202103_working-hours_01.jpg

子どもと接する仕事が好きであっても、現在の職場で勤務時間が長く不満や疑問を感じている保育士の方は少なくありません。特に仕事量の多い保育施設では、残業時間が増えやすい傾向です。

当記事では、保育士の平均勤務時間や残業時間・休憩時間の実態、長時間労働を回避するためのポイントについて解説します。法的に定められた勤務時間について知り、より納得できる働き方をしたい保育士の方はぜひ参考にしてください。

【働き方別】保育士の平均勤務時間

政府の2019年度の統計データによると、全国の保育士における1か月の平均所定内労働時間は、女性で163時間、男性で165時間です。

(出典:政府統計の総合窓口 e-Stat「賃金構造基本統計調査」/ https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003084962

1か月の出勤日を20日間とした場合、保育士の平均勤務時間は約8時間となります。ただし、実際の勤務時間は勤務先や条件によって多少の誤差を生じるため、この数字はあくまでも目安です。

ここでは、働き方によって異なる保育士の勤務時間について、4つの働き方に分けて解説します。

シフト制勤務

シフト制は、1日の業務時間を時間帯によって分けて交代制で働く勤務形態です。シフト制勤務は、多くの保育施設で取り入れられる働き方となっています。シフトは早番・中番・遅番などに分けられていることが一般的です。早い時間に閉園する保育施設では、早番と遅番の2つしかシフトがない場合もあります。

出退勤の時刻やシフトの組み方は、保育施設によって様々です。たとえば、早番が7時~16時、中番が9時~16時、遅番が11時~20時などと設定されています。

シフト制における勤務時間の目安は8時間前後で、残業が発生した場合は勤務時間がより長くなる傾向です。

固定時間勤務

固定時間制は就業時間や出勤する曜日などが固定されている勤務形態で、主に一般企業で導入されています。ただし、保育業界では固定時間勤務を導入している施設は少ない傾向です。

固定時間制が導入されている職場では、8時~16時など就業規則によって決められた労働時間で働きます。派遣社員として保育施設で働く場合は、固定時間勤務が多い傾向です。

固定時間勤務制における勤務時間の目安は8時間前後で、残業をした場合は勤務時間が長くなります。

短時間勤務

短時間勤務制は育児・介護休業法によって定められた勤務形態です。3歳に満たない子どもを養育する労働者であることなど、一定の条件を満たした保育士が短時間勤務の対象となります。

(出典:厚生労働省「短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)について」/ ​https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/navi/manual/doc/attention.pdf

短時間勤務制は、育児や介護などの事情によってフルタイムの勤務が難しい保育士のために用意された制度です。また、産休や介護などでブランク期間のある保育士が職場復帰をする際に、短時間勤務制が活用されるケースもあります。

短時間勤務制における1日の所定労働時間は6時間です。フルタイムの勤務と比べて、短時間勤務制の労働時間は2時間短く設定されています。

変形労働時間制勤務

変形労働時間制は、月単位や年単位などで労働時間を調整する勤務形態です。変形労働時間制を採用する職場では、就業規則によって繁忙期と閑散期で異なる所定労働時間があらかじめ決められています。

保育施設においては、変形労働時間制が取り入れられているケースは少数です。社会福祉法人や株式会社が運営する保育施設では、変形労働時間制が取り入れられていることがあります。

変形労働時間制では、繁忙期の労働時間が9時間や10時間など、閑散期と比較して長く設定される傾向です。一方、閑散期には長期休暇をとったり、週休3日で働いたりできるなど、業務内容に応じた柔軟な働き方が可能となっています。

保育士の残業時間の実態|休憩時間の取得状況

スマホを操作する女性

近年は保育士のニーズが高まっているため、残業時間は増加傾向です。

労働基準法によって定められている週あたりの法定労働時間は40時間で、法定労働時間を超えた分は残業扱いとなります。

(出典:厚生労働省「労働時間・休日」/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html

全国保育協議会のデータによると、週あたりの実働時間が40時間以上50時間未満の正規職員は回答者の55.3%、50時間以上60時間未満は1.7%、60時間以上は0.2%でした。また、週あたりの実働時間が40時間以上と回答した正規職員の合計は、57.2%となっています。

(出典:全国保育協議会「会員の実態調査報告書2016」/ http://www.zenhokyo.gr.jp/cyousa/h29_06/201706.pdf

つまり、保育士として働く方の多くで残業が発生していることが実情です。施設形態や雇用形態、働き方によっては月に40時間~60時間の残業が発生するケースもあります。

また、労働基準法では6時間以上の勤務に対して45分間以上、8時間を超える勤務に対して少なくとも1時間の休憩が必要と定められています。

(出典:厚生労働省「労働時間・休日」/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html

保育士の勤務時間は8時間以上となるケースが一般的なため、原則として1日あたり1時間以上の休憩が必要です。

しかし、保育施設によっては休み時間中にも、連絡帳のチェックや行事の準備など事務作業が発生している場合があります。本来であれば事務作業を行っている時間は休憩時間に含まれないため、休憩時間が十分に取得できない職場は違法な状態です。

長時間労働を回避するための3つのポイント

保育士が長時間労働を避けて働くためには、いくつかのポイントを押さえることが重要となります。労働環境の改善に気を配っている保育施設への就職・転職や、自分に合った雇用形態で働くことが、適切な労働時間で働くための主な方法です。

最後に、保育士が長時間労働を回避するためのポイントを3つ紹介します。

1:時間外労働の短縮に取り組んでいる施設で働く

保育士が長時間労働を回避する1つ目のポイントは、時間外労働の短縮に取り組んでいる施設で働くことです。

一般的に、公立保育園では勤務時間の管理が徹底されています。早朝保育や延長保育を行っていない公立保育園では、原則として長時間の時間外労働は発生しません。ただし、公立保育園の保育士は、私立保育園と比較して就職難易度が高い傾向です。

私立保育園においても、短い時間外労働で働ける職場は存在します。特に、運営者が子育て支援を重視している保育施設では労働環境が整っている場合が多く、無理なく働くことが可能です。また、児童福祉施設や託児所なら、持ち帰り残業なしで働ける可能性があります。

時間外労働を短縮するため、人員配置の工夫や労働環境改善に取り組んでいる保育施設を探しましょう。

2:定員数・行事数の少ない施設で働く

保育士が長時間労働を回避する2つ目のポイントは、定員数や行事数の少ない保育施設で働くことです。小規模保育園・企業内保育所・院内保育は、通常の保育施設と同じ仕事内容で、定員数や行事数が少ない傾向となっています。

・小規模保育園
小規模保育園とは、2015年から設立された認可保育施設です。小規模保育園の定員数は6人~19人までで、家庭的な環境で保育を行います。小規模保育園で保育を行う対象年齢は0歳~2歳です。

(出典:内閣府「子ども・子育て支援新制度について」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei

小規模保育園は定員数が少ないため、忙しい保育施設と比較して少ない業務負担で働けます。

・企業内保育所
企業内保育所とは、企業によって運営される事業所内の保育施設です。企業内保育所は小規模な場合が多く、クラスを担当せず保育士同士が協力して保育を行います。

企業内保育所はオフィスビルに併設されているため園庭や体育館がなく、行事が行われないケースが一般的です。そのため、行事の準備などによる時間外労働が発生しにくい環境となっています。

・院内保育
院内保育とは、主に病院内で働く医療従事者の子どもたちを預かる保育施設です。企業内保育所と同様に、院内保育でも担任クラスや行事がありません。そのため、院内保育ではサービス残業や持ち帰り仕事が発生しにくく、定められた時間内で業務を終えることができます。

3:短時間正社員または非正規社員として働く

保育士が長時間労働を回避する3つ目のポイントは、短時間正社員や非正規社員などの雇用形態で働くことです。

短時間正社員なら、フルタイムの正社員と同じく福利厚生を受けながら、短い時間で働けます。また、非正規社員は自分のライフスタイルに合わせて、最適な時間帯や勤務日数で働くことが可能です。

保育士として働き方を重視する場合、フルタイムの正社員以外も候補の1つとなります。労働形態の変更も視野に入れて、より快適に働ける職場を探しましょう。

まとめ

保育士の労働時間は原則として1日8時間と定められています。ただし、保育士の勤務時間は、シフト制や変形労働時間制など働き方によって大きく異なる傾向です。近年は保育士のニーズが高まっているため、月の残業時間が40時間以上となるケースもあります。

長時間労働を回避するためのポイントは、時間外労働の短縮に取り組む施設や定員数・行事数の少ない施設で働くこと、短時間正社員または非正規社員として働くことです。より快適に働きたい保育士の方は、自分に合った就職先を探してみてはいかがでしょうか。

残業少なめの求人情報はこちら