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保育園では、さまざまな年間行事が行われます。子どもと保育士だけで行うイベントから、保護者にも参加してもらうイベント、地域の人たちの助力を得て行うイベントなど、イベントの種類や催し方も多種多様です。

毎月複数回行われるイベントの計画・製作・準備・実行は保育士の大切な仕事のひとつとなります。各行事の狙いをきちんと理解して行うことで、より有意義なイベントとして成功させることができるでしょう。今回は、保育園の年間行事を行う目的と各イベントの狙い・準備事項について解説します。

【一覧】保育所の年間行事

保育園で行われる年間行事にはそれぞれ狙いがあり、その狙いに沿って行事を運営することが大切です。下記は、保育園で行われる主な年間行事のスケジュールとなります。

4月 入学式
進級式
健康診断
誕生日会
5月 子どもの日
母の日
春の遠足
誕生日会
6月 保育参観
父の日
虫歯予防デー
誕生日会
7月 七夕
プール開き
お泊まり保育
誕生日会
8月 夏祭り
プール遊び
夏休み
誕生日会
9月 敬老の日
お月見会
秋の遠足
誕生日会
10月 運動会
ハロウィン
芋掘り大会
誕生日会
11月 発表会
七五三
誕生日会
12月 クリスマス会
誕生日会
1月 お正月遊び
餅つき大会
誕生日会
2月 節分(豆まき)
お遊戯会(生活発表会)
誕生日会
3月 ひな祭り
お別れ遠足
お別れ会
卒園式
修了式
誕生日会

以上が大まかな1年間のスケジュールです。基本的に、子どもの誕生日会はどこの保育園でも月ごとに行われます。

保育所で年間行事を行う目的・意味

保育所で行われる年間行事は、子どもの健やかな成長を促すことが目的です。子どもは大人の行動を観察し、その中で学んだことを自分の生活に取り入れながら成長します。そのため、保育士と一緒に行う季節ごとのさまざまな行事は、子どもが知らなかった伝統を知り、新しい文化に触れる貴重な機会と言えるでしょう。

また、年間行事を行う中で子どもは季節を知ることができます。行事ごとの室内飾りの彩りや、伝統の食べ物の味・食感、園庭での行事活動を通して感じる暑さ・寒さなどは子どもの五感を刺激し、さまざまな物事に興味を示す好奇心を育みます。また、地域の人や子ども同士で交流できる園行事は、子どもが家庭以外の社会を意識するきっかけにもなります。

(出典:厚生労働省「保育所保育指針解説」/ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000202211.pdf

保育所の年間行事|各イベントの狙い・準備事項も

保育所で年間行事を行う際は、各イベントの狙いを明確にしてから具体的な企画を考えるとよいでしょう。子どもたちだけでなく、保護者の楽しみも考慮すると一味違ったアイデアが浮かぶかもしれません。職員間の相談を含めて事前の準備期間を十分に確保し、余裕を持ったスケジュールで行事計画を進めましょう。ここからは、季節ごとで行われる主な行事の狙いや、準備事項を紹介します。

春(4月~5月)の主な行事

春に行われる行事では、子どもや保護者が新しい出会いに慣れ、相手と交流を深められるイベントが多くなります。

入園式
入園式の狙いは、新しい環境に不安を抱く親子の緊張をほぐし、保育園での生活に期待感を抱かせて登園に対する抵抗感を減らすことです。暖かく和やかな雰囲気で新入園児と保護者を歓迎し安心させましょう。
進級式
進級式の狙いは、日頃顔を合わせない他クラスの子どもや、新しい保育士との交流を深めることです。保育園によっては、学年が上がった子どもの成長を祝う進級式が行われます。子どもの年齢によって式の構成は異なるものの、基本的に保護者は参加しません。
春の遠足
春に行われる遠足の狙いは、保育士や友達との親睦を深めることです。過ごしやすい気候の中で自然と触れ合い、のびのびと身体を動かして遊びながらも集団行動におけるルールやマナーを身につけられるよい機会となります。保護者も参加する親子遠足の場合は、保護者同士の交流も後押ししましょう。遠足先の下見やルート確認の際は、余裕を持ったスケジュール調整が必須です。
子どもの日
子どもの日の狙いは、成長する喜びを伝えることです。子どもが日々成長を見守ってくれる人に簡単な言葉で感謝するきっかけを作ります。柏餅を食べる、鯉のぼりを飾るなどして季節感を演出しましょう。
母の日
母の日の狙いは、母親へ感謝の気持ちを伝えることです。絵本などを利用して子どもが日頃の感謝をあらためて感じる機会を作った後、プレゼントの製作に取り組む流れが一般的です。母親はプレゼントを通して子どもの成長を感じることができます。

夏(6月~8月)の主な行事

とんどの保育園は、幼稚園などとは異なり夏休みを設けていません。一般的な夏休みの時期は、保育園と地域の合同イベントとして行われる行事も多い傾向です。

父の日
父の日の狙いは、父親へ感謝の気持ちを伝えることです。一般的に父親は母親よりも子育てに参加できる時間が少ないため、子どもにとって父の日は父親に感謝を伝える貴重な機会となります。母の日と同様に、絵本などを利用して家族の大切さ・父親への感謝を再確認した後、プレゼントやメッセージカードの製作に取り組むとよいでしょう。
保育参観
保育参観の狙いは、子どもの保育所での過ごし方・保育士との関わり方を保護者に知ってもらうことです。連絡帳などでは伝わらない普段の様子を目にすることで、保護者は子どもの成長を知り、安心感を得ることができます。参観日には見学だけでなく、保護者参加のプログラムを用意しておくこともおすすめです。保育参観は保護者同士の情報交換の場にもなり、子育ての悩みなどを相談できるコミュニティを築くきっかけを与えます。
七夕
七夕の狙いは、日本の伝統行事に触れて興味を持ってもらうことです。七夕の由来を歌や絵本で教える場合や子どもと一緒に七夕飾りを作る場合は、スムーズに進められるよう事前に練習します。本物の笹を使う場合は入手先を確保しておきましょう。
プール開き
プール開きの狙いは、夏ならではの遊びを楽しむことと、そのための安全祈願・ルールを守る大切さを学ぶことです。多くの保育所では、季節の始めにプール遊びの安全を祈願して水の神様に祈りを捧げる儀式を行います。その後、水遊びに潜む危険について子どもたちに説明をし、ルールを守ることの大切さを伝えます。水にまつわる劇などで期待感を高め、水遊びが苦手な子どもも興味を持てるような導入を考えましょう。
夏祭り
夏祭りの狙いは、日本や地域の伝統行事や文化を伝え、親しみを持ってもらうことです。園庭だけで小規模に行う場合と、地域と協力して縁日として行われる場合があります。保護者同士や園外の人とも交流できる機会ではあるものの、縁日や出店などの手伝いで保護者に負担をかけすぎないように注意しなければなりません。
プール遊び
プール遊びの狙いは、水に慣れること・水遊びを楽しむことです。子どもの年齢に応じて段階的に遊びの内容を変える必要があります。2・3歳児は水に慣れて感触を楽しむことから始めます。4・5歳児はプールならではの遊びを楽しむことで、水中での体の動かし方を体感できるようにします。水に対する興味・恐怖心は子どもによって違うため、水が苦手な子どもも楽しめる簡単な遊びを考えて取り入れましょう。
お泊まり保育
お泊まり保育の狙いは、保護者と離れた状態でいつもより長時間過ごすことによって、自立心と協調性を学ばせることです。普段と異なる環境に大はしゃぎする子どもがいる一方で、さみしさから泣き出してしまう子どももいます。ストレスから体調を崩してしまう場合もあるため、細かな様子の差も見逃さないようにしましょう。

秋(9月~11月)の主な行事

秋は、保育園の環境に慣れた子どもたちが、一度に多くの相手と交流したり子ども同士で協力したりする行事が開かれます。

敬老の日
敬老の日の狙いは、子どもと祖父母が交流する機会を設けることです。子どもから手作りのプレゼントや歌・ダンスなどでもてなし、祖父母に感謝の気持ちを伝えます。また、地域の老人ホームに慰問することもあります。
お月見
お月見の狙いは、伝統行事であるお月見について知り、親しみを持つことです。まずお月見の絵本や紙芝居を使って「月」に興味を持ってもらうようにしましょう。子どもの年齢に応じて、お月見の作法や成り立ちを簡単な言葉で説明するとよいかもしれません。保育は日中に行われるため一緒に月を見ることは難しいですが、月やお団子にちなんだ伝承遊び・製作を取り入れて行事を楽しむことができます。
運動会
運動会の狙いは、こつこつと練習してきた成果を披露し、結果を出すことや称賛されることで達成感を味わわせ共通の思い出を作ることです。ただし、保育園の運動会は競争で上位に入ることは重要ではありません。子どもがルールを守ることの大切さや友達と協力することの喜びを知り、継続力を身につけさせスポーツを好きになってもらうことが大切です。残暑が厳しい時期と重なることも多いため、子どもたちの健康管理には十分に気を遣いましょう。
ハロウィンパーティー
ハロウィンパーティーの狙いは、季節の移り変わりを感じながら日本に定着した外国の文化に親しみを持ってもらうことです。保育園によっては、地域で合同のパーティーを行ったりパレードに参加したりします。子どもに仮装させる場合は、子どもが嫌がらない・怖がらない衣装やメイクを選ぶことが大切です。また、用意するお菓子にアレルギー物質が含まれていないか入念に確認しましょう。保育園で用意する場合はもちろん、地域の人からのもらいものにも十分な注意が必要です。
作品展
作品展の狙いは、子どもの成長確認と製作意欲の向上です。保護者・保育士は作品展を通して子どもの成長を感じることができます。製作したものを人に評価される経験は、子どもが自分自身の表現を見直すきっかけになるでしょう。また、作品展用の製作をやり遂げることで達成感が生まれ、次の製作に向けた意欲を向上させる効果が見込めます。作品展は秋のほか、年度末や年2回開催するケースもあります。
七五三
七五三の狙いは、日本の伝統行事である七五三について知り、親しみを持つことです。行事の由来や成り立ちは、子どもの年齢に応じた言葉を選んで説明しましょう。七五三にまつわる歌や製作を通して行事の雰囲気を伝えることで、子どもたちは保育士や友達とお祝いする喜びを知ることができます。
芋掘り大会
芋掘り大会の狙いは、土に触れて自然を感じることです。さつま芋だけでなく、虫や葉っぱ、土の匂いなど、五感を使って自然を感じる貴重な機会です。野菜がどういう風にできるのかを知り、農家の人に感謝することにもつながります。

冬(12月~3月)の主な行事

冬は暦関係のイベントが多く、年度の締めくくりとなる卒園式が行われます。

生活発表会
生活発表会の狙いは、さまざまな発表を通して子どもの成長を保護者に披露し、成長の喜びを共有することです。子どもの年齢に合わせた発表内容を企画するだけでなく、保護者への案内やプログラムの作成など、準備項目がたくさんあります。生活発表会を行う際は準備期間を十分に確保して臨みましょう。
クリスマス会
クリスマス会の狙いは、友達や保育士とクリスマス独特の雰囲気を一緒に楽しみながら、クリスマスに関心を持ってもらうことです。12月初めから園内を飾りつけて徐々に子どもたちの気持ちを盛り上げるとともに、クリスマス本来の意味や由来などを絵本や劇などの内容を通して教えましょう。
お正月遊び
お正月遊びの狙いは、日本の伝統的な遊びや風習を楽しみながら学び、継承してもらうことです。お正月遊びの種類によっては小さい道具を多用するため、誤飲に注意しましょう。餅つきを行う際は衛生面やケガに気をつけ、子どもがのどに詰まらせないように小さく千切ることも大切です。
節分
節分の狙いは、豆をまいて鬼を退治する経験や節分に関するお話しを通して、節分に興味を持ってもらうことです。大豆は誤飲につながるため丸めた新聞紙などで代用します。また、鬼を演じる際はやられ役に徹し、大声を出したり追いかけすぎたりして子どもに怖い思いをさせないようにしましょう。
ひな祭り
ひな祭りの狙いは、性別に関係なく日本の昔からの風習に親しんでもらうことです。一般的には女の子が主役のお祭りですが、保育園では男の子も女の子も同じように参加するため、どちらでも楽しめるように工夫しなければなりません。また、ひな飾りは小物が多いため誤飲に注意しましょう。
お別れ遠足
お別れ遠足の狙いは、同じクラスの友達や保育士との思い出作りと、園外活動を通して進級への自信をつけることです。春の遠足と同じく、集団行動のルールやマナーを身につけるよい機会となります。遠足先へのルート確認や予備日設定など事前準備を確実に行いましょう。
卒園式
卒園式の狙いは、保護者とともに子どもたちの成長を実感し、新たな門出を喜び合うことです。卒園児たちにとっては小学校への入学、年長児たちにとってはお兄ちゃん・お姉ちゃんとなる期待感を膨らませる儀式でもあります。新しい年度に自信を持って望めるような言葉をかけてあげましょう。

年間行事がない保育所もある?

保育所では1年を通してさまざまな行事やイベントを行うイメージがありますが、中にはそのような催しがない、あるいは少ない保育所が存在します。年間行事ができない理由は「あえて行事を行わない」「そもそも行うことができない」など、保育所の種類と取り巻く環境によってさまざまです。年間行事がない、または少ない代表的な保育所を4つ紹介します。

小規模保育所 「子ども・子育て支援法」により、2015年に定められた認可保育所の一種です。園児の定員が19人以下と少ないため、行事やイベントを行うことが難しい傾向にあります。
夜間保育所 保護者が夜間まで働く必要がある家庭を対象に、夕方から夜間まで子どもを預かる保育所です。家庭生活の流れに合わせた保育活動が業務の中心となるため、行事やイベントを行うことが困難になっています。
企業内保育所 主に社員の子どもを預かることを目的として企業が設置する保育所です。一部、地域の子どもを受け入れる場合もあります。多くの保護者は同一企業で働いており、同日に仕事を休むことが難しいため、運動会などの大規模な行事を行う企業内保育所は少ないです。
院内保育所 病院内で働く医師や看護師の子どもを預かる保育所です。24時間体制で働く医療従事者に合わせて、早朝から夜間まで保育を行います。保護者の勤務日・時間がさまざまで全員参加の行事を行うことが難しいため、あえてイベントを少なくしている院内保育所もあります。

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まとめ

子どもたちは保育園で行われる行事を通して、体感し楽しみながら日本や外国の文化・風習に触れ、親しみを持てるようになります。また、行事に向かって練習を積み重ね、友達と協力し一緒に成功させることの喜びを得ることもできるでしょう。

保護者にとっては、普段見ることのできない子どもの様子を知り、成長した姿を実感する機会でもあります。各行事の狙いをしっかりと理解して入念に準備を行い、子どもや保護者にとってより有意義で素晴らしい思い出作りができる行事にしましょう。