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近年は保育士の処遇改善のために、行政や団体がスキルアップのための研修を実施しています。研修はさまざまな種類・分野が用意されており、自分の能力や目的に応じて受講できる仕組みです。一度身に付けたスキルは現在の職場ではもちろん、転職した新しい職場でも活かすことができます。

今回は、保育士研修について具体的な種類や内容とともに、スキルアップにおすすめの資格も紹介します。保育士としての仕事を更に充実したものにしたい方は、ぜひ参考にしてください。

保育士が研修を受けるメリット

スキルアップ目的の他、知識の再確認や新しい情報を得るためにも研修への参加がおすすめです。保育士が研修を受けると、以下のメリットがあります。

〇昇格や給料アップしやすくなる
受講した研修によっては、修了証が発行されて自治体の名簿に登録されたり、処遇改善の対象となったりします。また、特定の指導方法や専門知識を修得したことで、リーダー職に昇格するなど給料アップの機会も得られるでしょう。

〇より専門的な知識を得られる
基本的な保育技術向上のための研修はもちろん、発達障害を持つ子どもや虐待の疑いがある子どもへの対処法など、専門的な知識を得られる研修も豊富です。正しい知識を得ることでトラブルに対する適切な対処ができるようになり、子どもや保護者からの信頼につながります。

〇他の園の保育士とつながりが持てる
長年同じ勤務先で働いていると、考えや指導方法に偏りが生じることは珍しくありません。研修は他の園の保育士も多数参加するため情報交換ができ、新しい考えや指導方法を知るきっかけとなるでしょう。また、外部に仕事の悩みを理解してくれる相手ができることで、心の支えができます。

【主催団体別】保育士が受けられる主な研修

勉強会の様子

保育士の研修は、初任者から管理職員まで職位や職務内容に応じてさまざまなテーマで開催されています。同じテーマでも年度によって研修内容が見直され、前回と若干異なる場合もあるため、誰が参加しても新しい発見を得られるでしょう。

研修の主催団体は、厚生労働省の他に全国保育士会や民間企業・団体です。ここでは、各団体が開催する主な研修について解説します。

厚生労働省が主催する研修

厚生労働省が主催するものは「保育士等キャリアアップ研修」と呼び、ガイドラインに基づいて都道府県が指定した研修実施期間・非営利団体によって実施されます。

修了が認められた保育士は修了証が発行され、各自治体の名簿に登録されます。効果は全国で有効となるため、県外への転職や転居を検討している場合も、再度受講する必要はありません。

研修種類は「専門分野別研修」「マネジメント研修」「保育実践研修」の3タイプに大きく分けることができ、それぞれの具体的な内容は下記のとおりです。

専門分野別研修
分野 研修内容(一部の例) 研修のねらい
乳児保育(0歳~3歳未満児) ・乳児保育の意義(役割・課題など)
・乳児保育の環境(安全性など)
・乳児への適切な関わり(配慮事項・関わり方)
乳児保育に関する理解を深めることで、適切な環境を構成し、個々の発達に応じた保育や他者へのアドバイスができる能力を身に付ける。
幼児教育(3歳児以上) ・幼児教育の意義(役割・課題など)
・幼児教育の環境(ふさわしい生活・指導など)
・幼児の発達に応じた保育内容(資質と能力の育成)
幼児教育への理解を深め、適切な環境を構成するなど個々の発達に応じた教育ができる能力を身に付け、他者へのアドバイスができる人材を目指す。
障害児保育 ・障害の理解(合理的配慮など)
・障害児保育の環境(他の子どもとの関わりなど)
・家庭及び関係機関との連携(保護者・家族に対する理解など)
障害児保育に関する理解を深めたうえで適切な保育計画を立てることができ、個々の子どもに発達の状態に応じた保育や他者へのアドバイスもできる能力を身に付ける。
食育・アレルギー対応 ・栄養に関する基礎知識
・食育計画の作成と活用
・アレルギー疾患の理解
・各ガイドライン
食育およびアレルギーに関する理解を深め、ガイドラインに基づいた適切な提供・対応ができる人材を目指す。
保健衛生・安全対策 ・保健計画の作成と活用
・事故防止及び健康安全管理
・保育所における感染症対策ガイドライン
適切な保健計画を作成できるよう、保健衛生への理解を深めたうえで適切な安全対策を取ることができる能力を身に付ける。
保護者支援・子育て支援 ・保護者支援・子育て支援の意義(機能や課題など)
・保護者に対する相談援助(計画・記録など)
・地域における子育て支援
保護者支援・子育て支援に関する理解を深め、適切な支援ができ、他者にアドバイスもできる能力を身に付ける。
マネジメント研修
分野 研修内容 研修のねらい
マネジメント ・マネジメントの理解(現状・課題など)
・リーダーシップ(助言・指導など)
・組織目標の設定
主任保育士の下、ミドルリーダーの役割を担う人材として求められる役割・知識を理解し、マネジメント・リーダーシップの能力によって自園の円滑な運営と保育の質の向上を目指す。
保育実践研修
分野 研修内容 研修のねらい
保育実践 ・保育における環境構成
・子どもとの関わり方
・遊び(体・音楽・言葉・物などを使う)
子どもに対する理解を深めたうえで、さまざまな遊びや指導、環境を通じた保育の展開ができる能力を身に付ける。

研修で技能の習得が認められ、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」など役職に就く修了者は、現職者と同様に処遇改善の対象となります。一人あたり立場に応じて月額5,000円~40,000円が支給されます。

全国保育士会が主催する研修

主催の全国保育士会は、保育士の身分保障や社会的な地位を改善することにより、保育内容の質の向上を目指す団体です。保育士が安心して子どもの成長や保護者の子育てを支援できるよう、下記の研修も開催しています。

研修名 研修内容
主任保育士・主幹保育教諭特別講座 保育のスーパーバイザーとしての知識・技術に加えリーダーとしての力量を高めることを目的とした講義・課題

・集中講義(前期・後期)
・レポート提出(全4回)
・修了論文の提出
「保育スーパーバイザー」養成研修会 保育および地域の子育て支援・保護者支援に必須の知識・技量を身に付けるための講義

・講義と演習(全2日)
全国保育士会研究大会 各分科会による研究発表および記念講演
全国保育士研修会 主任保育士・主幹保育教諭・リーダー的役割を担う全国保育士会員のための研修

・全体講義
・コース別研修(申込時に選択)
食育推進研修会・食育研修会(web) 全国保育士会員を対象に保育の観点から食育を考え、理解を深めるための研修
改定保育所保育指針研修会 改定保育所保育指針の改定部分に関する理解を深め、指導計画の考え方など実践に役立てるための研修

1日~2日間のカリキュラムが多く、参加費は10,000~25,000円が相場です。ただし、長期開催の研修は参加費が高額となるため、公式ホームページの募集要項を細部まで確認しましょう。

また、対象者が会員のみに限られている研修・イベントもあります。

民間企業・団体などが主催する研修

民間企業・団体が主催するビジネス向け・子育て向けの研修も、保護者対応など保育士の仕事に役立てられるものが多く存在します。行政主催の研修とは異なる視点で開催されており、有名講師から直接、専門的な分野を学んだり実践的な力を身に付けたりしたい方におすすめです。

保育士としてのスキルアップに最適な研修は、下記のものが挙げられます。なお、主催団体によって研修名やテーマ、定員数は若干異なります。

研修名 研修内容
ストレスコントロール方法 自己理解を深めることにより、疲弊感や燃え尽き症候群から自身を守るためのストレスコントロール方法を学ぶ。
クレーム対応 相手の立場で言い分を聞く重要性を学び、実践形式でクレーム対応の基礎を身に付ける。
歌・ダンス・リトミック 運動会や発表会のレパートリーを増やせるよう、専門の講師から実戦形式で歌・ダンス・リトミックを学ぶ。
絵本の読み聞かせ 年齢別にどのような絵本が読み聞かせに適しているか理解し、読み方のポイントを身に付ける。

研修の相場は主催者や内容によって大きく変動します。手頃なものやweb会議ツールを利用したオンラインイベントは数千円程度で受講できるため、興味を持った研修は積極的に受けましょう。

保育士のスキルアップにおすすめの資格

近年は質の高い保育が求められており、スキルアップを希望する保育士も少なくありません。保育士のスキルアップは前述した研修の他に、資格を取得する方法も人気です。次期園長や職務分野別リーダーなどの役職を目指す場合、得意分野が多いほど有利に働くでしょう。

保育士のスキルアップにおすすめの資格は、下記のとおりです。

おすすめの資格名 解説(資格で証明できる能力)
食育スペシャリスト 食物アレルギーの知識や「子ども」「大人」それぞれの食育について理解を深め、企画・プレゼンテーションができる。
チャイルドマインダー 家庭的保育のプロ「チャイルドマインダー」として個々に向き合った保育ができる。
リトミック指導員 子ども用に特化した音楽教育「リトミック」を理解し、指導ができる。
幼児教育・保育英語検定 子ども・保護者と英語によるコミュニケーションを取ることができる。

また、確実にキャリアアップを目指すのであれば、転職も視野に入れましょう。スキルを重視してくれる職場で働くことで、給料アップやスムーズなキャリアアップが期待できます。

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まとめ

保育士研修は役職者を目指すために修了が欠かせない場合もあるため、参加することをおすすめします。主催団体や種類は多岐に渡り、同じテーマのものでも年度によって内容が異なる場合もあるため、興味のある研修には積極的に申し込みましょう。

昇進に直接影響しない民間資格も、スキルアップやメンタル面のトレーニングなど仕事に役立つものが多く、一部は短い日程で取得できます。

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