「子どもが大きくなり、子育てが終了したため、また保育士として復帰したい」と考える40代の方も多くいるでしょう。しかし、40代からの正社員就職・転職は一般的にハードルが高まる傾向にあります。
その人のもつポテンシャルや専門性によってもハードルは異なるものの、一般企業では実際に、40代よりも若い世代を優先的に入れるケースも珍しくありません。しかし、保育業界においては例外であり、40代の保育士でも十分なニーズがあることが実情です。
そこで今回は、40代の保育士求人は実際にあるのか、40代からでも保育士を目指せるのかについて詳しく説明します。最後に、「40代の保育士の転職・復職で考えるべきこと」も解説しているため、保育士復帰を考えている40代の方はぜひご覧ください。
目次
40代保育士の求人はある?
40代からの就職や転職は難しいという印象は、多くの方から抱かれています。しかし、保育業界においては例外で、40代でも応募を歓迎している保育士求人は数多く存在することが特徴です。
保育士の有効求人倍率は、2022年4月時点において1.98と高い位置にあり、人手を欲しがる施設が多いことが分かります。したがって、若い保育士だけでなく40代以上の保育士も十分なニーズがあると言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」/ https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/var/rev0/0119/7610/ho1.pdf )
また、保育士としての実務経験のある保育士の場合は即戦力となるため、雇用してもらえる可能性が大幅に高まります。
40代保育士が転職・復職で求められること
40代の保育士が転職・復職をする際は、主に下記のようなスキルが求められます。
●保育士としての勤務経験
保育士としての転職・復職を目指す40代の方に最も重視されるスキルが「保育士としての勤務経験」です。前述の通り、保育士としての勤務経験があれば即戦力として貢献できることが期待されるため、採用率が高まります。
●子育てで身につけた保育スキル
40代で保育士を目指す方の中には、子育ての経験がある方も多くいます。子育てを通して身につけた保育スキルは、保育士への転職・復職の際の心強いアピールポイントとなるでしょう。
●コミュニケーション能力
40代から保育士の転職・復職を目指すなら、コミュニケーション能力は欠かせません。年下の保育士が先輩・上司となってもうまく関わっていけるだけでなく、保護者との信頼関係を築き上げられるような保育士は、年齢を問わず重宝される存在となるでしょう。
保育士の経験がなくても保育園で働ける?
保育士への転職・就職を目指す方の中には、保育士養成施設を卒業して保育士資格を取得したものの、一般企業に務めたという「保育士経験のない方」も多くいます。保育士経験がない40代となれば、働けるのかという不安も大きくなるでしょう。
結論から言うと、保育士資格さえ取得していれば保育士経験のない40代の方でも働くことは可能です。むしろ、企業で働く社会人としてのマナーやスキルは、十分なアピールポイントとなるでしょう。しかし、保育士経験のある方よりかは採用率がやや低まることに注意が必要です。
無資格でも保育園に転職できる?
保育士資格を取得していれば、保育園で働くことは決して不可能ではありません。では、無資格の場合、転職先として保育園を選ぶことは可能なのでしょうか。
無資格の方が保育園に転職する場合、「保育士」として働くことはできず、「保育補助」として活躍することとなります。保育補助とは、保育士の業務をサポートする役割を果たす職種であり、保育士資格の必要がありません。
保育補助は基本的に正社員よりもパートで働くことがほとんどです。中には、保育補助としてパート勤務をしながら、保育士資格の取得を目指す40代の方もいます。
40代でも保育士を目指せる?
40代であっても、保育士を目指すことは十分可能です。保育士は人手不足などの影響から、未経験であっても求人需要は比較的高くなっています。実際に、「未経験OK」「未経験者歓迎」「年齢不問」とする求人も決して少なくありません。
また、保育士資格を保有していない方でも、保育補助として保育園で活躍することも可能です。しかし、これまでの子育て経験や勤務経験を活かして、子どもや保護者と密に関わったり就職の選択肢を広げたりするには、保育士資格が必要なことを覚えておきましょう。
ここからは、保育士として働くことを目指す40代の方に向けて、保育士を目指す方法・給料事情を詳しく紹介します。
40代から保育士を目指す方法
保育士を目指すためには、保育士資格の取得がまず必須です。保育士資格の取得を目指す方法には、「指定保育士養成施設を卒業する」または「保育士国家試験に合格する」の2通りがあります。
指定保育士養成施設とは、保育士資格の取得にあたり必要な保育課程を学べる4年制大学や短期大学、専門学校のことです。働きながら取得を目指す方に向けて、夜間コースや通信制もあります。
また、指定保育士養成施設に通わなくても、独学で試験勉強をして保育士資格の国家試験に合格すれば資格は取得できます。難易度が高いため、しっかり勉強しなければならないことを覚えておきましょう。
40代保育士の給料事情
厚生労働省が公表する「令和3年賃金構造基本統計調査」の結果データによると、40代保育士の勤続年数別における平均給料(月給)は下記の通りとなっていました。
【40代の勤続年数別】保育士の平均給料 | |||||
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0年 | 1~4年 | 5~9年 | 10~14年 | 15年以上 | |
40~44歳 | 約27.8万円 | 約21.6万円 | 約23.5万円 | 約24.7万円 | 約27.3万円 |
45~49歳 | 約21.8万円 | 約23.4万円 | 約23.2万円 | 約24.3万円 | 約29.3万円 |
(出典:e-Stat「賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164111&stat_infid=000032182952&tclass4val=0 )
40~44歳の保育士の初任給は約27.8万円とその額の高さが目立っているものの、基本的に勤続年数を増すごとに昇給する傾向です。15年以上勤続する40代の保育士の月給は30万円近くなっており、キャリアを構築している場合はより高い収入を得られると言えるでしょう。
40代で保育士を目指すときのポイント
40代の方が保育士を目指す場合は、下記のポイントを意識することが大切です。
●隙間時間を有効に活用する
保育士資格を取得するためには、勉強が欠かせません。学校に通う場合は学校でしっかり勉強できますが、慌ただしい日々の中、つい学んだ内容を忘れてしまわないよう、隙間時間を有効に活用してインプットをすることが大切です。
●家族に協力してもらう
保育士資格を取得するためには、通学や筆記試験勉強などで忙しくなります。特に働きながら資格取得を目指す方の場合、これまで通り家事をすることも困難となるでしょう。大きな負担がかかることで、集中して試験勉強ができないという状態になっては本末転倒です。時には家族の協力を得ながら、保育士を目指すことをおすすめします。
●目標を立てて効率的に毎日勉強する
ただテキストを解いて試験勉強をするだけでは、上手にインプットができないだけでなく、モチベーションも維持できません。段階的な目標を立てることで、勉強の効率性が高まり、やる気や集中力を保ちながら勉強を続けることが可能です。
40代保育士の転職・復職で考えるべきこと3つ
40代保育士の転職・復職は、求職活動を始める前に考えておくべきポイントがいくつかあります。
40代保育士の転職・復職で考えるべきこと |
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最後に、それぞれのポイントについて詳しく紹介します。
転職や復職、就職の目的を明確にする
40代の方が保育士として転職・復職・就職を検討する際は、まずその目的を明確にしましょう。転職・復職・就職の目的を明らかにすることで、「どのような求人に応募すべきか」、「どのような条件の保育園なら自分の理想の働き方ができるか」が自ずと見えてきます。
また、目的を明確化するだけでなく、明らかにした目的からはずせない条件を出し、その条件に優先順位をつけることもポイントです。
自身のスキルと経験について考える
転職・復職・就職を成功させるためには、自身のもつスキルや保育経験を整理することも重要です。
保育士経験のある方 |
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子育て経験のある方 |
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一般企業の勤務経験のある方 |
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自身のスキルと経験について回想し、リストアップすることで、それらが保育士としての仕事にどのように活かせるのか、面接時においてどのようにアピールできるのかが自ずと見えてきます。
希望する働き方を決める
保育士への転職・復職・就職を検討する40代の方が理想の職場で働くためには、まず自分がどのような働き方を求めているかを明確にすることが重要です。
保育園では正社員だけでなく、アルバイト・パートなどさまざまな雇用形態で働くことができます。加えて、給与額や勤務時間、休日なども、園によって異なることが特徴です。
保育士として働き始めたあとの家庭での過ごし方も想像しながら、自分にとって理想の働き方ができる保育園の条件を整理しましょう。
まとめ
40代からの正社員就職・転職は一般的にハードルが高まるとされていますが、保育士不足による待機児童問題が浮き彫りとなっている近年、人手を欲しがる保育園は多く、40代から働き始める保育士も決して珍しくありません。
また、たとえ保育士資格を取得していなくても、「保育補助」として活躍することも可能です。保育補助でパート勤務をしながら保育士資格取得を目指す40代の方も存在します。
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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています