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保育実習は、保育所の状況を身をもって知り、保育士の業務内容を理解するための大切な機会です。そして、保育実習に付き物である保育実習日誌は、保育の現場で得た情報や経験を文章に残し、就職後の仕事に活かすための重要資料に該当します。

この記事では、「保育実習日誌の書き方がわからない」という悩みを抱える学生・実習生に向けて、日誌の書き方のポイントや早く書くためのコツを解説します。保育実習日誌の記入例も紹介するため、書く内容に困っているときは一通り目を通してみてください。

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保育実習日誌を書くときのポイント

保育実習は、保育業務や保護者対応、社会人としてのマナーを模擬体験する機会です。
保育実習日誌を書く際は、行政機関に提出する書類・行事予定表の作成といった実務における事務作業をこなす気持ちで臨みましょう。

保育実習日誌を書くときの具体的なポイントは下記の通りです。さまざまな注意点を守り、社会人として恥ずかしくない文章を作ることが大切です。

  • 添削者に配慮し、読みやすい文字の大きさ・書き方を意識する
  • 1文字ずつ丁寧に書く
  • 文体は敬体(です・ます)と常体(である)のいずれかに統一する
  • 正しい日本語を使用し、美しい言葉遣いを意識する
  • 誤字脱字に注意し、合っているか不安な漢字は事前に調べる
  • 修正テープや修正液の使用は避ける
  • 専門用語を使用し、カジュアルな表現を控える

たとえば、保育士は「昼寝」のことを「午睡」と呼びます。保育実習における日誌でも同様の表現を使用し、カジュアルな印象を受ける書き方は控えてください。

そのほかには「遊ばせる」「食べさせる」など、子どもに何かを強要するような表現の使用を控えることも重要です。「外遊びの援助」「食べるように促す」というように、自発性を重視した表現を使用しましょう。

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保育実習における日誌の書き方

保育実習における日誌は、保育士として働き始めたあとに生じる事務作業の模擬体験という位置づけです。保育士の実務では、限られた時間の中で事務作業をこなさなければなりません。保育実習の日誌を書く際も過剰な時間をかけすぎず、スピーディーかつ正確に仕上げましょう。

ただし、スピーディーかつ正確に保育実習の日誌を仕上げるためには、基本的な書き方を理解し、十分な事前準備を行うことが大切です。

ここからは、保育実習における日誌の書き方を、日誌の項目ごとに分けて解説します。

【基本事項】忘れないように記入する

「基本事項」は、実習当日の日付や天気、出欠人数を記載する項目です。
記入内容をあらかじめ確認し、メモを残す習慣を作りましょう。

指導担当保育士の許可を得られる場合には、休憩中に基本事項を記入し、日誌の一部を仕上げる方法もおすすめです。指導担当保育士の中には「休憩時間は十分に頭と身体を休めることが大切」と考える人も存在するため、事前に相談し、許可を得た上で進めてください。

【目標・ねらい】学びたいことを具体化する

「目標」には、活動内容や担当クラスの子どもの年齢を考慮して、具体的な内容を記載します。一方で「ねらい」は「活動内容を通じて子どもにどのような成長を望むか」という内容を記載する項目です。実習先の保育方針や指導担当保育士の考えを踏まえ、目標・ねらいとして適切な内容を検討しましょう。

1日の始まりに目標やねらいを設定することは、自分自身のやるべきことを明確化し、実りの多い1日を過ごすことにつながります。実習中は目標やねらいを常に意識し、前向きに動くことが大切です。

【時間】活動の切り替わり時刻を入れる

時系列形式のフォーマットでは、「時間」の欄に活動の切り替わり時間を記載します。
「11:30から給食の準備」「12時に給食」というように詳細な記録を残すことが大切です。

保育実習開始直後は、帰宅後に保育業務の流れや手順をあらためて振り返ることが大切です。「給食の片付け後に午睡の準備・午睡後は自由遊びの時間」と、日誌の記入を通してその日の1日の流れを復習し、スケジュールの概要を覚えましょう。

【環境構成】丁寧に図柄を描く

環境構成とは、机や椅子の配置・おもちゃの置き方などを意味します。保育園における実務では、子どもの心身の発達を後押しできるような環境構成を考えることが大切です。

保育実習の日誌には図や絵を添えて、詳細な環境構成を記載します。あとから見返すときにもレイアウトや置き方がひと目で判断できるように、記載方法を工夫しましょう。

【子どもの活動】一人ひとりの行動を記録する

「子どもの活動」には、「朝の会」や「外遊び」といった活動内容を記載します。
クラス全体の活動のみではなく、一人ひとりの姿や出来事、状況に視点を置き、詳細な記載に努めましょう。

<記入例>

◯自由遊び
・他の子どものおもちゃを奪う場面が見られ、一緒に遊ぶように促す。

活動中は子どもの様子をよく観察し、発達過程に応じた行動の特徴を押さえましょう。
観察によって得た気づきを日誌にまとめることで、より深く内容を理解できます。

【保育者の援助】保育士の意図を汲み取る

「保育者の援助」には、保育士の声かけや働きかけの様子を記載します。事実を述べるだけではなく、指導担当保育士の言葉や行動の意図を汲み取り、内容に反映しましょう。

<記入例>

  • おもちゃを奪われた子どもに声をかけ、なぐさめる。
  • おもちゃを奪った子どもに付き添い、「貸して」「いいよ」といったやり取りを促す。

保育士の実務では、子どもと関わる際の言動すべてに対し、根拠や意図が求められます。「何を教育するためにどのような言葉をかけるか」を常に考え、指導担当保育士の様子を観察しましょう。

【実習生の動き】細かな気づきを書き入れる

「実習生の動き」には、自分自身の行動や気づき、コメントを記載します。事実を列挙するのではなく、保育内容や保育環境、保育士の役割などに関する気づきを記載してください。

指導担当保育士とともに行動することで、職員間の役割分担や担当者同士の連携方法、職業倫理に関する理解が深まります。必要に応じて自分自身の考察も添え、詳細な記載に努めましょう。

【感想・反省】次につながる内容も盛り込む

「感想・反省」は、日誌のまとめに該当します。当日の自分自身の動きを振り返りつつ、「目標・ねらい」の達成度合いや反省点を記載しましょう。

「目標・ねらい」に記載した内容の中で未達に終わった部分は、「なぜそのような結果に至ったか」と考察することが大切です。考察した内容も「感想・反省」に盛り込み、翌日以降の取り組みに活かしましょう。

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保育実習日誌を早く書き上げるコツ

保育実習日誌を書くために過剰な時間を費やすことは、望ましいことではありません。深夜まで保育実習日誌を書き、睡眠不足に陥ることには、保育実習中の集中力を低下させるリスクもあります。

以下に紹介する2点のコツを取り入れ、できる限りスピーディーに保育実習日誌を書き上げましょう。

行動の意図を汲むことを常に意識する

保育実習日誌には、活動・観察内容といった事実と、自分自身の気づき・考えの両方を記載します。指導担当保育士の指示や助言の裏に隠された意図を常に意識し、日誌を記載するための下書きを頭の中に作成しましょう。

指導担当保育士の意図がわからない場合は指示を受けたタイミングで質問し、回答を得る方法がおすすめです。疑問点を残したまま帰宅することは避け、指導担当保育士から吸収できることはすべて現場で学ぶ気持ちで行動し、保育実習日誌に反映させます。

記憶せずにメモを取って記録する

環境構成や子どもの活動、保育士の言葉かけや働きかけの内容など、多くのことを完璧に記憶することは困難です。暗記に頼ってしまうと日誌を書く前に頭の中を整理する必要性が生じ、時間の浪費を招いてしまうリスクがあります。

保育現場での気づきの失念を防ぐ解決策としては、リスト形式など簡易的な方法でメモを取る方法がおすすめです。メモ帳やノートを持ち歩き、項目ごとの記録を残しましょう。

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まとめ

保育実習中の日誌は、「丁寧に大きな文字で書く」「専門用語や自発性を重視した表現を使う」などいくつかポイントがあります。社会人としてふさわしい書式を心がけつつ、日誌の各項目に適切な内容を書き入れましょう。

保育業務の最中にメモを取ったり指導担当保育士の意図を考えたりすることにより、日誌を書き上げる時間の短縮が可能です。

事実の記録と振り返り、自己評価を行うスキルは、保育士として働き始めたあとにも要求される重要事項に該当します。保育日誌の記入を通して正確な記録の取り方や目標設定、自己評価方法を体験し、就職先の即戦力人材を目指してください。