近年は、日本でもベビーシッターの知名度が上がっており、共働き世帯を中心に利用者が増加しています。それに伴って、保育士からベビーシッターに転職する人も増えてきました。みなさんのなかにも、就職や転職の選択肢として、ベビーシッターを検討している人がいるのではないでしょうか。
当記事では、保育士とベビーシッターに焦点を当てて、それぞれに必要な資格や仕事内容を詳しく解説していきます。給料や向いている人の特徴についても紹介するので、保育士・ベビーシッターに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
ベビーシッターとは?
ベビーシッターとは、利用者宅や民間施設で一時的に子どもを預かり、親の代わりに保育を行う仕事です。個人で開業することも可能ですが、一般的には派遣会社などに登録してベビーシッターとして働く人が多く見られます。
ベビーシッターというと「乳幼児のお世話をする人」というイメージがありますが、実際は、乳児から小学生まで幅広い年代の子どもたちを保育します。
ベビーシッターの利用実態は、下記のとおりです。
・実際に利用している子どもの年齢は3歳未満が32.8%、3~5歳が36.3%
・保育所などに所属している子どもは34.5%、幼稚園は14.2%、小学生は22.1% ・ベビーシッターの利用理由は「親が仕事のとき」が79.6% ・ベビーシッターの利用頻度は週に2~3回が35.4% ・1回あたりの利用時間は2~3時間程度が22.1% |
(出典:厚生労働省「ベビーシッター事業の現状と課題」/https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000491828.pdf)
同じデータで、ベビーシッターを利用するときの理由を見てみると、「仕事のため保育所などに迎えに行くのが困難である場合」に利用する保護者が多い傾向です。
保育士とベビーシッターの違い
欧米に比べて認知度は低いものの、日本でもベビーシッターが普及しつつあります。
日本にベビーシッターが登場したのは1960年代といわれていますが、当時は「富裕層向けのサービス」というイメージが強く、一般家庭に浸透するには至りませんでした。しかし、近年は待機児童の問題や共働き家庭の増加によって、希望する時間に子どもを預けることができるベビーシッターへの需要が高まっています。
以下では、保育士とベビーシッターの違いについて具体的に解説します。
仕事内容
「子どもを預かって保育をする」という点において、保育士とベビーシッターの役割は共通していますが、仕事内容が大きく異なります。具体的な違いは、下記のとおりです。
保育士 | ・保育施設で子どもを預かる ・複数の子どもを相手に、集団保育を行う ・保育士複数人で子どもを保育する ・勤務時間は勤務先に準じる(一般的には8時間勤務が基本) |
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ベビーシッター | ・利用者宅や民間施設で子どもを預かる ・1~2人の子どもを預かり、個別保育を行う ・1人で子どもを保育する ・勤務時間を自分で決められる |
保育士は勤務先が固定されているため、同じ場所で同じ子どもを継続して保育します。一方で、ベビーシッターの勤務先は固定されていないため、毎回移動することになります。
両者を比較すると、保育士よりもベビーシッターのほうが勤務形態において自由度が高い傾向にあります。ただし、依頼先や依頼内容によって業務が変わるため、仕事に対しての柔軟な姿勢が求められるでしょう。
必要資格
保育士とベビーシッターでは、必要な資格も異なります。下記は、保育士とベビーシッターに必要な資格です。
保育士 | ・保育士資格が必要 |
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ベビーシッター | ・資格不要 ※ただし、「保育士」「幼稚園教諭」「小学校教諭」「看護師」「助産師」などの資格があれば、利用者からの信頼を得やすい ※民間資格として「認定ベビーシッター資格」「ベビーシッター資格」「ベビーシッター技能認定」などがある |
保育士として働くためには、国家資格である保育士資格が必要です。保育士試験に年齢制限は設けられていないため、受験資格を満たしていれば、何歳からでも資格取得を目指すことができます。
一方で、ベビーシッターに必須資格はありません。主婦の方でも子育ての経験や知識を生かして、ベビーシッターとして活躍することが可能です。ただし、保育士やベビーシッター関連の資格を持っていたほうが信頼性は高く、歓迎されやすいでしょう。民間資格は、研修を受けて認定試験に合格することで資格取得が可能です。
上記の民間資格のほかにも、「育児セラピスト」や「チャイルドマインダー」といった育児関連の資格があるため、興味がある人は通信教育などを利用して、取得しておくとよいでしょう。また、ベビーシッターは家事代行や、英語・楽器などのレッスンが業務内容に含まれる場合もあるので、得意なスキルがあると役に立ちます。
給料・待遇
保育士とベビーシッターでは、給料・待遇面でどのような違いがあるのでしょうか。下記は、保育士とベビーシッターの平均年収です。なお、ベビーシッターの平均年収は、マイナビ保育士に掲載されている求人情報をもとに算出した推定金額です。
保育士(※) | 約391万円 |
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ベビーシッター | 約260万~350万円 |
(※出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html)
保育士として勤務する場合は正社員が多く、安定した収入を得ることができます。一方、ベビーシッターの雇用形態は正社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主と幅広く、仕事量や勤務時間により年収に差があります。こちらも求人情報からの概算になりますが、月収にして18万~25万円、時給にすると1,000~1,500円が相場です。
ベビーシッターとして安定した収入を得たい場合は、正社員や派遣社員として働き、毎日継続的に依頼を受けるのがおすすめです。なお、早朝・夜間の保育や、病児・障害児など特別なケアが必要な保育に対応できると、給料が加算されるケースが多く見られます。
個人事業主として起業したい場合は、実績を積んで利用者との信頼関係を築いてから検討するのがよいでしょう。
求人の傾向
保育士とベビーシッターは業務内容が異なるため、求人情報にも違いがあります。下記は、保育士とベビーシッターの求人の傾向をまとめた表です。
保育士 | ・勤務施設が明確 ・勤務時間は基本的に実働8時間 ・土日祝休みの週休2日制 |
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ベビーシッター | ・利用者宅や民間施設など、勤務地が多様 ・勤務時間は依頼内容によって異なる ・休日はシフト制 ・育児経験や保育の実務経験が求められることもある |
保育士は休日や勤務地が固定しており、長期にわたって安定して働けます。一方で、ベビーシッターはライフスタイルに合わせて自由に働くことが可能です。なお、派遣会社の正社員として働く場合は、ベビーシッターも8時間勤務が基本となります。
ベビーシッターと比べて保育士のほうが求人数は多い傾向にありますが、保育ニーズの増加に伴って、今後はベビーシッターの求人も増えていくことが予想されます。
向いている人
保育士・ベビーシッターは「子どもの命を預かる仕事」であるため、どちらも強い責任感が求められます。また、子どもの相手ができるように十分な体力が必要となります。下記は、保育士とベビーシッター、それぞれに向いている人の特徴をまとめた表です。
保育士 | ・集団保育で毎日同じ子どもを保育し、成長を見守りたい人 ・勤務時間や勤務地を固定したい人 ・同僚や先輩と一緒に働きたい人 ・コミュニケーション能力が高い人 |
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ベビーシッター | ・個別保育で、子どもにじっくり向き合いたい人 ・勤務時間や勤務地、業務内容の変化に臨機応変に対応できる人 ・個人で働きたい人 ・育児経験や保育の実務経験がある人 ・高い倫理観を持っている人 |
保育士は職員や保護者など多くの人と関わる場面が多いため、高いコミュニケーション能力が求められます。一方、ベビーシッターは利用者宅で勤務することが多いため、プライバシーを守る倫理観や判断力が不可欠です。
保育士とベビーシッター、それぞれの特徴を理解して、自分に合った職種を選びましょう。
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まとめ
ベビーシッターは、利用者宅や民間施設で子どもを預かり保育をする仕事です。ベビーシッターに必須資格はありませんが、保育士やベビーシッター関連の資格を保有していると信頼感が増すでしょう。一方、保育士として勤務するためには、保育士資格が必要です。
ベビーシッターの給与は、雇用形態や業務内容、勤務時間、スキルなどによって異なります。勤務時間や勤務地、業務内容の変化に臨機応変な対応ができる人は、ベビーシッターに向いているといえるでしょう。
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