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保育士として復帰を考えるとき、以前と同じように働くことができるのかどうか不安に思う人は多いものです。また、保育士の仕事は体力が必要となり残業も多く、復帰によるメリットがあるのかどうか、疑問に感じている人もいることでしょう。一方で、一度は辞めた保育士の仕事にまた復帰したいと思う理由は、「子どもが好き」「やりがいがある」などたくさんあります。

今回は、保育士の復帰が望まれている背景、保育士が復帰するメリット、復帰のために準備すべきことについて解説します。保育士の仕事に不安なく復職できるよう準備するために、当記事をぜひ参考にしてください。

現代は保育士の復帰が望まれている

保育士資格を持っていても、保育士として働いていない保育士を潜在保育士といいます。 待機児童が社会問題となっている現代では、潜在保育士の復帰が重要な解決策の一つです。国や自治体では、新たな保育士を育成するとともに、復帰支援や離職率を下げるための離職対策を行っています。しかし、復帰のハードルは決して低くないことが現状です。ここからは、保育士が復帰を思いとどまる理由を説明します。

保育士が復帰しない理由とは?

復職者が望まれているにもかかわらず、保育士として復帰しない理由は様々です。 以下に、保育士が復帰しない代表的な理由の3つを挙げました。これらの問題を解決すると、復帰する保育士が増える可能性があります。

人間関係が煩わしい ・女性が多い職場であり人間関係に疲れやすい。
・上司や同僚に限らず、保護者とも人間関係を構築する必要がある。
給料が安い ・仕事量や業務内容に給料が見合っていないと感じやすい。
・子どもたちの昼寝の様子を見ながら昼休みを取ることがあるが、休憩時間のため賃金は支払われない。
残業が多い ・子どもの保育を優先的に行うため、事務的な作業は後回しになりやすい。
・イベントの小物作りや書類の処理などは自宅に持ち帰ることがある。

保育士の仕事は、決して楽ではありません。給料や残業時間といった勤務環境の面で、保育士の仕事から離れた人もいるでしょう。

とはいえ、子どもたちの成長をすぐそばで見守る保育士は、かけがえのないものを得られる仕事です。大変さはわかりつつも魅力的な仕事であることから、保育士として復帰しようと考えている人は少なくありません。

保育士が復帰する3つのメリット

OKポーズの女性

現在、潜在保育士の復帰を促進するために、国や自治体は様々な支援策を打ち出しています。たとえば、保育士の子どもが保育施設に入園する際の経済的な補助や就職支援研修などです。支援策は自治体によって違うため、復帰を考えている人は確認しておきましょう。

保育士の仕事は大変な面もあるものの、貴重な経験ができる魅力的な仕事です。では、保育士に復帰することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。 次に、保育士が復帰することによる3つのメリットを説明します。

今後の処遇改善が期待できる

2015年に「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、保育士の処遇改善が図られました。2016年度と2018年度の保育士の給料を比較した結果、改善率は12.4%となっています。

(出典:令和元年度「『幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査』のクロス集計結果(速報値)」/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/pdf/chousa/cross/04.pdf

また、副主任保育士や専門リーダー、職務分野別リーダーなどを設置し、保育士の技能・経験に応じた手当を支給する処遇改善の仕組みも作られました。

保育士のキャリアアップによる処遇改善は、下記のようなイメージです。

名称 要件 処遇改善額
副主任保育士 ・実務経験約7年以上
・マネジメント+3分野以上のキャリアアップ研修の修了 など
月額40,000円
専門リーダー ・実務経験約7年以上
・4分野以上のキャリアアップ研修の修了 など
月額40,000円
職務分野別リーダー ・実務経験約3年以上
・担当する職務分野のキャリアアップ研修の修了 など
月額5,000円

(出典:令和元年6月内閣府子ども・子育て本部「子ども・子育て支援新制度について」/https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei.pdf

即戦力として働ける

ブランクがある場合、保育士として復帰するときは勇気がいるでしょう。「前のように仕事がこなせるか心配」「忘れてしまったことが多く不安」など、仕事から離れている期間が長いほど不安は募るものです。しかし、知識として忘れてしまったことがあっても、現場経験があると働く中でだんだんと思い出し、保育士の専門性を発揮できるでしょう。

一度は保育士として働いていた経験者は、新卒の保育士よりも教わることが少なく、慣れてくると一人で業務をこなすことが可能です。即戦力としての活躍が期待できるだけでなく、保育施設の教育負担が軽減できるため、ブランクのある保育士が復帰することは歓迎されます。

好待遇が望める

自治体の中には、保育士就職準備金貸付事業として就職準備にかかる資金の援助や、優先的に子どもが保育施設に入園できる制度を実施しているところもあります。 また、金銭面の援助だけでなく「どうしたら保育士が復帰しやすいか」を考えている保育施設も増えました。「週に数日だけ」「毎日でも3時まで」など、個人に合った勤務形態を採用している保育施設もあります。 仕事をする上で譲れない部分があれば、復帰前に保育施設に相談するとよいでしょう。

保育士が不安なく復帰するためにやるべきこと

ピアノの予習をする女性

保育士への復帰を決めたとしても、きちんと業務をこなせるか不安になる人は多いでしょう。ブランクを経て復帰するときに不安はつきものです。

ここからは、可能な限り不安を軽くするために行っておくべきことを3つ紹介します。 ぜひ参考にしてください。

保育に関する最新情報を確認する

復帰する前に、保育に関する情報のアップデートを行いましょう。保育施設で働いている場合、職場に新しい情報が逐一入ってくるため、最新情報を知るための苦労はありません。 しかし、仕事から離れている場合は、最新情報を自ら確認することが重要です。 保育に関する情報を収集する方法としては、保育士の復帰研修会に参加したり、「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園 教育・保育要領」などを確認したりすることがおすすめです。また、感染症やアレルギー、事故防止や救急処置など、保育士として働く際に必要になる知識は復習しておくと安心できるでしょう。

自分の体をメンテナンスする

日々身体を使って子どもたちと接するため、保育士の仕事は体力が必要です。離職して体力面が心配な人は、ジョギングやウォーキング、ストレッチなどを行い、身体を慣らしましょう。体調の変化が気になる場合は、早めに医療機関を受診したり健康診断を受けたりして体調管理することも大切です。

また、保育施設で働く中では大きな声を出すことが多いため、発声練習としてカラオケなどでトレーニングすることもよいでしょう。楽器の演奏が必要な職場の場合、ピアノをスムーズに弾けるよう指慣らしをしておくこともおすすめです。 復帰に向けて軽いトレーニングから始めてみてください。

自信が持てることを作る

時間的な余裕がない場合、復帰に向けて十分に準備できたと感じる人は少ないでしょう。復帰に関して準備不足だと思う場合は、自信が持てる何かを作ることをおすすめします。 たとえば、手遊び歌を覚える・曲の演奏をマスターする・絵本の読み聞かせを練習するなどです。

また、直接保育に関係していなくても、効率的に書類仕事ができるようにコンピュータのタイピングを練習することもおすすめします。 小さなことでも構わないため、ぜひ実行してみてください。

まとめ

保育士に復帰する際は、誰しも不安を抱くでしょう。現在では保育士の処遇改善も行われており、以前よりも待遇が良くなっています。即戦力として期待されていることも、復職時のモチベーションとなるでしょう。

最近では、正社員だけでなく、短時間勤務のパート雇用を行っている保育施設も増えました。復帰にあたり働く保育施設を探している場合は、保育士専門の転職サイトの利用がおすすめです。様々な条件の中から保育施設を検索できるため、より自分に合う保育施設を見つけられるでしょう。