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全国的に待機児童問題が取り上げられている近年、保育業界は働く両親をサポートすべく、さまざまな保育形態を打ち出しています。中でも、全国の一部企業が「企業内保育所」を開設し、従業員の職場復帰を全面的にサポートしたことから企業内保育が注目され、現在でも需要はさらに高まりつつあります。

そこで今回は、企業内保育の概要や、企業内保育所で働く保育士の給料相場・仕事内容・勤務するメリットとデメリットについて紹介します。また地域別の企業内保育求人数と給料相場や、勤務するなら取得しておきたい資格も解説しているため、ぜひ参考にしてください。

企業内保育所で働く保育士の給料相場

企業内保育所とは、企業が事業所内あるいは会社の近隣施設に開いている託児施設のことです。待機児童問題や共働き世帯の増加が大きく取り上げられている近年、従業員の出産による育児休暇からの職場復帰の支援や、従業員の育児による離職を防止するために企業内保育を導入する企業が増加しました。企業内保育所はその運営形態から認可外保育園に含まれることが多く、保護者のニーズに柔軟に対応できる点も大きな魅力です。

共働き世帯の増加に伴い、待機児童問題ゼロに向けての取り組みは継続して行われるでしょう。そのため、企業内保育の需要はさらに高まります。これにより、企業内保育所で働く保育士も自ずと重要とされるでしょう。

また、全職種の保育士の平均給料と比較した企業内保育で働く保育士の給料相場は、下記の通りです。

■保育士の給料相場(年収)

給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士の給料相場(全国:※1) 約300万~340万円
保育士の平均給料(全国・全職種:※2) 約374万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

企業内保育所で働く保育士の給料は、全保育士の平均給料と比較してやや低い傾向にあるものの、企業や働き方によっては平均以上の年収を得られるケースも多々あります。特にキャリアアップ制度が整っていたり諸手当が多く支給されていたりする職場であれば、全保育士の平均給料よりも稼げる可能性があるでしょう。

企業内保育所で働く保育士の仕事内容と勤務するメリット・デメリット

企業内保育所は一般的な保育園と同じく、主に朝から夕方まで子どもたちを見ることが基本です。しかし、運営母体となる企業の就業規則に基づいて土日祝日が休日となるケースが多く、夜勤のある企業の場合は夜間保育を行うこともあります。夜間保育の場合は、入浴や寝かしつけを行うなど、一般的な保育園とは少し異なる働き方となるでしょう。

このように、企業の方針に基づいた保育を行う企業内保育では、勤務する保育士に下記のようなメリット・デメリットがある点に留意してください。

■企業内保育所で働くメリット

  • 残業が少ない傾向にある
  • 子どもとじっくり向き合える
  • 保護者への緊急連絡が行いやすい
  • 土日祝日やお盆・年末年始が休みとなりやすい

企業内保育は大きな行事やイベントの開催がほとんどないため、準備のために残業をしたり仕事を持ち帰ったりすることもありません。さらに少人数保育となることも多く、じっくり子どもたちと向き合える点も魅力です。常に保護者が近くにいるため保護者・職員間の連絡もとりやすく、クレームが少ないというメリットもあります。

■企業内保育所で働くデメリット

  • やりがいを感じづらい
  • 母体となる企業の業績に左右されやすい

企業内保育所は比較的小規模であることが多く、一般的な保育園のように子どもたちがのびのび楽しめる園庭・ホールがなかったり、大きな行事・イベントがなかったりするケースも多々あるでしょう。これにより、やりがいを感じづらい点が大きなデメリットです。また母体となる企業の業績に左右されることもあり、安定面では一般的な保育園と比較して劣る傾向にあります。

上記の仕事内容や働くメリット・デメリットを踏まえ、企業内保育所で働くことが向いている保育士は、「自身も子育てをしながら現場に復帰したい方」「業務負担の少ない職場で働きたい方」です。

【企業内保育所】地域別の求人数と給料相場

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企業内保育所の求人数・給料相場は、地域によっても異なります。特に都市部と地方では給料相場を中心に傾向の大きな違いがあるため、「就職先・転職先を選ぶ上で何にこだわるか」で適切な勤務地を選ぶことがおすすめです。

ここからは、地域別に企業内保育所の求人数と平均年収を解説します。

(1)北海道・東北

北海道・東北地方は企業内保育所の数が比較的少なく、給料相場も全保育士のデータと比べてやや低い傾向です。しかし広い施設が多く、外遊びやイベントに力を入れている企業内保育所が多くあります。

■北海道・東北地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 20件 約270万~290万円
全職種の保育士(※2) 805件 約301万~382万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(2)関東

日本の大手企業が集中している関東地方では、全保育士の平均年収と変わりない給与が設定されているケースも珍しくありません。特に中心地となる埼玉県・東京都・神奈川県では求人数も多く高給となる傾向です。

■関東地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 153件 約320万~380万円
全職種の保育士(※2) 11,436件 約325万~435万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(3)信越・北陸

信越・北陸地方の企業内保育所から出ている保育士求人では、月収は20万円前後の求人が多いものの賞与額が2ヶ月以上に設定されていたり、経験年数やスキルに応じて適切な給与設定がされたりと、努力に応じて稼ぎやすい求人が多い傾向にあります。

■信越・北陸地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 10件 約300万~320万円
全職種の保育士(※2) 337件 約323万~367万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(4)東海

東海地方では、特に愛知県に求人が集中している傾向です。東海地方に本社を設置する大手企業も多く、福利厚生が非常に充実した求人もあります。全保育士の平均給料と比べてやや低いものの、働きやすさに優れていると言えるでしょう。

■東海地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 95件 約280万~340万円
全職種の保育士(※2) 2,119件 約355万~404万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(5)関西

関西地方では、主に大阪府・兵庫県を中心に多くの求人が出されています。大手企業からの求人においては、充実した福利厚生が魅力です。120日の年間休日をとりながら、月収25万円以上を得られる職場も少なくありません。

■関西地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 260件 約350万~380万円
全職種の保育士(※2) 3,785件 約321万~400万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(6)中国・四国

中国・四国の企業内保育所求人は、主に広島県から多く出されています。給料は全保育士に比べて約50万円ほど低いものの、残業がほぼなく人手が充実している施設も多いことから、プライベートを重視して働きたいという方にはおすすめのエリアです。

■中国・四国地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 40件 約260万~290万円
全職種の保育士(※2) 651件 約320万~369万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(7)九州・沖縄

九州・沖縄の企業内保育所求人は、エリアによっても給料相場の幅が大きく異なる点が特徴です。特に企業の多い福岡県では福利厚生が充実しており給与面・待遇面でも好条件の求人が多く、職場によっては全職種の保育士よりも高い収入を得られるでしょう。

■九州・沖縄地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
企業内保育所で働く保育士(※1) 49件 約280万~340万円
全職種の保育士(※2) 920件 約328万~380万円

(※1 出典:マイナビ保育士/ https://hoiku.mynavi.jp/
(※2 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

企業内保育所で働く場合に取得しておきたい資格3選

企業内保育所は、保育士資格のみで働くことが可能です。しかし、その他保育士にまつわる資格を保有していれば、就職や転職の際に有利となるでしょう。最後に、企業内保育所で働く場合に取得しておきたい資格を3つ紹介します。

  • 絵本保育士
  • チャイルドマインダー
  • 折紙講師

前述の通り、企業内保育所は保育士資格があれば働くことができるため、上記の資格は必須ではありません。あくまでも、自身のスキルを証明する一つの手段であることを覚えておきましょう。

まとめ

ここまで、企業内保育所の概要や給料相場、さらに勤務のメリット・デメリットやおすすめの資格について詳しく解説しました。働く両親の職場復帰のサポート・離職の防止に役立つ企業内保育所は、今後も需要も高まることが見込まれます。

特に給料が良い地域は、東京都周辺・大阪府・福岡県などの多くの企業がある都市部です。しかし、地方でも経験やスキルによって平均以上の給料を得られるだけでなく、働きやすさにも優れている職場が多いと言えるでしょう。

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※当記事は2021年9月現在の情報をもとに作成しています

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