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幅広い年齢の子どもを預かる保育園では、子どもの月齢・年齢・発達の度合いに合わせて、どのくらいのお昼寝が必要かを判断しなければなりません。

一般的に幼い子どもほどたくさんの睡眠時間が必要で、年齢が上がるほどお昼寝をあまり必要としなくなります。ただし個人差があるため、子どもたちの様子を見ながら臨機応変に判断することが大切です。

今回は、子どものお昼寝に理想的な睡眠時間を年齢別に解説します。子どもを寝かしつけるコツや注意すべき点も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

お昼寝(午睡)の重要性とは?

多くの保育園では、昼食後にお昼寝(午睡)の時間を設けています。

お昼寝の必要性に関してはさまざまな議論がなされているものの、子どもの成長という観点においては重要な時間です。子どもの脳・心身の健やかな発達に欠かせない成長ホルモンは、睡眠中に最も多く分泌されます。

またお昼寝には、保育園で長時間過ごす子どもの脳や身体を休ませ、記憶を整理したりリラックスさせたりする目的もあります。

厚生労働省の資料には、以下のようにお昼寝の重要性が記載されています。

午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。

(引用:厚生労働省「保育所保育指針」/ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000160000.pdf

お昼寝は、子どもの生活リズムを整える上でも大きな役割を果たしています。お昼寝でリフレッシュした子どもが元気いっぱいに午後を過ごすことで、夜もスムーズに入眠できます。

【年齢別】お昼寝の理想的な睡眠時間

子どもを寝かしつける保育士

お昼寝の適切な睡眠時間は、子どもの年齢によって異なります。基本的に幼い子どもほど長時間のお昼寝が必要であり、成長するにしたがってお昼寝の時間は徐々に短くなります。

また近年では、遅寝早起きの保護者が増えている傾向にあり、それに伴って子どもも睡眠不足に陥りやすくなっているため、注意が必要です。

ここでは、子どもの理想的なお昼寝の睡眠時間について、年齢別に紹介します。

【0歳児】2~4時間

0歳児にとって理想的な睡眠時間は2~4時間程度です。ただし、0歳児の場合は子どもの月齢によって必要な睡眠時間が異なります。そのため、子どもそれぞれの発達度合いに応じてお昼寝の時間を設定しましょう。

一般的に生後6か月程度は一日の大半を寝て過ごします。数時間ごとに目覚めてミルクを飲み、眠ってはまた起きてミルクを飲むというサイクルです。

6か月以降になると、生活時間が昼夜で分けられるようになります。登園時間によって睡眠時間は異なるものの、午前中に1時間、午後に2時間程度を目安として睡眠時間を設けるとよいでしょう。

午前中も活発に生活できるようになれば、午後のみのお昼寝にシフトしてください。

【1~2歳児】1~3時間

1~2歳児にとって理想的な睡眠時間は1~3時間程度です。1~2歳児の場合、0歳児ほどの睡眠時間は必要としません。ただし、子どもの発達度合いや家庭の生活習慣によって、お昼寝の時間を調整する必要があります。

保育時間が長かったり、昼食中に眠たげな様子を見せたりする場合は、睡眠時間を長めに確保しましょう。また、夜の入眠がスムーズにいかない子どもは睡眠時間を短めにするなど、子どもの様子を見ながら個別に対応します。

【3歳児】1時間

3歳児になるとお昼寝を必要としない子どもが増える傾向です。横になっても眠れない・布団に入りたがらない子どもも出てきます。一方で、子どもが夕方頃にうとうとして夕食・入浴に支障をきたしたり、本人が眠りたがったりする場合は1時間程度のお昼寝をすることが理想的です。

ただし、お昼寝を嫌がる子どもを無理に寝かしつける必要はありません。横になるだけにしたり、お昼寝の時間自体を取らなかったりする保育園もあります。

【4~5歳児】個別の対応が必要

4~5歳児になるとお昼寝を必要としない子どもがほとんどであり、お昼寝の時間自体を設けていない保育園も多くあります。お昼寝中の子どもを邪魔しないように、ひらがなの練習や絵本の読み聞かせ、折り紙などの静かな遊びを選ぶことがポイントです。

ただし、4~5歳児でも子どもによってはお昼寝を必要とします。また、午前中に激しく活動した場合などは、普段お昼寝をしない子どもでも眠りたがるケースがあります。子どもの様子を見ながら、日別・個別に対応することが大切です。

保育士必見!お昼寝の時間に子どもを寝かしつけるコツ

お昼寝の時間になったからといって、すべての子どもがすんなりと眠ってくれるわけではありません。保育士の中には、寝かしつけようとしてもなかなか寝てくれない子ども、ぐずってしまう子どもの対応に悩む人もいるでしょう。

ここでは、子どもを上手に寝かしつけるコツを解説します。

やさしくボディタッチをする

下記のような方法で、子どもの体にやさしく触れて温もりとリズムを与え、安心させてあげることで眠気を誘いましょう。

・子どもの呼吸に合わせて背中をトントンする
・手や足をやさしく握る
・手や足を軽くさする
・頭を撫でる
・額から眉間にかけてそっと撫でる
・眉間に円を描くように撫でる

添い寝をしながら、大人の心音に合わせて行うとより効果的です。子どもが、嫌がったりむずかったりした場合は、別の場所をタッチしましょう。

寝やすい環境を整える

保育園に入って日が浅い子どもは新しい環境に慣れておらず、ゆっくりと眠れるほど安心できていないケースがあります。下記のように子どもが安心しやすい、眠りやすい環境を整えることが大切です。

・寝やすい衣服を用意する
・オルゴールや音楽を流す
・暗闇を嫌がる子どもには小さなランプなどを用意する
・家で使っているタオルや毛布を持ってきてもらう

子どもは暑がりであることが多く、寒いと感じる場合でも、服やタオルを増やすと寝苦しくなることがあります。大人よりも1枚少ないくらいがちょうどよいでしょう。

また、オルゴールや音楽はスローテンポで全体的に高音域の音楽がおすすめです。お昼寝の度に同じ音楽を流すことも条件づけとして効果的と言えます。

抱っこをしてあげる

泣いたりぐずったりする子どもに対しては、抱っこをしましょう。多くの子どもは、保育士の体温や呼吸を感じることにより、安心して眠りにつくことができます。抱っこすると同時に下記の動作も行うとより効果的です。

・目を合わせる
・背中をトントンする
・ゆっくりと揺らす
・やさしく語り掛ける
・子守唄を歌う

布団に寝かし移した際に起きてしまう子どもが中に入るため、抱っこするときはおくるみやタオルも一緒に利用することがおすすめです。

お昼寝の際の注意点2つ

お昼寝を行う際、保育士は以下の2点に注意しましょう。

〇うつぶせで寝ていないかどうか
幼い子どものうつぶせ寝は、危険性が非常に高い姿勢です。

うつぶせで寝かせることによって、寝具による窒息事故や乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こす恐れがあります。SIDSの明確な原因の解明には至っていないものの、仰向けよりもうつぶせで寝ている子どもの発生率が高いとされている病気です。

子どもの体勢は定期的チェックを欠かさず行い、うつぶせで寝ている場合は仰向けに返すことが必要です。特に自力で寝返りを打ちにくい低年齢の子どもには、十分に注意しましょう。

(出典:厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」/ https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

〇事故を防ぐマニュアルは作成されているか
保育園は、子どもの事故を未然に防がねばなりません。

子どもが昼寝をする部屋の大きさ・子どもの人数・保育士の人数に合わせて、保育園独自の事故防止マニュアルを作成しましょう。子どもの睡眠時間や寝ていた向き、健康状態などをチェックシートに記録することで、引継ぎや管理も行いやすくなります。

保育園でのお昼寝状況を保護者にしっかりと伝え、安心して子どもを任せられるような体制を築きましょう。

まとめ

子どもの健やかな成長にとって、お昼寝は重要です。

子どもによってお昼寝の要不要・適切な睡眠時間は異なります。子どもの様子を見ながら個別に判断することが大切です。寝つかない子や泣いてしまう子には、抱っこしたり自分も一緒に横になってボディタッチしたりして、子どもに安心感を与え入眠をサポートしましょう。

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