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現在は待機児童削減の対策が積極的に行われており、認可保育園としての小規模保育園が増加しています。小規模保育園に興味がありながらも、一般的な保育園との違いや、小規模保育園で働くメリットがわからない人は少なくありません。

小規模保育園には、他の保育園にないメリットがあります。事前に情報を収集し、自分に合う施設かどうか判断することが大切です。

今回は、小規模保育園と一般的な保育園との違い、また小規模保育園で働くメリットとデメリットなどを解説します。小規模保育園で働くことに興味がある人は参考にしてください。

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小規模保育園とは?一般的な保育園との違い

小規模保育園とは、保育対象年齢が0~3歳未満・利用定員が6〜19人の保育施設のことです。市町村などの自治体や民間業者などが事業主体となっています。

一般的な保育園との違いは、保育者の自宅やその他の場所で保育を行えることです。利用定員が少人数であるため、家庭的保育に近い雰囲気できめ細かな保育を行うこともできます。

小規模保育園とは?施設の特徴・仕事内容や向いている人を紹介

小規模保育園には3種類がある

小規模保育園には認可基準があり、保育士の数や保育室の広さなど、保育環境によって3種類に分けられます。小規模保育園にはA型・B型・C型があり、それぞれの特徴などは以下の通りです。

分類 職員数 保育者の資格 保育室の広さ 給食
A型 保育所の配置基準+1人 保育士
※保育所と同様に保健師または看護師などの特例あり
・0歳・1歳児は 1人当たり3.3平方メートル

・2歳児は1人当たり1.98平方メートル
自園調理
(連携施設などからの搬入も可能)
調理設備
調理員
B型 保育所の配置基準+1人 1/2の以上保育士(保育士の割合が1/2以上でなければならない)
※保育所と同様に保健師または看護師などの特例あり
※保育士以外は研修実施
0歳・1歳児は 1人当たり3.3平方メートル

2歳児は1人当たり1.98平方メートル
自園調理
(連携施設などからの搬入も可能)
調理設備
調理員
C型 0〜2歳児:保育士3:1
(補助者を置く場合は5:2)
家庭的保育者
(市町村長が行う研修を修了した保育士・保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認めた者)
0〜2歳児いずれも1人3.3平方メートル 自園調理
(連携施設などからの搬入も可能)
調理設備
調理員

(出典:内閣府「Ⅳ.地域型保育事業」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei4.pdf

小規模保育園A型・B型は最低職員数が多く、ゆとりのある人員で働ける環境です。小規模保育園B型・C型では、有資格者以外も保育者として働けます。

また、小規模保育園A型・B型・C型はいずれも一般的な保育所よりも狭い面積の敷地で開業することが可能です。そのため、いずれの型も、待機児童の多い都市部エリアを中心として広まっています。

小規模保育園で働くメリット

小規模保育園には、通常の保育園にないメリットが多くあります。通常の保育園とは異なる環境で働きたい人にとっては、小規模保育園のほうが適している可能性もあるでしょう。

自分が活躍できる環境で働くためにも、あらかじめ小規模保育園でメリットを把握することが重要です。ここでは、小規模保育園で働くメリットを解説します。

メリット(1)勤務上の負担が少ない

小規模保育園では園児の定員が20人未満と少なく、保育士の配置基準も保育士より多いため、保育士一人ひとりにかかる負担を減らすことが可能です。また、通常の保育園よりも行事が少ない傾向にあることから、保育士が話し合ったり準備したりする負担も少なくなります。

書類作成などの事務作業も少ないため、保育や保護者の対応に時間を割くことが可能です。

メリット(2)アットホームで手厚い保育ができる

園児の人数が少なく年齢も0〜3歳未満であり、一般的な保育園よりも園児間の年齢差が少ないことから、少人数ならではのアットホームな雰囲気で保育を行えます。一人ひとりに配慮した保育が実践できるため、保育の質の向上につながるでしょう。

たくさんの園児がいる場合、まとまった行動をするまでに時間がかかり、子ども一人ひとりに関わる時間が少なくなってしまいがちです。小規模保育施設では保育士(職員)の数が多いため、園児と関わる時間が多く取れます。

メリット(3)職員や保護者と良好な人間関係を築きやすい

園児数が少ない分、職員間の連携を密に取ることが可能です。それぞれの職員とコミュニケーションが取りやすい環境のため、人間関係で悩まされることも少ない環境となります。

小規模保育園では、クラス分けや担任制を取っていない園がほとんどです。職員全体で保育を実施するため、さまざまな視点で園児を見ることができます。園児の一日の様子に関して、保護者にも詳細な情報を伝えられるでしょう。

メリット(4)アクセスが良好なケースが多い

小規模保育園は働いている保護者をより手厚く支援するために作られた保育施設であるため、一般的には、都心部エリアの電車駅から近い場所に設置されます。駅から遠い保育所で働く人が小規模保育園に転職すると、自動車通勤のストレスを軽減することが可能です。

また、小規模保育園は、商業施設内や区役所内に設置されることもあります。商業施設内や区役所内の小規模保育園で働くと、仕事帰りに買い物したり暮らしに関わる手続きを済ませたりすることが容易です。

メリット(5)残業や仕事の持ち帰りが少ない

小規模保育園は一般的な保育所と比較し、1人の保育士の担当する子どもの数が少数です。そのため、保育士1人あたりの日常業務の負担が比較的軽く、過剰な残業や持ち帰り仕事によって体調を崩すリスクは低いと言えます。

また、小規模保育園は0〜2歳児を主に預かる施設であり、敷地も狭いため、大規模な行事やイベントを実施することが稀です。そのため、小規模保育園では行事やイベントの企画・準備に多くの時間を費やすことなく、日常保育に注力できます。

小規模保育園で働くデメリット

小規模保育園に限ったことではないものの、どれほど働きやすい職場であっても、すべての人に合うとは限りません。小規模保育園の求人に応募する際にはデメリットを把握し、自分に合うかを見極める必要があります。

小規模保育園で働く主なデメリットは、以下4個です。

デメリット(1)高度なスキルや専門知識が求められる場合がある

小規模保育園には、他の保育園にない高度な知識を求められることがあります。保育対象年齢が0~3歳未満であることから、低年齢の園児に特化した知識が必要となるためです。

しかし、0~3歳未満の時期は、今後の人生に影響を与える期間でもあります。その期間を自分が担当できると考えれば、やりがいを感じることもできるでしょう。

デメリット(2)マンネリにならないよう保育を工夫する必要がある

通常の保育園では、運動会やクリスマスイベントといった行事が盛んに行われます。小規模保育園でもこのようなイベントは実施されますが、人数が少ない分寂しさを感じることもあるでしょう。

また、明確な保育内容が定まっていないことから、これまでの保育内容と被ってしまうことも少なくありません。園児に飽きられないためには、常に保育を工夫することが求められます。

大規模なイベントではなく、アットホームな雰囲気でイベントを楽しみたい保育士の場合は、小規模保育園のほうが楽しく感じられるでしょう。

デメリット(3)3歳児以上の保育経験を積むことが難しい

保育士の中には、3歳児以上のクラスを担当し、難易度の高い工作やお遊戯を指導したり大規模な行事を成功させたりすることにやりがいを感じる人もいるでしょう。小規模保育園では高年齢児保育を経験できないため、物足りなさを感じるケースがあります。

また、主に3歳児以上のクラスを担当してきた保育士は採用面接で、実務経験をアピールしにくいこともデメリットです。主に3歳児以上のクラスを担当してきた保育士が内定を勝ち取るためには、乳児保育に対する関心や今後のキャリアプランなどをアピールしましょう。

デメリット(4)園庭がない施設が多い

多くの小規模保育園には園庭がなく、外遊びするためには、地域の公園に出掛けることが一般的です。小規模保育園で働く保育士は安全管理を十分に行い、子どもたちを公園へと引率する必要があります。

また、小規模保育園で働く保育士は、公園に到着した後も気を抜けません。公園で遊ばせている最中に子どもたちがいなくなったり、遊具から転落したりしないよう常に注意を払う必要があります。公園にはライター・ガラスなど危険な物が落ちていることもあるため、遊ばせる前には必ず現地を見回り、安全面を確認しましょう。

小規模保育園の保育士に向いている人

小規模保育園でいきいきと働くためには、仕事の適正があることを確認した上で、就職先を決定する必要があります。仕事の適正を見誤って就職先を決定すると、すぐに離職してしまうケースがあるため、注意しましょう。

以下では、小規模保育園の保育士に向いている人の特徴を紹介します。

自分のペースで保育を行いたい人

小規模保育園は、園児の人数が他の保育園よりも圧倒的に少ないため、周囲の環境に振り回されることが少なくなります。また、自由な面も多いことから、ある程度は自分の裁量で働くことも可能です。自分のペースで保育を行いたい人は、小規模保育園を視野に入れましょう。

子どもの成長をじっくりと観察したい人

1人の子どもに時間をかけて接することができるため、子どもの成長をじっくりと観察したい人にも向いています。子どものわずかな成長も実感できる環境であることから、保育士としてのやりがいを得たい人は、小規模保育園がおすすめです。

子育て経験のある人

子育て経験のある人は育児の基礎的知識を把握していることから、小規模保育園の即戦力人材として、歓迎される可能性が高いと言えます。また、子育て経験のある人は自分自身の育児経験から、親心を理解することが可能です。そのため、保護者のよき相談役として話しを聞き、適切なアドバイスを提供できます。

ただし、子育て方法や保育方針は、時代によって変動することが通常です。過去の自分の子育て方法や保育方針を、保護者に押し付けることは避けてください。

ブランク復帰を目指す人

小規模保育園は少人数制の保育施設であることから業務負担が比較的軽く、ブランクを経た直後の復帰先に向いています。小規模保育園は比較的残業の発生しにくい施設にも該当するため、自分のペースで無理なく、保育の現場で働く感覚を取り戻せます。

また、小規模保育園は、働く職員も少人数であることが特徴です。働く職員が少人数の職場では先輩や同僚とのコミュニケーションを取りやすく、不安なことが生じた際にはすぐ、周囲の人に質問できます。

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乳児保育のスペシャリストを目指す人

小規模保育園では、乳児保育の専門スキルが身に付きます。そのため、長期的なキャリアプランを考えたとき、「乳児保育のスペシャリストを目指したい」と考える保育士にとって、理想的な職場でしょう。

0〜2歳児は心身の発達スピードが非常に早く、保育士や保護者による適切な援助の必要性が高い年齢です。小規模保育園で乳児保育に携わると、保育士の仕事の責任ややりがいを再認識し、自分らしくいきいきと働ける可能性が高いと言えます。

小規模保育園の給料事情

保育士の平均年収は、規模別に分けると以下の通りです。

企業規模 平均年収(賞与込み) 平均賞与額
10~99人 約367万円​ 約79万円
100~999人 約373万円 約68万円
1,000人以上 約375万円 約73万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

年収総額では、企業規模と年収が比例関係にあるものの、賞与額に注目すると、小規模な保育園のほうが額が多いことがわかります。

以下では、小規模保育園の型ごとの給料相場や給料の高い職場の特徴を紹介します。

型ごとの給料相場の違い

小規模保育園で働く保育士の給料相場は、型による違いが見られます。2019年時点で、私立の小規模保育園A型で働く常勤保育士の月給相場は27万円程度です。

私立の小規模保育園B型で働く常勤保育士の月給相場も27万円程度であり、私立の小規模保育園A型で働く保育士と同程度の給料を得られる可能性が高いと言えます。一方で私立の小規模保育園C型で働く常勤保育士の月給相場は29万円程度と、他の型を上回る水準です。

小規模保育園C型は、3種類の中でもっとも最大利用定員の少ない施設であり、施設などのメンテナンスや施設の維持にかかる費用を抑えられる傾向です。そのため、常勤保育士の給料相場は高いと考えられます。

ただし、小規模保育園で働く保育士の給料相場は、施設によって変動する可能性が高いと言えます。また、小規模保育園で働く保育士の給料相場は地域や経営母体によっても変動するため、求人をよく読み、納得できる待遇で働ける職場を探しましょう。

給料の高い小規模保育園求人の特徴

給料の高い小規模保育園求人は、東京都・神奈川県などの首都圏に集中しています。東京都の小規模保育園の中には年収400万円以上を提示する施設もあり、小規模保育園で働く保育士の平均給料以上の待遇を狙うことが可能です。

また、一部の小規模保育園は経験豊富な保育士を確保するために、管理職の求人を出しています。管理職の求人では月収30万円以上を提示するケースが多く、小規模保育園で働く保育士の平均給料を大幅に上回る待遇を狙うことが可能です。

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まとめ

小規模保育園と一般的な保育園との違いや、小規模保育園で働く場合のメリット・デメリットなどを解説しました。

小規模保育園には、大規模保育園にないメリットが多くあります。園児の成長をじっくりと見守りたい人にとっては、最適な場所と言えるでしょう。ただし、デメリットもいくつか存在するため、自分に適している場所かどうか検討することが重要です。

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