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富山県は本州の中央北部に位置しており、10市4町1村からなる県です。路面電車をはじめ複数の私鉄やバスなどの公共交通機関が充実しているため、通勤に困ることはありません。2015年に開業した北陸新幹線や、国内線・国際線の両方が利用できる空港も有することから、国内外の旅行および遠方での研修参加も容易です。

富山県で保育士として働くことを検討している方は、通勤・生活の利便性に加えて給料相場や求人の傾向も気になるでしょう。

そこで今回は、富山県における保育士の給料相場について解説します。給料が高いエリアや、保育士が活用できる支援・補助制度も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

【富山県】保育士の給料相場|全国平均との比較

富山県の持ち家率や女性の就業率は、全国平均を上回っていることで知られています。

平成27年(2015年)の国勢調査を基に作成された富山市の資料によると、富山県の持ち家率は78.1%であり、全国平均の62.3%を大きく上回っています。また、全国の女性の就業率が48.3%であることに対して、富山県における女性の就業率は50.8%となっており、女性の社会進出が目立ちます。

(出典:富山市「2021統計からみる富山市 」/ https://www.city.toyama.toyama.jp/kikakukanribu/johotokeika/tokei/tokeikaramiru/2021tokeikaramiru.html

富山県は、持ち家率の高さや女性の就業率の高さからもうかがえるように、共働き世帯が多いことが特徴です。そのため、多くの家庭が保育施設を利用しています。しかし、保育士の需要の高さが必ずしも保育士の給料に反映されているとは限りません。

保育士の給料相場を富山県と全国で比較すると、下記のとおりです。

平均年収 平均月収(賞与含めず) 手当・賞与
全国 約374万円 約24万円 約74万円
富山県 約347万円 約23万円 約67万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

富山県における保育士の給料相場は、年収・月収、手当・賞与のいずれも全国平均を下回っています。ただし、上記の金額はあくまで平均であり、就業先や経験・スキルによって給料は変動します。

施設の種類や運営形態、各種手当の有無など求人ごとに給料の条件は異なるため、条件次第では全国平均と同等もしくは上回ることも十分に可能です。給料自体が平均的でも、充実した福利厚生によって仕事に関する出費や、生活面の出費を抑えられるところも少なくありません。

また、富山県は自然豊かな環境や、共働き家庭が浸透している土地柄から、県をあげて子育ての環境が整っていることをアピールしています。移住希望者向けのポータルサイトでも子育て向きの県であることを魅力としており、今後ますますファミリー層の増加が期待できる地域です。

(出典:富山県「子どもとくらしたい国、富山」/ https://toyama-teiju.jp/child/

そのため、富山県は今後も安定した保育士の需要があるといえます。国が主導して保育士の待遇改善を進めていることから、給料相場および待遇面の好転も期待できるでしょう。

富山県内で違いはある?保育士の給料が高い市区町村はどこ?

富山県と首をかしげる女性

他県と同様に、富山県内でもエリアごとに保育士の給料相場は異なります。人口が多く保育士の需要が高いエリアでは、全国平均と同等の年収を得られるケースも少なくありません。

富山県内で保育士の給料が高いエリアの年収・月収は、下記のとおりです。なお、下記の数値は、実際にマイナビ保育士で掲載中の求人情報を基に算出したデータです。調査するタイミングによっては、多少前後する可能性があります。

富山市 射水市 高岡市 中新川郡立山町 南砺市
年収 約272万~368万円 約272万~320万円 約256万~320万円 約272万~336万円 約272万~320万円
月収(※) 約17万~23万円 約17万~20万円 約16万~20万円 約17万~21万円 約17万~20万円

(※)手当・賞与分を含めていません

5つの地域の中でも人口が最も多い富山市の給料が特に高く、上限は約368万円です。他のエリアと比べて、約32万~48万円高くなっており、就業先によっては富山県の平均年収である約347万円を上回ることを期待できます。

また、多くの地域で年収の最低値は約272万円となっています。そのため、富山県内で給料の高い保育士求人を探す際は、最低でも年収272万円以上を目安にすると良いでしょう。

エリアにより給料に差が出る理由

正社員とパート・アルバイトなど雇用形態の違いに関係なく、各エリアで保育士の給料に違いが出ることは珍しくありません。同じ県内でありつつも給料が異なる理由は、さまざまです。

人口が集中するエリアは、他のエリアと比べて家賃や物価が高い傾向にあり、人口が集中するエリアで生活をするためには家賃などに見合った収入が必要になることから、保育士の給料も高くなる傾向です。

たとえば富山市は、県で最も広大な土地と多くの人口を有する市で、県全体の人口1,028,724人のうち、約4割の412,533人が富山市に住んでいます。

(出典:富山県「市町村別人口と世帯数(令和3年4月1日現在)」/ https://www.pref.toyama.jp/sections/1015/lib/jinko/_news/jinko210401/jinko210401.html

不動産・住宅サイトによると、富山市の家賃相場は約4.9万円です。次いで魚津市・黒部市・小矢部市は約4.6万円と、他のエリアと比較して高額となっています。エリアによっては、富山市よりも2万円近く安い家賃が提示されている場合もあります。

また、家賃や物価による影響の他、子育て支援・少子化対策条例に基づく計画など、行政主体の子育てに関する取り組みに協力的か否かも、保育士の給料に影響します。子育てに関する各取り組みに協力的な保育施設(認定こども園や企業運営の施設も含む)は、職員の給料も好条件となる場合が少なくありません。

たとえば「特別な配慮を必要とする子どもへの保育等の充実」を目的とした、保育施設への専門家派遣や保育士に対する研修の実施が挙げられます。専門的な研修・指導を受けることで、給料アップが期待できるでしょう。

(出典:富山県「子育て支援・少子化対策の具体的な展開」/ https://www.pref.toyama.jp/documents/9483/01164737.pdf

富山県で実施!保育士に対する「支援・補助制度」とは

富山県の景色と女性

全国的に保育士不足が叫ばれている近年は、行政主導による保育士の待遇改善や養成支援などの対策が取られています。富山県においても、保育士に対する支援・補助制度が用意されており、就職や転職を希望する方は活用することがおすすめです。

ここからは、富山県独自の保育士に対する3つの支援・補助制度について解説します。

保育士修学資金等貸与

「保育士修学資金等貸与」は、新たに保育士資格の取得を目指す方に資金的な支援を行う制度です。年齢制限は設けられていないため、条件を満たせば大学進学を迎える現役世代から社会人経験のある世代まで、幅広い方が利用できます。

対象者 下記の条件をすべて満たす方

・指定保育士養成施設に在籍している
・卒業後に富山県内で資格を活かした業務に従事する予定がある
・学業優秀である
・経済的に支援が必要と認められる
補助金 最大160万円

修学費用:月額5万円以内
入学準備金(入学時):20万円以内
就職準備金(卒業時):20万円以内
貸与期間 2年間

(出典:社会福祉法人富山県社会福祉協議会「各種貸付」/ https://www.toyama-shakyo.or.jp/jinzai/kakusyukashitsuke/#subtop

修学費用や入学・就職準備金は貸与の名目で支援されますが、必ずしも返還義務が生じるわけではありません。指定保育士養成施設を卒業後、1年以内に保育士登録を行い、県内の国が定める施設(保育所など)で5年間従事した場合は返還が免除されます。

潜在保育士就職準備金貸与

「潜在保育士就職準備金貸与」は、保育士資格を持ちながら事情により現在は保育士として働いていない方に対する支援制度で、保育士の現場復帰などを促すことが目的です。ブランクがある方に加え、実務未経験者も対象者に含まれます。

対象者 3か月以上保育士として勤務していない方、もしくは下記の条件を満たす方

・保育士資格を持っているものの勤務経験がない
・富山県内に住民登録をしている
・週20時間以上、保育士として県内施設で勤務する予定がある
・富山県健康・福祉人材センターに求職登録を行っている
対象外となるケース 就職準備金貸与に類似した支援・補助金を受けている場合
補助金 20万円以内

(出典:社会福祉法人富山県社会福祉協議会「各種貸付」/ https://www.toyama-shakyo.or.jp/jinzai/kakusyukashitsuke/#subtop

富山県内の保育所などで資格を活かした業務に2年間従事した場合、返還が免除されます。

なお、補助金の使用目的は保育所などへの就職準備にかかる範囲と定められているため、用途によっては支援不可となる場合もあります。

未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸与

「未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸与」は、未就学児をもつ保育士が子育ての負担を軽減しつつ安心して働けるよう、自治体が資金的に支援する制度です。子どもを保育園に預ける際の費用を助成する目的で貸与されます。

対象者 下記の条件をすべて満たし、未就学児をもつ保育士

・富山県内に住民登録を行っている
・県内の保育所などを離職後3か月経過している、または勤務経験がない
・新たに県内の保育所など該当施設に就職する予定がある
・富山県健康・福祉人材センターに求職登録を行っている
補助金 月額2万7,000円以内(保育料の半額)
貸与期間 1年間

(出典:社会福祉法人富山県社会福祉協議会「各種貸付」/ https://www.toyama-shakyo.or.jp/jinzai/kakusyukashitsuke/#subtop

富山県内の保育所など該当施設で2年間勤務した場合は、返還が免除されます。

なお、本制度はあくまで保育料の半額までが上限とされること、交付時は3か月分をまとめて振り込まれることに注意が必要です。

まとめ

富山県は自然が豊かなうえ、県をあげて子育てしやすい環境作りに取り組んでいるため、幅広い層が暮らしやすい県です。公共交通機関が発達しており、路面電車が通っているエリアもあることから、勤務地が遠方の場合はマイカー通勤以外の方法も選べます

高収入を重視する方は、富山市など人口が多く家賃や物価が高いエリアを中心に求人を探しましょう。また、保育士の待遇改善などに力を入れている求人もおすすめです。

※当記事は2021年6月現在の情報を基に作成しています

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