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保育士の資格を持つ方の活躍フィールドは、保育園以外にも豊富にあります。その中でも、「認定こども園」は幅広い年齢の子どもたちと関われる勤務先であり、共働き世帯の家庭をサポートできる重要な役割を果たせることが特徴です。

共働き世帯の増加に伴い、認定こども園で働く保育士の需要も高まりました。近年では認定こども園の求人が多数掲載されていることから、就職先・転職先として悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、認定こども園で働く保育士の給料相場から、仕事内容と働くメリット・デメリット、さらに認定こども園で働くなら取得しておきたい資格まで詳しく解説します。

認定こども園で働く保育士の給料相場

認定こども園とは、保護者が勤務している・していないにかかわらず、0歳から小学校就学前の幅広い年齢を対象に子どもを預けられる保育施設です。いわゆる、幼稚園と保育園の両方の機能を併せ持った教育機関で、2006年10月に「認定こども園法」が制定されて以来、多くの共働き世帯から利用され始めました。

認定こども園で働く保育士は、「保育教諭」とも呼ばれます。保育教諭とは、保育士資格と幼稚園教諭免許の2つの資格を保有した、認定こども園で働く職員のことです。認定こども園で働くためには、基本的に保育士資格と幼稚園教諭免許の2つを併せ持つ必要があります。認定こども園の施設タイプ・担当年齢によっては、保育士資格のみで働いている職員も存在します。

また、認定こども園で働く職員の給料相場は下記の通りです。

■保育士の給料相場(年収)

給料相場(年収)
保育教諭の平均給料(全国) 約383万円
保育士の平均給料(全国・全職種) 約374万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

保育教諭の平均年収は、統計上だと約9万円ほど年収が高い状況です。

認定こども園は共働き世帯の増加傾向により需要が高まっていることを踏まえると、継続勤務やスキル向上による昇給なども、大いに期待できると言えるでしょう。

認定こども園で働く保育士の仕事内容と勤務するメリット・デメリット

保育士資格・幼稚園教諭免許を保有する方の一般的な勤務先である保育園や幼稚園は、対象年齢が狭まっていることから、仕事内容も限られます。しかし幅広い年齢の子どもがいる認定こども園で働く際は、その幅広い仕事内容だけでなくメリット・デメリットまで十分に理解したうえで勤務先として選ばなければなりません。

認定こども園は、施設のタイプや子どもの認定区分により職員の仕事内容も異なります。幼稚園の機能部分を担当する場合は幼稚園教育要領に基づいた教育を行い、保育園の機能部分を担当する場合は保育所保育方針に基づいた保育を行うことが一般的です。

基本的に1日の保育時間が長い認定こども園では早番・中番・遅番のシフト制であることが多く、途中で保育者(職員)が交代することも多々あるでしょう。

下記では、認定こども園で働くメリットとデメリットを紹介します。

■認定こども園で働くメリット

  • 幅広い年齢の子どもたちと関われる
  • 保育と幼児教育の両面を学べる
  • 豊富な行事・イベントを子どもたちと楽しめる

認定こども園は異年齢教育に力を入れていることも多く、幅広い年齢の子どもと長く関われる点は最大の魅力です。保育と幼児教育の幅広い経験によるスキルも身につくことで、今後の転職も有利となる点も隠れたメリットと言えるでしょう。

■認定こども園で働くデメリット

  • 業務の幅が広く、負担が増える
  • あらゆるタイプの保護者と関わる必要がある

認定こども園は保育園・幼稚園の機能を併せ持つことから、業務範囲が広くなり、必然的に負担も増加します。さらにあらゆる価値観を持つ保護者と長く関わる必要もあり、人によっては不得意を感じることもあるでしょう。

上記の仕事内容や働くメリット・デメリットから、認定こども園で働くことが向いている方は、「幅広い年齢の子どもと長く関わりたい方」「保育と幼児教育を学びたい方」と言えます。

【認定こども園】地域別の求人数と給料相場

貯金箱

認定こども園の求人数や給料相場は、地域によっても細かく異なります。特に都市部と地方では給料相場を中心に大きな違いがあることも珍しくないため、「働くうえで何を重視するか」で勤務地域を選ぶことがおすすめです。

ここからは、地域別に認定こども園の求人数と平均年収を解説します。

(1)北海道・東北

北海道・東北の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人の2割弱を占めています。認定こども園で働く保育士と全職種の保育士の給料相場はさほど大きな差がありません。

■北海道・東北地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 143件 約334万~366万円
全職種の保育士 805件 約301万~382万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(2)関東

関東地方の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人数と大きな差が出ていました。認定こども園で働く保育士と全職種の保育士の給料相場にも傾向の違いがあり、東京都・千葉県・神奈川県では特に好待遇・好条件となっています。

■関東地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 311件 約358万~426万円
全職種の保育士 11,436件 約325万~435万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(3)信越・北陸

信越・北陸地方の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人の4割を占めており、認定こども園の数は多いと見てとれます。認定こども園で働く保育士の給料相場は全職種の保育士に比べてやや低いものの、需要の高さから昇給は大いに見込めるでしょう。

■信越・北陸地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 136件 約332万~378万円
全職種の保育士 337件 約323万~367万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(4)東海

東海地方の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人に比べて少ないことが特徴です。認定こども園で働く保育士の給料相場も全職種の保育士と比較して低い傾向にありますが、愛知県など中心地では全職種の保育士の給料相場と大差ない場合もあります。

■東海地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 275件 約353万~443万円
全職種の保育士 2,119件 約355万~404万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(5)関西

関西地方の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人に比べて少ないことが特徴です。関西地方でも、認定こども園で働く保育士の給料相場は全職種の保育士と比較して低いものの、大阪府など中心地では需要の高さから給料が高い傾向にあります。

■関西地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 380件 約355万~405万円
全職種の保育士 3,785件 約321万~400万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(6)中国・四国

中国・四国地方の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人の1割程度となっています。認定こども園で働く保育士と全職種の保育士の給料相場は大差なく、施設によっては認定こども園で働く職員でも全職種の保育士以上に稼げるでしょう。

■中国・四国地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 99件 約315万~398万円
全職種の保育士 651件 約320万~369万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

(7)九州・沖縄

九州・沖縄地方の認定こども園の求人数は、全職種の保育士求人に比べて少ない傾向です。しかし、認定こども園で働く保育士と全職種の保育士の給料相場は大差なく、福岡県などの中心部においては全職種の保育士よりも高い給料が設定されているケースもあります。

■九州・沖縄地方の求人数・給料相場

求人数 給料相場(年収)
認定こども園で働く保育士 54件 約327万~406万円
全職種の保育士 920件 約328万~380万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

全国における認定こども園の平均給与は約315万~443万円と、エリアによって大きな差があることがわかりました。働き方だけでなく保育経験・スキルの量や設定されている賞与支給額によっても年収は大きく異なるため、異なる施設情報をきちんと把握したうえでベストな転職先を選択しましょう。

認定こども園で働く場合に取得しておきたい資格

認定こども園で働く場合は、幅広い業務を担うためにも幼稚園教諭免許を取得しておくことがおすすめです。前述の通り、認定こども園保育士資格だけでも勤務できますが、キャリアアップを考えると両方の資格を持っておくほうが望ましいでしょう。

また施設によっては、幼稚園教諭免許と保育士免許の両方の資格を持っていなければ働けない場合もあります。一部では保育士資格だけで勤務できるところもあるため、働きながら幼稚園教諭免許の取得を目指したいという方は、保育士資格だけでも応募できる求人を探してみてください。

まとめ

ここまで、認定こども園の概要や給料相場、さらに仕事内容と勤務するメリット・デメリットなどについて詳しく解説しました。共働き世帯の増加に伴い、認定こども園の需要も高まりつつありますが、特に給料が良い地域は東京都周辺・大阪府・福岡県などの都市部です。

認定こども園は基本的に、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を取得しておく必要があります。しかし中には、保育士資格だけでも勤務できる施設もあり、認定こども園で働きながら幼稚園教諭免許の取得を目指す方も存在します。

全国からは認定こども園の求人が多く掲載されているため、自分に合った求人をまずは選びましょう。認定こども園の求人を探すなら、転職をサポートしてくれる転職アドバイザーがいる保育士求人サイトの「マイナビ保育士」をぜひご利用ください。

※当記事は2021年9月現在の情報をもとに作成しています

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