齢 | |
---|---|---|
男性 | 約546万円 | 43.8歳 |
女性 | 約382万円 | 42.0歳 |
男女合計 | 約487万円 | 43.2歳 |
※いずれも、1万円未満は四捨五入
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html)
男性保育士の待遇
男性保育士の待遇は、基本的に女性保育士と同じの場合がほとんどです。男性であるからといって、待遇が良くなったり悪くなったりということはないため、心配する必要もありません。
また、積極的に男性を採用しようとする保育園では、工夫をして給料・待遇の改善に取り組んでいるところもあります。男性保育士の待遇は、今後も改善されていくことが期待できるでしょう。
男性保育士の割合
かつて保育士が保母さんと呼ばれていたときは、男性の保育士の数もほとんどいない状態でした。 1985年に制定された男女雇用機会均等法により、職場において男女の均等な機会・待遇の確保が図られたことから、少しずつ増加しています。
2002年は全国で1,000人未満だった男性保育士も、3年後の2005年では15倍以上となる15,600人超えとなりました。 2003年に児童福祉法の改正があり、保育士が国家資格を有する公務員となったことも関係しているでしょう。
現在、男性保育士の数は14,900人ほどです。全体の5.6%という数字ではあるものの、保育の現場で活躍する保育士は増加しています。 近頃は、父親が保育園の送迎をするなど育児に関わることも増え、男性保育士の存在も徐々に増加している傾向です。
保育士全体に占める男性保育士の割合や人数については、以下のとおりです。
人数 | 割合 | |
---|---|---|
女性 | 251,760人 | 94.4% |
男性 | 14,900人 | 5.6% |
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html)
男性保育士のメリット
男性保育士には、男性保育士ならではのメリットがたくさんあります。 男性保育士ならではの強みを活かし活躍することで、園内でも頼りにされることが増えるでしょう。
また、男性保育士が存在することで多様性も生まれ、力仕事などの場面でも存在感を発揮することが可能です。 男性保育士のメリットは、以下の6つとなります。
〇父親からの相談に対応できる
近年では、父親が子どもの送迎をすることも珍しくなく、保育士と関わる機会も増えてきました。その場合、男性保育士がいると話しやすく、相談しやすい雰囲気を作ることもできます。
〇男児のトイレをサポートできる
外出時、女性保育士の場合は男子トイレに入れません。男性保育士がいれば、そのようなときもスムーズに対応できます。男児のトイレサポートは男性のほうが行いやすいため、非常に心強い存在となるでしょう。
〇力仕事や防犯面で役割を果たせる
女性よりも力のある男性は、力仕事や防犯面で頼りになる存在です。 保護者も、お散歩の際などは男性保育士がいることで安心して任せられるでしょう。
〇スポーツや遊びで児童からの人気を集められる
児童とのスポーツや遊びの際は、体力が求められます。特に4歳児や5歳児の男の子になると力も強いため、男性保育士がいることで遊び方の幅も広がり、思いっきり遊べる遊び相手として人気を集めます。
〇児童の父親的存在となれる
母子家庭の子どもや父親と過ごす時間が少ない子どもは、大人の男性と関わる時間も少ないことがほとんどです。その場合、男性保育士との関わりが子どもの成長にとってよい影響を与えることとなります。
〇長く勤めることで、昇進・昇給を期待できる
女性保育士の場合、出産や子育てで保育の現場を離れる場合も少なくありません。男性保育士であれば、長期間離職することも少ないため、勤続年数を長くすることが可能です。 昇進・昇給は勤続年数にも比例するため、長く勤められれば給与面でも期待ができるでしょう。
男性保育士の将来性
男性保育士は、女性保育士と違うキャリアを見越せることもあります。 現在では待機児童問題があり、保育士も不足しているため、どの地域でも有効求人倍率が高い傾向にあります。そのため、就職先は選びやすい状態であり、自身に合った働き方で働きやすいと言えるでしょう。 また、昇進・昇給の面では、男性保育士のほうが将来性も高いと考えられます。 男性は出産などでキャリアが途切れることも少なく、長く勤めやすいことから、昇進や昇給も女性より実現しやすい状態です。
また、保育士の資格を保有していれば、保育士以外にもさまざまな働き方があると言えます。専門知識を活かし、講師や発信者として活躍したり、保育に関わる事業に専門職として就職したりすることも可能です。 保育士は専門性の高い国家資格であり、子どもの保育・教育という点で、私たちの生活になくてはならない職業です。その中でも、男性保育士は重宝されるポジションと言えるでしょう。
男性保育士が給料をアップさせるために
男性保育士が給料をアップさせる方法としては、いくつかの方法があります。 ここでは、具体的な給料アップの方法を4つ紹介します。 男性保育士ならではの強みを活かし、キャリアアップとともに、給料アップも実現させましょう
〇保育士以外の資格を取得する
幼児体育や、スポーツインストラクターなど身体を動かす資格があると活用できるでしょう。他にも、通園バスを運転できる免許(マイクロバスであれば中型免許以上)などもおすすめです。
〇夜勤のある保育園に勤める
延長保育や夜勤のある保育園では、勤務時間の不規則さや、人員不足などで給料が高い場合もあります。家庭を持つ女性などにとっては難しい業務になるため、保育園側としては助かる存在となるでしょう。
〇管理職を目指す
園長先生をはじめ、管理職になればその分役職手当をもらうことができます。 ただし、管理職はより一層の責任が求められるため、十分な覚悟が必要です。
〇公立保育園への就職・転職を目指す
公立保育園の保育士は公務員となり、昇給制度などがしっかりとしているため、手当がもらえる場合もあります。公立保育園での勤務の場合、私立の保育園で勤務するよりも待遇や年収が良い場合は少なくありません。男性保育士の立場を活かして、給料がアップできるよう取り組んでいきましょう。
まとめ
ここまで、男性保育士の給料水準や待遇、また男性保育士のメリット・将来性について解説しました。 現代において、男性保育士はまだまだ珍しいという現実があります。しかし、これからの多様性が求められる社会で、小さな頃から男女関係なくさまざまな大人と触れる機会は、園児に対しても良い影響を与えることが可能です。また、男性保育士ならではの保育の仕方もあるため、園からも頼りにされる存在となるでしょう。この記事を参考にして、頼られる保育士を目指してください。
※当記事は2022年3月現在の情報を基に作成しています