20200710_contactbook_main_01.jpg

保護者との連絡帳でのやり取りは、保育士にとって必須業務の1つです。しかし、元々文章を書くことが苦手な人にとっては、何を書いていいのか分からず頭を悩ませてしまうことも少なくありません。

当記事では、連絡帳が必要な理由と、子どもの様子が保護者に伝わりやすくなる、連絡帳の書き方やコツを解説します。実際に連絡帳に使用できるテンプレートも3つのケースに分けて紹介するため、上手な連絡帳の書き方を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

保育園に連絡帳はなぜ必要?

保育園では、たくさんの子どもたちを一度に預かることがほとんどです。送迎に来る保護者側も忙しいことが多く、登降園のタイミングで十分な意思疎通の時間を取れることは、滅多にありません。連絡帳に子どもの体調や機嫌の良し悪しを記載することで、保護者との情報交換がスムーズに行えます。口頭だけで保護者に子どもの様子を伝えた場合、「同時に何人もの情報を伝えられたために、内容を忘れてしまった」と保護者から言われる可能性も否定できません。

連絡帳は、子どもの様子や必要事項を連絡するとともに、保育士と保護者をつなぎ、信頼関係を構築するために欠かせません。家庭の生活状況や保護者の悩みをいち早く把握することで、大きな問題への発展を防ぐこともできるでしょう。また、保護者にとって連絡帳は子どもの成長記録でもあります。卒園時に手渡された連絡帳をずっと大切に取っておいて、何度も読み返す人も少なくありません。

保育園の連絡帳の書き方とコツ

連絡帳を書く保育士

連絡帳は、書き方の基本やコツを把握することで、誰でもうまく書けます。連絡帳の書き方をマスターすることで、より保護者とのコミュニケーションを円滑にし、子どもたちにとって過ごしやすい環境を作ることができるでしょう。ここでは、連絡帳の書き方やコツを紹介します。

5W1Hを意識する

ビジネスシーンなどでよく聞く5W1Hは、文章で人に何かを伝える際の基本です。保育園の連絡帳を書く場合にも、5W1Hを念頭に置いて書くことで、スムーズに保護者との意思疎通が図れるでしょう。

【5W1H】

When いつ
Who 誰が
Where どこで
What 何を
Why なぜ
How どのように

上記の5W1Hが過不足なく盛り込まれていれば、短文であっても伝わりやすい文章となるため、積極的に利用しましょう。例えば、遊んでいた様子や体調が悪い日の様子を伝える際にも、ただ状態を端的に書くのではなく具体的に表現したほうが保護者に伝わりやすくなります。

園内での様子や変化を書く

保育園で活動している様子や変化を書くことも大切です。例えば、登園時に保護者と離れられずに大泣きしていた子どもの保護者は、別れてからの子どもの様子が気になって仕方がありません。朝から体調が思わしくない子どもの保護者も同様に、一日中不安な気持ちを抱えて過ごしています。子どもが登園した後の様子や体調の変化について丁寧に記載することで、保護者からの信頼感や安心感を得ることが可能です。

また、「お昼寝ができた時間」や「身体を動かした時間」などは、帰宅後の子どもの睡眠スケジュールにも関わるため、できるだけ盛り込みましょう。ほかにも、仲の良い子どもの情報は保護者同士が仲良くするきっかけになるため、保護者から喜ばれる傾向にあります。

イラストを入れる

連絡帳が文字だけでは、堅苦しくそっけない印象になりがちです。しかし、イラストを付け加えることで親しみやすくなるほか、子どもの様子が保護者に伝わりやすくなります。イラストといっても、時間がかかるような凝った絵である必要はありません。桜やヒマワリなどの季節の花や、雨雲や雪だるまといったその日の天気が分かりやすい簡単なイラストで十分です。活動時間に子どもが折った折り紙や、拾った落ち葉などを挟んで渡すことも喜ばれるでしょう。

ただし、保育園の方針によっては、連絡帳に記載する文体のルールが厳格に決められているところもあります。まずは、上司や先輩に保育園のルールを確認しましょう。

保護者からのコメントに返信する

保育園の連絡帳は、保護者と信頼関係を築くためのコミュニケーションツールでもあります。子どもの体調や言動に対する保護者からのコメントをただ読むだけではなく、保育園で行った対応の報告や、家での適切な対処方法をアドバイスしましょう。アドバイスの際は、ネガティブにならないよう言葉選びに気を遣うことが大切です。

ときには連絡帳を通じて保護者から深刻な相談を持ち掛けられる場合もありますが、答えにくい内容だったとしても必ず何らかの返信をしましょう。もし、自分の手に余ると感じるようであれば、上司や園長へ報告することも重要です。場合によっては、行政支援や福祉施設への相談が必要となる可能性があります。保育士は、育児の手助けだけでなく、保護者支援も担っていることを心に留めておきましょう。

保育士の連絡帳の書き始め・書き終わりはどうする?

ノートと鉛筆

どの年齢の子どもの連絡帳でも「書き始めは丁寧に」「書き終わりは前向きに締める」のが基本です。書き始めや書き終わりの書き方が分からない場合は、定型文を参考に当たり障りのない内容にするとよいでしょう。ここからは、連絡帳の書き始め・書き終わりの定型文を紹介します。

連絡帳の書き始めの定型文

連絡帳の書き始めは文章全体の印象を決めるため、「お世話になっております」などの丁寧な挨拶から入ることが大切です。また、体調や成長の様子、友達との関わりなど、その日の子どもの様子が分かる内容を入れましょう。書き始めの定型文には、下記の3パターンがあります。

・体調の様子から書き始める

「今日はお昼寝中に少し咳が見られたので、こまめに水分を摂るように対応しました」
「午後から微熱が出ました。お家でも様子を見てください」
「外遊びのときに転んで膝を擦りむきましたが、消毒して絆創膏を貼ると元気になりました」


・成長の様子から書き始める

「おやつや給食をよく食べておかわりをし、以前よりも食べる量が増えました」
「自分でトイレに行きたいと教えてくれました。お家でも褒めてあげてください」


・友達との関わりや活動から書き始める

「遊びの時間に自分が使っていたおもちゃを友達に貸しいました」
「今日はお散歩の時間に転んで泣いていた友達に優しく声をかけていました」

連絡帳の書き終わりの定型文

文章の最後は、子どもの長所や前向きな内容でまとめると印象が良くなります。連絡帳は保護者との貴重なコミュニケーション手段の1つです。連絡帳を通して保護者への気遣いをすることで、良好な関係を築けるでしょう。書き終わりの定型文には、下記の3パターンがあります。

・子どもの良いところで締めくくる

「縄跳びの前跳びができるまで何度も練習していて、根気強く努力できるところに感心しました」
「言葉をたくさん覚えてお話ができるようになってきました。お家での会話も楽しくなりますね」
「小さいクラスの子どもたちに優しく接していて、とても思いやりがあると感じました」


・保護者への気遣いで締めくくる

「お子さんのことで困ったことがありましたら、いつでもご相談ください」
「お忙しいと思いますが、一緒に◯◯ちゃんの成長を見守っていきましょう」


・保護者へのお礼の言葉で締めくくる

「先日は、園での生活についてご相談いただき、ありがとうございました。またいつでもお話ください」
「いつもお家での様子を教えていただき、ありがとうございます。今後とも情報共有を大切にし、◯◯ちゃんの成長を支えていきたいと思います」

【年齢別】連絡帳に記載する内容の例

幼少期は成長が著しく、1歳違うだけでも連絡帳に記載すべき内容は変わります。子どもの年齢に合わせて、連絡帳で保護者に伝える情報も変えるようにしましょう。

・0~1歳児
成長が著しい乳児期は、基本的な健康状態をはじめ、新たにできるようになったことを書きます。「ハイハイができるようになった」「感情表現が豊かになった」など、保護者に子どもの成長が伝わるよう具体的に記載しましょう。

・1~2歳児
1歳〜2歳は言葉を覚え始め、さまざまな感情表現ができるようになる年齢です。言語能力に関する成長を中心に記載すると、保護者に喜ばれるでしょう。「ありがとうと言えるようになった」「ごめんなさいと謝っていた」など、子どもが何を発したのか詳しく書きます。

・3歳児以上
3歳児になると、ほかの子どもや保育士との関わりの中で新しいことに挑戦することもあります。「友達と一緒にお人形遊びをしていた」「初めてハサミで工作ができた」など、子どもがほかの子とどう関わっていたのか、何に挑戦したのか、1日の様子が分かるように書きましょう。

保育士が連絡帳で使用できるテンプレート

実際に連絡帳で使用できるおすすめのテンプレートを、ケースごとに紹介します。

・書き出しと書き終わりが思いつかないとき

●書き出しの例文
「今日は△△をして遊びました」
「◯◯ちゃんすごいですね!お母さん・お父さんもお疲れさまでした」
「心配ですね。お母さん・お父さんのお気持ち、よく分かります」
「園では~~の活動を始めます」
「いつもご協力いただき、ありがとうございます」
「ご意見、真摯に受け止めます」

●書き終わりの例文
「今日もご機嫌な◯◯ちゃんでした」
「お母さん・お父さんからも、たくさん褒めてあげてくださいね」
「◯◯ちゃんにとっても良い経験になったようです」
「ご家庭でも変化がありましたら、すぐにお知らせください」
「ご家庭でもぜひ試してみてくださいね」

・こどもの成長を感じて連絡帳を書くとき

「◯◯ちゃんは△△を気に入ったようです」
「今日は◯◯ちゃんが、初めて△△に成功した日でした」
「お友達と喧嘩して泣かせてしまいましたが、きちんと謝って仲直りできました」
「△△が完成したことが嬉しかったようで、大喜びで報告しに来てくれました」
「△△がうまくいかなくても諦めたりせずに、何度も挑戦していたがんばりやさんです」
「◯◯ちゃんは、自分より小さい子の面倒をとてもよく見ていましたよ」

・印象の薄いこどもについて連絡帳を書くとき

「◯◯ちゃんは、皆がかけっこに夢中になっている中、一人園庭の隅でアリの行列を見つめていました。身体を動かすことよりも、何かを静かに観察することが好きなようですね」

「今日は教室内でコーナー遊びをしている中、◯◯ちゃんはグループの外から皆の様子を面白そうにじっと眺めていました。他のこどもとは興味の対象が違うようなので、今度は◯◯ちゃんのリクエストを聞いてみたいと思います」

・子どもがケガをしたことを伝えるとき

「おもちゃの取り合いでお友達に引っ掻かれてしまいました。少し泣いてしまいましたが、傷口を冷やすと腫れも引きました。その後は元気に遊んでいましたが、お家でも様子を見てください」

「砂場遊びの時間に転んで肘を擦りむいてしまいました。擦り傷程度ですが、少し出血がありましたので、絆創膏を貼りました。今後このようなことがないよう注意いたします。申し訳ありませんでした」

・保護者にお願いごとがあるとき

「汗をかく季節になりましたので、着替えを十分に持ってきていただくようよろしくお願いします。園でも汗や体温の管理を慎重に行い、風邪をひかないよう気をつけたいと思います」

「体が少しずつ大きくなっており、日々の成長が見て取れます。上履きが小さくなってきたようなので、買い替えの準備をよろしくお願いいたします」

連絡帳を書くことに特別なスキルは必要ありません。連絡帳の書き方やコツに、テンプレートを組み合わせることで、日々のネタに困ることは少なくなるでしょう。

連絡帳で保護者に返信する際の書き方

連絡帳で子どもについての悩みを打ち明けられたり、相談をされたりすることはよくあります。連絡帳を介したやり取りも保護者対応の1つです。トラブルにならないよう注意し、さらに信頼関係を深められるよう、保護者の意見や気持ちを汲んで返信しましょう。

・家庭のエピソードが記載されていた場合

「園では見られない◯◯ちゃんの様子を知ることができて嬉しいです。喜ぶ◯◯ちゃんの姿が目に浮かびます」

保護者は、可愛い我が子のことを知ってもらいたい気持ちがあります。家庭でのエピソードが記載されていた場合は、保護者の気持ちに寄り添った返信をしましょう。喜びや心配に共感することで、さらに信頼関係は深まります。

・体調に関する申し出があった場合

「咳が止まらないのは心配ですね。園では咳を気にすることはなく元気に遊んでいました。引き続き手洗いやうがいも十分にして、様子を見守りたいと思います」

体調に関する申し出があった場合には、子どものことを第一に考えた内容を書きましょう。また、具体的な対策方法や園での対応を書くと保護者に安心してもらえます。

・保護者から子育ての悩みを相談された場合

「なかなかご飯を食べてくれない時期は困りますよね。子どもの発達はそれぞれペースがありますので、焦らずにゆっくり見守っていきましょう」

連絡帳で相談されたときの注意点は、ネガティブな表現を使わないことです。保護者が子育ての悩みを相談するのは、その不安を取り除いてほしいと思っているためです。子育ての悩みを相談された場合は、ポジティブな内容で返信し、保護者の不安を和らげましょう。

保育士が連絡帳を書くときに注意したいポイント

連絡帳を書く際は、誤字脱字がないようにしましょう。些細なミスと思うかもしれませんが、連絡帳に誤字脱字があると保護者からの信用を失いかねません。書いている最中はもちろん、連絡帳を書き終わったら誤字脱字がないかきちんと確認しましょう。

また、尊敬語や謙譲語をはじめとする敬語を適切に使うことにも注意が必要です。「お読みになられる」などの二重敬語に代表される誤った敬語は逆に失礼にあたり、保護者の気分を害する恐れがあります。社会人としての最低限の礼儀を踏まえ、正しい敬語を使うようにしましょう。

保護者との連絡帳のやり取りは信頼関係を築く上でとても大切です。保護者の目線に立って不安や悩みに寄り添い、子どもの成長を温かく見守る姿勢を伝えましょう。

まとめ

連絡帳は保育士と保護者の信頼関係を構築するツールですが、長々と書けばよいというものではありません。ポイントを押さえて分かりやすく書くことで、お互いの読む労力・書く労力は最小限で済みます。

卒園後も、こどもの連絡帳を大切に保管している保護者は珍しくありません。保護者が知りたくても知れないわが子のエピソードを代わりに記録しておくことも、保育士としての大切な仕事の一つです。自身もさまざまな子育てを同時に経験できることを楽しみながら、保育士の先生ならではの視点を盛り込み、連絡帳を活用しましょう。