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神奈川県は首都圏の一角を成す県です。商工業などの経済活動が盛んである一方、山や海などの自然にも恵まれており、多彩な魅力を持っています。

東京都に隣接する神奈川県の家賃相場は、全都道府県のなかでもトップクラスに入る高さのため、経済的な負担を感じる保育士も多くいます。しかし、神奈川県が実施している住居関連の補助や手当を利用すれば、負担を軽減することはできます。

そこで今回は、神奈川県における「家賃補助・社宅制度・住宅手当」の保育士求人状況や支援策、市区町村別の家賃相場について詳しく解説します。

神奈川県における「家賃補助・社宅制度・住宅手当」の保育士求人状況

まずは、神奈川県における「家賃補助・社宅制度・住宅手当あり」の保育士求人状況について解説します。

下記は、神奈川県における保育士の求人数です。全求人数はマイナビ保育士に掲載している求人数をもとに算出した件数、「家賃補助・社宅制度・住宅手当あり」の求人数は、各制度・待遇をフリーワード検索して絞り込んだ件数です。

神奈川県における保育士の求人状況
全求人数 2,500件
「家賃補助・社宅制度・住宅手当あり」の求人数 約1,962件

(出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/

神奈川県の「家賃補助・社宅制度・住宅手当あり」の保育士求人数は2,000件近くに及んでおり、全求人数の約8割を占めています。神奈川県で就職・転職活動をしている保育士にとっては、住居に関して有利な条件が整っていると言えるでしょう。

神奈川県における「家賃補助あり」「社宅制度あり」「住宅手当あり」の保育士求人の特徴は、以下のとおりです。

●神奈川県における「家賃補助あり」の保育士求人の特徴
「家賃補助あり」の求人は、住居関連の福利厚生のなかでは「社宅制度あり」に次いで多い件数です。「家賃補助あり」の求人を市区町村別でみると、横浜市が半数以上を占めています。また、求人の約8割は正社員の募集です。

家賃補助の金額は一律ではありません。しかし、後述する「保育士宿舎借り上げ支援事業」を通じて6万円程度を補助する保育施設も多数です。求人によっては7万円以上の補助もあるため、補助の金額に注目して求人検索することをおすすめします。

●神奈川県における「社宅制度あり」の保育士求人の特徴
住居関連の福利厚生のなかで、「社宅制度あり」の求人は最も多い件数です。市区町村別では「家賃補助あり」と同じく、横浜市の求人が半数以上を占め、以下に川崎市・相模原市・藤沢市が続いています。雇用形態については、約8割が正社員を募集しています。

年収200万~250万円を提示する求人に、社宅制度が含まれていることが多い傾向です。家賃補助や社宅制度があれば、収入が低い人も住居費用における自己負担額を軽減できるでしょう。

●神奈川県における「住宅手当あり」の保育士求人の特徴
神奈川県では、「住宅手当あり」の求人はやや少ない傾向にあります。横浜市内にある保育施設からの求人が大半で、いずれも正社員の募集です。

住宅手当を利用する際の自己負担額は、求人や物件によって異なります。例えば、月収額が約20万~27万円の場合、自己負担額は2,500~15,000円です。

【保育士向け】神奈川県が実施する家賃補助・社宅制度の支援策

横浜中華街

神奈川県や県内の市区町村は現在、保育士向けに複数の家賃補助・社宅制度の支援策を実施しています。事業によって対象者や内容は大きく異なりますが、保育士にとってはメリットの多い支援策ばかりです。

ここでは、「保育士宿舎借り上げ支援事業」と「保育士就職準備金」の2つを取り上げ、それぞれの詳細を解説します。

保育士宿舎借り上げ支援事業

保育士宿舎借り上げ支援事業とは、国・自治体が保育園に対して、保育士の住宅費用を補助する事業のことです。神奈川県では、横浜市を含むさまざまな市区町村を対象に、保育士宿舎借り上げ支援事業を実施しています。

なお、ここで取り上げる保育士宿舎借り上げ支援事業は、横浜市内の保育所に特化した事業です。

対象者 (1)認可保育所・認定こども園・認可保育所などへの移行予定があり、「移行計画書」を提出した横浜保育室・小規模保育事業
(2)雇用開始日の会計年度から起算して10年目までの保育士で、住宅手当を受給していない

(1)のいずれかを経営する事業者で、(2)に該当する常勤保育士が入居する場合
対象経費 宿舎借り上げにかかる経費のうち、賃借料・共益費
(礼金・更新料・敷金は対象外)
助成金 宿舎1戸につき、月額8.2万円の3分の4(6.1万円)以内

(出典:横浜市「保育士宿舎借り上げ支援事業【令和2年度申請分】」/ https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/hoiku-yoji/taiki/r2_shukusha.html

横浜市への助成申請は、保育士の勤務先となる事業者が行います。ただし、横浜市が保育士の住民票情報を調査することに対する「同意及び確認欄」に、保育士本人が署名捺印しなければなりません。また、保育士証のコピーを添付することも求められています。

本事業は、保育士に対する直接の支援策ではありません。しかし、事業者への支援を介して、保育士は住居費用の自己負担額を軽減することが可能です。保育士として就職・転職する際は、勤務先となる事業者が本事業を利用しているかどうかを、事前に確認することをおすすめします。

なお、上記の情報は令和3年3月31日を期限とした応募要項です。4月以降は内容が変更される可能性があるため、注意してください。

保育士就職準備金

保育士就職準備金は、潜在保育士などを対象とした支援策です。保育士登録をしていながら現在は勤務していない潜在保育士が就職しやすい環境を整えることを目的としています。

対象者 (1)保育士養成施設の卒業後1年以上経過し、保育登録している、または保育士試験の合格後に保育士登録をしている
(2)保育所または幼保連携型認定こども園・小規模保育事業・幼稚園などを離職した、または勤務経験がない
(3)かながわ保育士・保育所支援センターに求職登録し、神奈川県内の保育施設での勤務が決まっている
(4)保育所・「認定こども園」へ移行予定の施設・小規模保育園・事業内保育事業などへの就職が決まっており、
2年以上継続して勤務できる

(1)~(4)のすべての条件を満たし、週20時間以上勤務する人
貸付金 20万円(1人1回限り)
貸付利子 無利子

(出典:社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会「保育士就職準備金」/ http://www.knsyk.jp/s/jinzaicenter/jinzai_kashituke_06_shikin.html

保育士就職準備金の申請は、保育士本人が行います。所定の申請書のほか、内定書(就労開始日の記載がある書類)・本人と連帯保証人の住民票・保育士証のコピー・個人情報の取り扱いに関する同意書の提出も必要です。

本事業は家賃補助・社宅制度ではありません。しかし、保育士就職準備金は就職を機に転居する場合の引っ越し費用・礼金・仲介手数料として利用することが可能です。

なお、保育施設で2年間継続して勤務した保育士は、貸付金の返還が全額免除となります。

【市区町村別】神奈川県の保育士求人状況と家賃相場

ここからは、神奈川県の保育士求人状況と家賃相場を紹介します。

下記は、神奈川県内で求人数が多い5つの市区における、1K/1DKの家賃相場と保育士求人数をまとめた表です。家賃相場は不動産サイト・住宅サイトを参考に、保育士求人数はマイナビ保育士に掲載している求人数をもとに作成しています。

1K/1DKの家賃相場 保育士求人数(※)
川崎市 約5.6万~7.9万円 545件
相模原市 約5万~8.3万円 133件
横浜市鶴見区 約4万~7.5万円 133件
横浜市神奈川区 約7.1万~8.6万円 116件
藤沢市 約6.6万~7.8万円 92件

(※出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/

川崎市における保育士求人数は565件と突出して多い一方で、家賃相場はほかの市区とほぼ同じ価格帯となっています。

川崎市では近年、就学前児童の増加が顕著です。自身の子どもを保育施設に預けて働く親が増えているうえ、大規模集合住宅の開発によって転入者が増えていることも背景にあります。川崎市は保育施設や定員数を増強しており、保育士の需要もひときわ高い状況です。

保育士求人数が2番目に多い相模原市は、令和2年10月時点で待機児童数は43人、希望する保育所の利用を保留中の児童数は908人と多く、保育士の人材確保などに積極的に取り組んでいます。保育士求人数の多さは、相模原市による取り組みの現れでしょう。

(出典:相模原市「令和2年10月1日現在の保育所等待機児童数について」/ https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/kosodate/hoikuen/1018258.html

また、相模原市には公園が多く自然に恵まれている一方で、都心へのアクセスに優れたエリアでもあるため、家賃相場の上限はやや高めです。

家賃相場が最も高い横浜市神奈川区は、横浜市のほぼ中央に位置し、商工業が発達した地で交通の便も良いため、ほかの市区よりも高い家賃相場となっています。川崎市ほどではないものの、保育士求人数も100件を超える多さです。

まとめ

神奈川県における保育士求人数の約8割が、住居関連の補助や手当を福利厚生に含んでいます。補助や手当のなかで最も多い福利厚生は「社宅制度あり」です。また、年収200万~250万円の求人に補助や手当が含まれていることが多い傾向にあります。

保育士求人数が多い川崎市や横浜市などにおける1Kや1DKの家賃相場は、約5万~8万円です。神奈川県や県内の市区町村が実施している家賃補助や社宅制度を利用すると、家賃などの自己負担額を大幅に減額できます。

経済的な負担を軽減したい場合は、就職・転職活動する際に希望する勤務先における補助や手当の有無、公的機関の支援策への申請可否などを事前に確認しましょう。

※当記事は2021年3月現在の情報を基に作成しています