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長野県は本州のほぼ中央に位置する自然に恵まれた県で、約200万人が暮らしています。15歳以上の県民や女性、65歳以上の就業率は全国でもトップクラスを誇るなど、就業者にとっても魅力的な県です。

長野県は保育事業の向上にも積極的で、「長野県子ども・子育て支援事業計画」に沿って保育施設の充実や保育士の確保・資質向上などに取り組んでいます。そのため、将来的な保育士の待遇改善も期待できるでしょう。

そこで今回は、長野県における保育士の給料相場をはじめ、給料の高い市区町村や保育士支援事業などについて詳しく解説します。

【長野県】保育士の給料相場|全国平均との比較

まずは、長野県における保育士の給料相場を解説します。下記は、厚生労働省のデータを基に全国と長野県の「平均年収」「平均月収」「手当・賞与」をまとめた表です。

平均年収 平均月収
(賞与含めず)
手当・賞与
全国 約374万円 約25.0万円 約74.7万円
長野県 約345万円 約23万円 約65万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

長野県の平均月収は全国よりもやや低く、平均年収も約30万円低い金額です。ただし、表中の数字はあくまでも相場であり、運営形態・雇用形態・職種・資格免許の有無・仕事内容・エリアといった条件によって給料は変動します。

実際、長野県の手当・賞与は全国を大きく上回っています。資格の有無や福利厚生の充実度などによって、さらなる収入を見込めるでしょう。

長野県の場合、東京都や大阪府などの大都市と比較すると、家賃などの生活費は低い傾向にあります。したがって、平均年収は全国よりも低いものの、大都市の保育士よりも経済的に余裕を持って生活することは充分に可能です。

また、長野県は公立保育園が充実していることも注目ポイントです。公立保育園に勤務する保育士は地方公務員であり、景気の影響を受けにくい安定した立場に置かれています。加えて、手当・賞与や定期昇給なども保証されている点も公立保育園ならではのメリットです。

給料相場が全国よりも低いことは、長野県の保育士にとってデメリットではありません。職場環境に恵まれた地方都市での勤務を希望している人には、長野県は魅力的なエリアと言えるでしょう。

長野県内で違いはある?保育士の給料が高い市区町村はどこ?

市区町村によって、保育士の給料は大きく異なります。ここでは、長野県内でも保育士の給料が高い市区町村について解説します。

下記は、長野県内でも保育士の給料が高い市区町村の「年収」「月収」をまとめた表です。なお、表中の金額は、求人サイト「マイナビ保育士」の情報を基に算出しています。

長野市 塩尻市 松本市 須坂市
年収 約300万~
370万円
約260万~
310万円
約280万~
350万円
約250万~
290万円
月収
(※)
約20万~23万円 約17万~20万円 約18万~22万円 約16万~18万円

(※)手当・賞与分を含めていません


長野県内で最も給料が高い市区町村は、平均年収が約300万~370万円の長野市です。上限額は全国の平均年収である363万円を上回っています。したがって、長野市は全国並みに稼げる可能性が大いにあります。

2番目に給料が高い松本市では、平均年収や平均月収の上限は長野県の平均年収とほぼ同額です。

長野市は県庁所在地であり、松本市は長野市に次ぐ長野県の主要都市であるため、両市が上位を占めていると考えられます。


エリアにより給料に差が出る理由

前述のとおり、長野県内でも市区町村やエリアによって保育士の給料に差が出ます。

市区町村の規模や人口の多さは、しばしば給料にも反映するため、長野県の主要都市である長野市と松本市の給料も高めです。しかし、市区町村によって給料に差が出る理由はほかにもあります。

長野県で平均給料が2番目に高い松本市の場合を例にとってみましょう。令和2年10月1日の時点で、待機児童数は4月1日時点の33人から44人に増えています。また、特定の保育施設を希望するなどの理由から待機している潜在的待機児童数は166人です。

(出典:松本市「保育所等利用待機児童数調査の結果について」/ http://www.city.matsumoto.nagano.jp/shisei/sityo/kaiken/r2/20201210.files/202012103.pdf

松本市は現在、保育士を確保したり、保育施設の定員数を増加したりするなどして待機児童数の解消に努めています。待機児童数に対する取り組みは保育士の需要を高め、結果として保育士の給料を上げることにもつながるでしょう。

また、エリアの物価も給料に影響を及ぼします。東京都のような大都市では給料も物価も高くなることが一般的で、地方都市でも給料が高いエリアでは総じて物価も高くなりがちです。

長野県で実施!保育士に対する「支援・補助制度」とは

長野県オアシス

ここからは、長野県が実施している保育士関連の「支援・補助制度」から3つの事業を取り上げます。いずれも金銭面における支援を行う事業です。

事業の対象者は、乳幼児を抱える潜在保育士や保育士養成施設に通う学生などで、再就職や修学・就業に必要となる資金や資金の一部を貸し付けします。一定期間を継続して勤務した人に対しては返済が全額免除されるため、経済的には大きなメリットです。

それぞれの貸付事業には予算枠が設けられているため、予算がなくなり次第、申請期間終了前に募集を打ち切る可能性があります。早めに書類などの準備をして応募申請することを心がけてください。


保育士修学資金貸付事業

保育士修学資金貸付事業は、将来保育士を目指す学生を対象に、入学準備金・学費・就業準備金などを貸し付ける事業です。生活保護受給世帯に対しては、状況に応じて生活費加算も受け付けています。

保育士修学資金の貸付は、無利子です。また、卒業後に保育士などとして長野県内で5年間継続して勤務した人に対しては、返済が全額免除されます。

貸付対象者 次に掲げるいずれかの要件を満たす方

〇長野県内の養成施設に在学する学生であって、卒業後県内で児童の保護等の業務に従事しようとする方
〇長野県外の養成施設に在学する学生のうち、養成施設の学生となった年度の前年度に県内に住民登録をしていた方等で、卒業後県内で児童の保護等の業務に従事しようとする方
貸付額及び貸付期間 月額
自宅生  20,000円以内
自宅外生 30,000円以内

入学準備金:100,000円以内(初回に限る。)
就職準備金:100,000円以内(最終回に限る。)
生活費加算:生活保護受給世帯等のみ規定の金額以内
貸付期間:養成施設に在学している間(2年以内)
返還免除 ①養成施設を卒業の日から1年以内に、
②保育士の登録をし、
③長野県内において、
④児童の保護等の業務(※)に従事し、
⑤以後5年間引続き当該業務に従事した場合

※「児童の保護等の業務」は、4ページから6ページに記載した業務です。
①~⑤を全て満たした場合、貸付を受けた全額が返還免除されます。ただし、上記条件を満たさない方は返還が必要となります。

(引用:社会福祉法人 長野県社会福祉事業団「令和3年度保育士修学資金貸付等 事業のご案内」/ http://park19.wakwak.com/~nagano-shafuku-j/pdf/2.hoiku/hoiku_R3/hoiku_R3_2.goannai.pdf/引用日2022/03/10)

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業は、自身の出産や育児などでブランクがある潜在保育士を対象とした事業です。就職するにあたって自身の子どもを保育施設に預ける場合、必要となる保育料の半額までが貸し付けされます。

未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部の貸し付けは、無利子です。また、2年間継続して勤務した人に対しては、返済の全額免除が認められています。

貸付対象者 次に掲げるいずれかの要件を満たす方

〇未就学児を持つ保育士であって、長野県内の保育所等に新たに従事する方で長野県保育士人材バンクに求職登録を行い、保育士として週20時間以上の勤務をしようとする方
〇未就学児を持つ保育士であって、長野県内の保育所等に雇用され産後休暇または育児休業から復帰する方で、保育士として週20時間以上の勤務をしようとする方
貸付額 月額27,000円以内(未就学児の保育料の半額)
貸付期間 保育所等に勤務を開始した日から起算して1年以内
返還免除 ①保育所等に就職または復帰した日から、
②長野県内において、
③児童の保護等の業務に従事し、
④以後2年間引続き当該業務に従事した場合

①~④を全て満たした場合、貸付を受けた全額が返還免除されます。 ただし、上記条件を満たさない方は返還となります。

(引用:社会福祉法人 長野県社会福祉事業団「令和3年度保育士修学資金貸付等 事業のご案内」/http://park19.wakwak.com/~nagano-shafuku-j/pdf/2.hoiku/hoiku_R3/hoiku_R3_2.goannai.pdf/引用日2022/03/10)

就職準備金貸付事業

就職準備金貸付事業は、新たに保育士として勤務し始める人や潜在保育士を対象とした事業です。ただし、「保育士修学資金貸付事業」で就職準備金の加算を受けた人は除外されます。

就職準備金の貸付は、無利子です。2年間勤務を継続した人に対しては、返済が全額免除されます。

対象者 次に掲げる全ての要件を満たす方であって、長野県内の保育所等に保育士として新たに週20時間以上勤務しようとする方
〇保育所等を離職した方または保育所等に勤務経験のない方
〇長野県保育士人材バンクに求職登録を行っている方
※ただし、保育士修学資金の就職準備金の貸付を受けた方は対象外となります。
貸付額 400,000円以内
貸付回数 1人あたり1回限り
返還免除 ①保育所等に就職した日から、
②長野県内において、
③児童の保護等の業務に従事し、
④以後2年間引続き当該業務に従事した場合

①~④を全て満たした場合、貸付を受けた全額が返還免除されます。ただし、上記条件を満たさない方は返還となります。

(引用:社会福祉法人 長野県社会福祉事業団「令和3年度保育士修学資金貸付等 事業のご案内」/http://park19.wakwak.com/~nagano-shafuku-j/pdf/2.hoiku/hoiku_R3/hoiku_R3_2.goannai.pdf/引用日2022/03/10)

まとめ

長野県では、取得している資格や福利厚生などに応じて、より多くの給料を稼ぐことが可能です。さらに、長野県による貸付事業も経済的な支援となります。

また、市区町村やエリアにおける待機児童数の多さ、物価の高さが給料を左右するため、長野県の平均年収は県内一律ではありません。給料の高い市区町村は、長野市や松本市です。

長野県で就職・転職活動をしている人は、手厚い転職サポートを行うマイナビ保育士で、ぜひ最適な就職先を見つけてください。

※当記事は2022年3月現在の情報を基に作成しています

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