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保育を学んでいる人や保育士を目指している人であれば、「部分実習」という言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。よく聞く言葉ではあるものの、内容を詳しく知らないために不安を感じる人は珍しくありません。

今回は、部分実習の概要や責任実習との違いについて解説します。また、部分実習におすすめの実践的なアイデアや、作成が必要な指導案の書き方なども紹介します。部分実習について詳しく知りたい人は、この記事を参考にしてください。

部分実習とは?責任実習と何が違う?

「部分実習」とは、保育園における一日の中の決まった時間だけ、保育学生が主体となって担当クラスの保育指導を行うことです。朝の会や帰りの会、主活動の時間など、特定の時間に保育学生が責任を持って保育を担当します。

一方、「責任実習」とは担当するクラスの一日の保育について、すべて保育学生が主体となって指導を行うことです。部分実習と責任実習は、一日の一部分に限って保育を担当するか、一日を通して担当するかという点で異なります。

保育の部分実習におすすめの活動例

保育の部分実習においては、保育学生が実習内容を自身で考えて、子どもたちを指導しなければなりません。また、必要な道具や材料の準備も自分でしなければならないため、どのような内容にすればよいのか悩む人も多いでしょう。

ここでは、部分実習でよく行われるおすすめの活動を紹介します。

絵本や紙芝居の読み聞かせ

絵本や紙芝居の読み聞かせは、保育の場では欠かせない活動であるため、部分実習でもおすすめの室内遊びと言えます。初めて子どもたちの前で本や紙芝居を読むときは、緊張してしまうことも考えられるため、しっかりと準備をして臨みましょう。

絵本や紙芝居を読み聞かせるときには、読み聞かせを行う場所や、子どもたちから見やすい配置について気を配ることが重要です。例えば、保育室で紙芝居を行う場合には、子どもたちの目線に配慮して台の高さや椅子の配置を工夫します。

また、絵本や紙芝居を読む際は、はっきりと通りやすい声で読むようにしてください。読み聞かせでは、子どもにしっかりと内容を伝えることが大切です。緊張すると早口や小声になる場合も多いため、ゆっくりと読むことをおすすめします。

お絵描きや工作などの製作

お絵描きや工作といった製作遊びもおすすめです。お絵描きは、吹き絵やフィンガーペインティングなどバリエーションが豊富にあります。工作は、紙コップ・新聞紙を使って人形・ボールを手作りするおもちゃ製作遊びや、ストロー・ペットボトルを使った楽器製作遊びなどがあります。

お絵描きや工作は、子どもの年齢によってできることに差があるため、年齢に合わせた遊びを選ぶようにしましょう。また、使用する材料や道具の準備が必要なため、早めに指導計画をまとめて指導担当の先生に相談する必要があります。

材料の調達や持ち物などについて、保護者の協力が必要な場合も考えられます。時間に余裕を持ったうえで、何をするか決めましょう。

集団で遊べる簡単なゲーム

クラスのみんなで一緒に遊べる簡単な室内ゲームもおすすめです。3歳以上の場合は、ゲームのルールを理解して集団遊びを楽しむことができます。

代表的なゲームの例には、椅子取りゲームやハンカチ落とし、フルーツバスケットなどが挙げられます。しりとりや伝言ゲームなどの言葉遊びもよいでしょう。

ゲーム遊びを実施する際は、子どもたちの年齢に合わせて企画することが大切です。年齢に合わせて遊びを選ぶか、同じ遊びでもルールを優しくしたり難しくしたりして調整しましょう。

ゲーム遊びを実施する際は、子どもたちの年齢に合わせて企画することが大切です。年齢に合わせて遊びを選ぶか、同じ遊びでもルールを優しくしたり難しくしたりして調整しましょう。

保育学生が部分実習を行う際のポイント

保育学生が部分実習を行う際は、以下のポイントに気を付けましょう。

・前もって保育士に相談する
部分実習を実施する前に、部分実習の内容やねらいについて、園の指導担当者にあらかじめ相談しましょう。前もって相談しておくと、子どもたちの年齢や特性などを踏まえたアドバイスを指導担当者からもらえます。

・保育内容を家で実際に試す
部分実習の当日に「うまくいかなかった」とならないよう、保育内容を家で試すことが重要です。工作やゲームは、自分でシミュレーションをしておきましょう。絵本や紙芝居の読み聞かせも、内容を知っていてもうまく読めるとは限りません。事前に下読みをすることがおすすめです。

・導入で子どもの心を掴む
部分実習では、導入部分に子どもたちの心を掴むような遊びや声かけを入れましょう。前触れなく絵本の読み聞かせや工作を始めても、子どもたちは集中することができません。これから始まる遊びに子どもたちの気持ちを惹きつけるためには、最初の掴みの部分が重要です。

部分実習で作成する指導案の書き方

指導案とは、保育現場で実施する指導について、ねらいや内容をまとめた書類のことです。部分実習では指導案の作成が必要であり、書くときは丁寧に書くことが大切です。

部分実習の指導案には「ねらい」「環境構成」「活動内容」の3点を明記します。ここでは、それぞれの項目を書くときのコツを解説します。

【ねらい】何を学んでほしいのか明確にする

部分実習で行う活動内容を通して、子どもたちに「何を体験して何を学んでほしいのか」といったねらいを明記します。例えば、お絵描きの場合は「伸び伸びと絵を描くことで絵の世界を楽しむ」などです。

同じ活動でも、ねらいが異なる場合があることに注意しましょう。例えば、絵本遊びで、参加型の絵本を使う場合は「みんなで一緒に参加して楽しむ」といったねらいとなります。一方、静かに読み聞かせる本を使う場合には「絵本の世界を通じて想像する力を養う」といったねらいが考えられるでしょう。

それぞれの活動を通して「どのような力が身につきそうか」と考えながら書くことが大切です。

【環境構成】子どもや部屋の状況を踏まえる

環境構成には、部分実習を行う部屋の状況や子どもの配置などを具体的に記載します。絵本の読み聞かせの場合でも、子どもたちを椅子に座らせるのか、床に座らせるのかなど詳しく書きましょう。

お絵描きや製作遊び、ゲーム遊びの場合は、必要な道具・持ち物のリストや当日の配置も明記します。時間ごとに道具の配置が異なる場合は、時系列ごとにどういった配置になるのか記載することも大切です。

環境設定では、安全面で問題がないかどうかも確認しましょう。子どもたちが遊びに夢中になってもケガをすることなく安全に進められるよう、椅子の配置や道具の配置などに配慮しなければなりません。

【活動】子どもの行動に対する発言も考える

部分実習中の活動の流れについて、子どもの活動と実習生の活動それぞれを具体的に記載します。部分実習中に子どもがどのような行動を取るか、予想される行動について書きましょう。また、子どもの行動に対して自分がどのような発言をするのかも、よく考えて記載することが大切です。

例えば、ハンカチ落としのゲームを実施する場合、ゲームをどう進めるのかといった流れを書きます。流れの中で、鬼となった子どもがどういう行動を取るか、行動に対して実習生がどう対応するか、予想することが重要です。具体的に書いておくと、実習をスムーズに進められるでしょう。

まとめ

部分実習とは、一日の中の決められた時間において、保育学生が責任を持って指導する実習です。部分実習の内容には、絵本の読み聞かせやお絵描きなどさまざまな活動があります。

子どもに何を学んでほしいのかなどのねらいを踏まえて、実施内容を考えることが重要です。

部分実習に臨む前には、事前に園の担当保育士と相談するほか、実際にシミュレーションを行うことをおすすめします。この記事を参考にして、不安のない状態で部分実習に臨めるようにしましょう。