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ブランクの長い保育士が職場復帰する際には、さまざまな不安が付き物です。子育てや介護を理由に離職した人の中には「保母資格を保有しているが、保育士として働けるのか」「保母と保育士の違いは何か」と悩んでいる人もいるでしょう。

当記事では、保育の現場で再び活躍したい人に向けて、保母と保育士の違いについて解説します。保母資格を保育士資格に切り替えて職場復帰を目指す方法・職場選びのコツも紹介するため、保母時代のスキルを生かして新しい人生を切り開きたい人は、ぜひ参考にしてください。

保母と保育士の違いは「名称」

保母は、1999年に児童福祉法が改正される以前に使用されていた名称です。その当時、保母として働くためには、民間資格である「保母資格」が必要でした。1999年に児童福祉法が改正されて以降は、「保母」のことを「保育士」と呼んでいます。

保母から保育士へと名称変更された理由の1つが、1999年に施行された「男女共同参画社会基本法」の影響です。保育現場で働く男性が増加したことも受けて、「保母」「保父」と性別によって区別する名称ではなく、「保育士」に統一されます。2003年に児童福祉法が改正されたことで、保育士資格は国家資格として定められました。保育士資格が国家資格として定められた背景には、保育士の専門性を向上させて、保育の質を高めるねらいがあります。

2021年現在、保育士として働くためには、保育士資格を保有していること・都道府県の保育士登録簿に登録されていることが必要です。登録を済ませて保育士証の交付を受けた人が、保育園・児童養護施設・乳児院などの保育士として働けます。

保母資格では保育士として働けない

保育士資格は名称独占資格(有資格者のみが保育士と名乗れる資格)であるため、保母資格では保育士として働くことが不可能です。保育士資格を保有しない人が保育士を名乗ると、罰則規定が適用されます。

なお、一部の保育園は「保育補助」などの職種において、保育士資格を保有しない人を採用することがあります。保育補助とは、子どもたちの見守り・食事やトイレの補助などを担当し、保育士をサポートする仕事です。保育補助の給料は保育士と比較して一般的に低い反面、ワークライフバランスを取りやすい働き方ができます。

保母資格から保育士資格に切り替える方法

保母資格は継続手続きが不要かつ、有効期限の存在しない資格です。しかし、保母資格だけを保有する人が保育士として働くためには、保育士資格の切り替えを行わなければなりません。ここからは、保母資格から保育士資格に切り替える際の手順をステップ別に解説します。

STEP1:手引きを取り寄せる

保育士資格へ切り替えるためには、登録事務処理センターで配布している「保育士登録の手引き」が必要です。角形2号サイズの返信用封筒を登録事務処理センター宛に郵送し、保育士登録の手引きを取り寄せましょう。

郵送する際の封筒および返信用封筒には赤字で「保育士登録の手引き1部」と記載します。返信用封筒には自分自身の住所・郵便番号・氏名も記載し、必要部数に応じた金額の切手を貼って、郵送する際の封筒に入れてください。

必要に応じて返信用封筒を折り畳み、郵送する際の封筒に入れても問題ありません。郵送する際の封筒には、登録事務処理センターの住所・郵便番号を正確に記載します。

<登録事務処理センターの郵便・番号住所>

〒102-0083
東京都千代田区麹町1-6-2 アーバンネット麹町ビル6階 登録事務処理センター

STEP2:手数料を振り込む

保育士登録の手引きに同封されている専用の払込用紙を使用して、手数料を振り込みます。手数料の金額は、保育士登録1人に対して4,200円です。専用の払込用紙には3か所、氏名を記載する場所があります。記載漏れがないように払込用紙を準備してから郵便局に行き、窓口にて手数料を振り込みましょう。

手数料の振り込み後は、振替払込請求書兼受領証・振替払込受付証明書を受け取ります。これらを受け取る際には、郵便局の日付入り受付印が両方に押されていることを確認してください。

振替払込受付証明書は、保育士登録申請を行う際に必要です。振替払込受付証明書は申請書類の不着などの事故が起きた際、手数料の振り込みを証明する目的で使用することがあるため、大切に保管します。

STEP3:必要な書類を準備する

保母資格から保育士資格への切り替えを行うためには、下記の書類が必要です。

書類の種類 内容
保育士登録申請書 保育士登録の手引きに同封されている書類
振替払込受付証明書 手数料の振り込み後に受け取る証明書
保母資格証明書の原本 2003年以前の保母資格取得者に交付されていた証明書

保母資格証明書に記載されている氏名と、現在の氏名が異なる場合は、戸籍抄本(戸籍の個人事項証明書)も必要です。現在の戸籍抄本のみでは氏名が変更された経緯を確認できない場合、改製原戸籍・除籍抄本などの提出を求められることもあります。

保母資格証明書を紛失した人は、保母試験に合格した都道府県に問い合わせ、再発行を行ってください。保母資格証明書の再発行には時間がかかることもあるため、保育士資格への切り替え前に手続きを済ませておくと安心です。

STEP4:申請書類を提出する

準備した書類をすべて封筒に入れて、登録事務処理センター宛に郵送します。登録事務処理センターに申請書類を持参しても受け付てもらえないため、必ず郵送によって提出しましょう。申請書類の郵送には普通郵便ではなく、簡易書留郵便を利用します。

郵便局の窓口で受け取る「書留郵便物受領書」は、申請書類の不着などの事故が起きた際、提示を求められることがあります。保育証の交付を受けるまでは「書留郵便物受領書」を大切に保管しましょう。

申請書類に不備が発覚した場合は、登録事務処理センターから連絡が来ます。不備が判明すると保育士証の交付が遅れる可能性があるため、注意しましょう。

STEP5:保育士証が交付される

保育士証は、申請先による審査・決定を経て、所定の事項が保育士登録簿に登録され次第、都道府県知事から交付されます。保育士証は、登録事務処理センターから簡易書留郵便で郵送されます。

申請書類の提出から保育士証交付までに必要な期間は、申請書類の不備等がない場合、2か月程度が目安です。3か月以上経過しても保育士証が届かない人は、登録事務処理センターに問い合わせましょう。

なお、申請書類の受付時期・受付状況によっては、保育士証交付までに2か月以上かかるケースもあります。就職・転職の兼ね合いで保育士証が必要な人は、早めに手続きすることをおすすめします。

保母が保育士として復帰する際のポイント3つ

保母資格から保育士資格への切り替えが終わり、保育士証の交付を受けると、保育士として働けます。しかし、保育現場を長年離れていた人が職場復帰する際には、さまざまな不安が伴うでしょう。保母が保育士としてスムーズに職場復帰するためのポイントは、下記の3点です。

●自分に合う雇用形態を考える
保育士の雇用形態には、正社員・パート・アルバイト・契約社員などの種類が存在します。自分自身のライフスタイルや体力を踏まえた上で、いずれの雇用形態で働くかを決めましょう。

●転職支援サービスを利用する
保育の現場で必要とされる知識や技術は、日々変化しています。ブランクの長さを不安に感じる人は、キャリアアドバイザーからアドバイスを受けられる、マイナビ保育士の転職支援サービスをぜひご利用ください。保育士の転職に精通した専門家のアドバイスを受けると、職場復帰に対する不安を払拭できるでしょう。

●園見学に行って雰囲気を見る
保育士の働きやすさは、保育園の雰囲気によっても変わります。実際に保育園を見学し、保育士の様子・人員配置の適切さなどを確認しましょう。先輩保育士と話す機会をもらえる場合は、研修制度や昇給制度について聞くこともおすすめです。

まとめ

保母は、1999年の児童福祉法改正以前に使用されていた名称です。保母として働いていた人が保育士として職場復帰する際には、保母資格から保育士資格への切り替えを行わなければなりません。登録事務処理センター所定の方法に従い、手続きを進めてください。

保母として働いていた人がスムーズに職場復帰するためには、転職支援サービスの活用がおすすめです。マイナビ保育士の転職支援サービスをぜひ有効にご活用いただき、自分自身の希望に応じた職場と出会いましょう。