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家庭訪問は、保育士の仕事の中でも特別な機会です。新任の保育士や経験が浅い保育士の中には、家庭訪問で緊張してしまう人も多くいます。しかし、家庭訪問は子どもの様子を深く知り、保護者との信頼を深める貴重なチャンスです。

当記事では、保育士が家庭訪問を行う上で重要なポイントを解説します。必要な持ち物や確認事項、実際に訪問する際のマナーも紹介するため、これから家庭訪問を行う保育士や家庭訪問の進め方で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

保育士が家庭訪問を行う目的

保育士にとって、家庭訪問は大切な仕事内容のひとつです。職場での個人面談ではなく、実際に子どもたちが生活している家庭を見ることで、子どもたちの生活環境がわかります。

また、保護者との面談をしながらコミュニケーションをとることで、いつもと違った一面を発見することもあるでしょう。家庭訪問で得た情報は、今後の指導や保護者支援に役立つため、積極的に取り組むことをおすすめします。

家庭訪問では子どもや保護者もリラックスしているため、親密度を高めるまたとないチャンスです。世間話のように楽しくコミュニケーションをとりながら、ゆとりを持って会話を進めましょう。

保護者面談や家庭の状況などから子どもについて知ることが、家庭訪問の最大の目的です。慣れないうちは緊張するという保育士も多いでしょう。家庭訪問といっても、特別なことをする必要はありません。普段の仕事と同じようにしていれば大丈夫です。

保育士が家庭訪問時に用意すべきもの

家庭訪問では、1日にいくつもの家庭を回ることがほとんどです。当日になって慌てないように、持ち物は前日までに準備しておきましょう。

ここでは、保育士が家庭訪問時に用意すべき持ち物を紹介します。

◯各家庭への地図
多くの保育施設では、入園時に保護者が家から施設までの道のりを記載した資料を提出しています。提出された資料を参考に、メモや印を入れた自分専用の地図を用意しておくと便利です。スマートフォンの地図アプリでも代用できますが、細かく入り組んだ地域などは、アプリでは表示しきれない場所もあります。

◯腕時計
家庭訪問が長引くと次の訪問先に迷惑をかけてしまうため、時間を意識して行動することが大切です。腕時計を利用することで、会話中でも相手に失礼にならず時間を確認できます。

◯メモと筆記用具
保護者との会話や家庭の状態など、必要に応じてすぐにメモが取れるようにしておきましょう。メモを用意していると、保護者にも好印象を与えられます。必要に応じて、事前に質問内容などのメモを作っておくこともおすすめです。

保育士が家庭訪問の際に確認すべきこと

リビングルーム

家庭訪問では、ひとつの家庭を15分から20分程度で回るスケジュールが一般的です。お互いに時間不足とならないように、家庭訪問で確認すべきことを事前にまとめておきましょう。

下記は、家庭訪問を実施する際に確認しておきたいポイントをまとめた表です。

聞くべき項目 内容
子どもの健康状態 子どものアレルギーや持病など、健康面で気になる点を確認します。敏感肌でかぶれやすい、寒さに弱いなど、保育施設で過ごす上で気を付けて対応してほしい点も把握しておくとよいでしょう。
家庭での様子 子どもによっては、保育施設と家庭ではまったく様子が違うケースも珍しくありません。普段どのように家庭で過ごしているか、遊び方や家族との関係などを確認します。生活パターンや食生活も確認すると、普段の指導に役立ちます。
子どもの好き嫌い 食べ物・遊び・動物など、好き嫌いの好みを聞き取り、子どもとのコミュニケーションに役立てましょう。また、得意なことや苦手なことを聞いておくと、より子どもに合わせたきめ細かな指導につながります。
友だち関係 幼稚園などの仲間や、近所の友だちといった普段の交友関係を知ることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。仲がいい子や苦手な子、場合によっては好きな異性も確認し、周囲との関係性をつかんでおきましょう。
家庭環境 兄弟姉妹の有無やワンオペ育児、共働きで親の帰りが遅いなど、家庭環境や養育状況は子どもに大きな影響を及ぼします。両親の離婚などの聞きづらい内容もありますが、子どもを傷付けないためにもしっかり確認しておくことが大切です。
保護者から見た子どもの姿 性格や普段のやりとりなど、保護者しか知らない姿を知ることは、子どもを理解するために非常に役立ちます。
保護者の不安事項 毎日の育児や保育施設での集団生活の中で、保護者が不安に感じていることを確認します。家庭訪問は、子どもの成長を知るだけではなく、保護者の支援も目的のひとつです。保護者の育児相談に乗ることで、信頼関係を築くことができます。

家庭訪問は時間が限られているため、上記すべての項目を詳しく聞くことはできません。そのため、普段の子どもの様子から、事前に確認しておきたい項目を絞っておきましょう。また、保護者の気持ちを尊重し、子育てに批判的な内容は絶対に口にしないようにしてください。

家庭訪問時に注意すべきマナー3つ

スーツの女性

ここからは、家庭訪問時に注意すべきマナーを3つ紹介します。保護者との信頼関係を築いて家庭訪問を成功させるためにも、常にマナーを意識しておきましょう。

挨拶に関するマナー

家庭訪問は、玄関先で済ませる場合と、室内で行う場合があります。保育施設の方針により玄関先で済ませる場合は、簡単な挨拶のみで十分です。室内で面談を行う場合は、玄関先で軽く挨拶を済ませてから、部屋に通された後に改めて丁寧な挨拶をしましょう。

訪問先に到着した際、身に着けているコートや防寒具はチャイムを鳴らす前に抜いておくことがマナーです。脱いだコートなどは裏返してたたみ、外のほこりを室内に落とさないように注意してください。

帰り際には、挨拶の前に必ず他に要望や気になる点がないか確認しましょう。面談が終了した後にもう一度確認をとることで、保護者の信頼感がアップします。言い忘れていたことや言いづらかったことが残っている可能性もあるため、確認はとても大切です。

家に上がる際のマナー

家庭訪問は玄関先で済ませる連絡を伝えていても、保護者によっては中に案内されることもあります。その際は「お気遣いありがとうございます。せっかくのお申し出ですが、事前にご案内させていただきました通り、訪問時間が限られておりますので、玄関先でもよろしいでしょうか?」など、一旦お断りすることがマナーです。保護者の気遣いを感謝しつつ、理由を説明して丁寧に断ると、相手に不快感を与えません。

また、時間に追われて急いでいるとつい焦ってしまいますが、家に上がる際は必ず保護者が「どうぞお上がりください」と促した後に靴を脱ぎましょう。正面を向いて靴を脱ぎ、脱いだ靴は向きを変えて玄関の端に寄せてください。スリッパが用意されていれば、履いてしまってかまいません。

部屋に通された後は、上座を勧められない限り、必ず下座に座るようにします。先輩保育士と一緒に訪問した際は、先輩が上座になるように注意しましょう。

お茶菓子に関するマナー

訪問先でお茶菓子を出された場合、基本的には口を付けることが好ましいとされています。ただし、残してしまうとかえってマナー違反となるため、全部食べきれないようであれば丁寧にお断りしてください。断る際は「どのご家庭でもご遠慮させていただいておりますので」と、すべての家庭で平等に断っているように伝えると違和感がありません。

人によっては、保育士が持ち帰れるようにペットボトルのお茶や個包装のお菓子を用意していることもあります。持ち帰りを勧められた場合は、素直に受け取りましょう。

まとめ

家庭訪問は、保育士にとって大切な業務であり、保護者や子どもにとっても大きなイベントです。普段と違った環境での面談に緊張することもありますが、お互いにリラックスして会話できるよう心がけましょう。

家庭訪問は限られた時間で行うため、持ち物や確認事項は前日までに用意しておくことが成功につながります。さらに、保護者から信頼できる先生と思われるためには、マナーを守ることも重要です。家庭訪問を行う際は、当記事で紹介した家庭訪問時のマナーを押さえ、保護者や子どもとの信頼関係を築きましょう。