保育士として働く際には、国家資格である保育士資格が必要です。また、保育士試験の受験資格には、一定の条件があります。
保育士について興味があっても、自分に保育士試験の受験資格があるか分からない人も多いのではないでしょうか。
当記事では、保育士試験の難易度を説明するとともに、受験資格を得る条件について詳しく解説します。また、実務経験を積む方法に関しても紹介するため、保育士試験について興味がある人はぜひ参考にしてください。
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目次
保育士試験とは?難易度はどれくらい?
保育士試験とは、国家資格である保育士資格を取得するための試験です。
保育士になるためには保育士資格が必要であり、保育士養成施設を卒業していない場合でも、国家試験を受けることで保育士資格を取得できます。
保育士試験は年2回、前期と後期に実施されます。筆記試験と実技試験が行われ、筆記試験全科目の合格者のみ、筆記試験の約2ヶ月後にある実技試験を受けることが可能です。なお、筆記試験は2日間にわたって行います。
以下は、保育士試験の試験内容です。
筆記試験9科目 | ・保育原理
・教育原理及び社会的養護 ・子ども家庭福祉 ・社会福祉 ・保育の心理学 ・子どもの保健 ・子どもの食と栄養 ・保育実習理論 |
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実技試験
(3分野の中から2分野を選択) |
・音楽に関する技術
・造形に関する技術 ・言語に関する技術 |
(出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「保育士試験とは」/ http://www.hoyokyo.or.jp/exam/about/ )
幼稚園教諭免許を所有している場合は、申請を行うことで、筆記試験科目の「保育の心理学」「教育原理」及び実技試験が免除となります。ただし「社会的養護」は受験の必要があるため、注意してください。
保育士試験の難易度はやや高い傾向にあり、合格率は20%前後です。令和元年度は受験者数77,076人に対し、合格者は18,330人となっており、合格率は約23.8%でした。
(出典:厚生労働省「保育士試験の実施状況(令和元年度)」/ https://www.mhlw.go.jp/content/000656128.pdf )
保育士試験の受験資格を得る条件
保育士試験の受験資格に年齢制限はありません。現在は保育士資格に関する通信講座も充実しているため、育児が落ち着いた主婦の人や、他業種から転職したい人でも、自宅で試験勉強に取り組むことができます。
なお、保育士試験の受験資格を得る条件は、最終学歴によって異なります。
以下では、保育士試験の受験資格を得る条件を最終学歴別に説明します。
4年制大学を卒業・在学中の場合
基本的に4年生大学を卒業していれば、保育士とは関係のない学部・学科であっても保育士試験の受験資格があります。
以下は、4年生大学を卒業した人・在学中の人の保育士試験の受験資格に関して示した表です。
4年生大学を卒業 | 受験資格あり |
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4年生大学に在学中 | ・2年以上在学している
・62単位以上修得している 以上2点の条件を満たす場合、受験資格あり ※中退の場合も上記を満たしていれば、受験資格あり |
ただし2年未満で中退した場合は受験資格がないため、高等学校卒業のケースを参考にしてください。
短期大学を卒業・在学中の場合
短期大学の場合も4年制大学と同様、保育士とは関係のない学部・学科でも保育士試験の受験資格があります。
以下は、短期大学を卒業した人・在学中の人の保育士試験の受験資格に関して示した表です。
短期大学を卒業 | 受験資格あり |
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短期大学に在学中 | 受験資格あり |
短期大学在学中の場合は、年度内に卒業見込みである場合のみ、保育士試験を受けることが可能です。年度中に卒業できなかった場合は、合格とならないため注意してください。
短期大学では、単位の修得条件などはなく「卒業すること」が条件となります。中退した場合は受験資格がないため、高等学校卒業のケースを参考にしてください。
また、短期大学に2年以上在学し、62単位以上修得して中退した場合は、保育士試験事務センターまで問い合わせが必要です。
専門学校を卒業・在学中の場合
専門学校の場合も、保育士とは関係のない学校・学部・学科であっても保育士試験の受験資格があります。ただし、修業年限2年以上の専門課程であることが条件です。
以下は、専門学校を卒業した人・在学中の人の保育士試験の受験資格に関して示した表です。
専門学校を卒業 | 受験資格あり |
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専門学校に在学中 | 受験資格あり |
在学中の場合は、年度内に卒業見込みであれば保育士試験を受けることが可能です。短期大学在学中の場合と同様、年度内に卒業できなかった際は合格となりません。
なお、2年以下の専門学校に卒業・在学している際は、最終学歴が高等学校卒業であるケースを参考にしてください。
高等学校を卒業している場合
高等学校を卒業しており、大学などに進学していない場合は、高等学校の卒業年月日・卒業学科により、保育士試験の受験資格に関する条件が異なります。
高等学校を卒業している場合の受験資格については、以下のとおりです。
1991年3月31日以前に高等学校を卒業 | 受験資格あり |
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1996年3月31日以前に保育科の高等学校を卒業 | 受験資格あり |
上記以外の場合 | 実務経験に関する条件を満たす必要がある |
1996年4月1日以降に高等学校を卒業した人は、保育士試験の受験資格がありません。受験資格を得るためには、実務経験の条件を満たすか、専門学校・短期大学などに進学する必要があります。
中学校を卒業している場合
中学校卒業のみでは、保育士試験の受験資格がありません。しかし、実務経験の条件を満たすことで、受験資格を得ることが可能です。
なお、必要な実務経験の内容は、高等学校を卒業している場合の条件とは異なるため注意してください。
上記以外や海外の学校を卒業した場合
学校教育法に基づく学校以外や、海外の学校を卒業した場合は、個別に受験資格の審査が必要となるため、保育士試験事務センターまで問い合わせが必要です。
また、通信課程の大学・短大を卒業・在学中の場合は、学校教育法に基づいた「大学通信教育設置基準」を満たす通信課程であれば、通学課程の受験資格と同様の条件が適用されます。
高卒・中卒の受験資格で必要な実務経験とは?
高卒・中卒の場合でも、児童福祉施設での実務経験を積み「児童福祉施設勤務証明書」を提出することで、保育士試験の受験資格を得ることができます。
児童福祉施設での実務経験期間は最終学歴により異なるため、以下を参考にしてください。
高等学校を卒業 | 2年以上かつ2,880時間以上の勤務経験 |
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中学校を卒業 | 5年以上かつ7,200時間以上の勤務経験 |
なお、受験資格に該当する児童福祉施設は「児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設」で定められた施設となります。
具体的な対象施設は、以下を参考にしてください。
受験資格に該当する施設 | 受験資格認定基準に該当する施設・事業 |
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・保育所(利用定員20名以上)
・保育所型認定こども園 ・幼保連携型認定こども園 ・児童厚生施設(児童館) ・児童養護施設 ・助産施設 ・乳児院 ・母子生活支援施設 ・障害児入所施設 ・児童発達支援センター ・児童心理治療施設 ・児童自立支援施設 ・児童家庭支援センター |
・ 認可外保育施設
(認証保育園、認定保育園 等を含む) ・ 小規模保育事業(小規模認可保育所 等) ・ 幼稚園型認定こども園 ・ 地域裁量型認定こども園 ・ 幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む) ・ 家庭的保育事業(保育ママ 等) ・ 居宅訪問型保育事業 ・ 事業所内保育事業 ・ 放課後児童健全育成事業 (学童クラブ・放課後児童クラブ・学童保育 等) ・ 一時預かり事業 ・ へき地保育(特例保育) ・ 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム) ・ 障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く) ・ 一時保護施設 その他にも ・ 放課後等デイサービス(児童デイサービス) ・ 院内保育 ・ 企業主導型保育事業 等 |
(引用:一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ」/ https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/work.html )
受験資格認定基準に該当する施設で勤務している場合、各都道府県で申請を行い「受験資格認定証」の交付を受けることで、保育士試験の受験資格を得ることができます。
受験資格条件の実務経験を積む方
保育士試験の受験資格の条件である実務経験を積むためには、保育施設などで働く必要があります。
保育士の業務をサポートする「保育補助」であれば、無資格でも保育施設で勤務することが可能です。
また、保育補助を募集する職場の中には、資格取得を支援している事業所も少なくありません。資格取得に向けて研修を開催したり、保育士試験に必要な受験費用を一部負担してくれたりする職場もあるため、保育士試験を視野に入れている人には魅力的な環境です。
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まとめ
保育士試験の難易度はやや高く、合格率は平均して約20%です。試験は年2回実施され、筆記試験と実技試験の対策が必要となります。
また、保育士試験の受験に際して年齢制限はなく、受験資格は最終学歴により異なります。高卒・中卒の場合でも、実務経験を積むことで受験資格を得ることが可能です。
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