「保育園は子どもをもつ誰もが利用できる施設ではない」ということは、多くの方がすでに知っている当然の知識です。しかし、扶養内でパートとして働いている場合、保育園に問題なく子どもを入れられるか分からないという方も多くいるのではないでしょうか。
結論から言えば、扶養内の勤務でも子どもを保育園に入れることは可能です。しかし、地域や同時期に入園する他の家庭の就労状況によっては利用できない可能性もあるため、事前にあらゆる情報をおさえておくことが大切と言えるでしょう。
そこで今回は、扶養内の勤務でも子どもを保育園に入れるために必要なことやポイントを紹介したのち、保育園への入園の流れも詳しく紹介します。小さな子どもをもつ親御さんは、ぜひ当記事をお役立てください。
目次
扶養内の勤務でも保育園に入れる?
保育園(認可保育園)は、さまざまな理由で自宅での保育が困難となった家庭のために、代わりに保育を提供するという施設です。「正社員やフルタイムで勤務している人しか利用できない」というイメージを抱く方も少なからず存在しますが、実は扶養内で働くパート主婦の方でも子どもを保育園に預ける権利は十分にあります。扶養内勤務のみならず、求職中や出産前後、家族の介護や病気療養なども、子どもを保育園に入れる立派な理由となるでしょう。
このように、保育園を利用する上で勤務形態は関係ありません。このように、保育園を利用する上で勤務形態は関係ありません。保育を必要とする理由や保育の必要量に応じて、決定されます。
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※保育を必要とする事由が就労の場合、「保育短時間」利用が可能となる保護者の就労時間の下限は、1ヶ月当たり48〜64時間の範囲で、市町村が定めることとなります。
(引用:内閣府「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK平成28年4月改訂版」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/event/publicity/pdf/naruhodo_book_2804/a4_print.pdf )
認可保育園の入園には「点数」が必要
認可保育園は、厚国から認可を受けて厚生労働省が管轄する児童福祉施設であり、入園にあたって保育を必要とする事由が問われることが特徴です。この保育を必要とする事由に絡む家庭の就労状況は、保育の必要性としてポイント化され、最終的に割り出された点数・指数によって入園の優先順位が決定されます。
下記に、認可保育園に入るために必要な各点数(指数)の概要をそれぞれ紹介します。
●基準指数
基準指数は、家庭の就労状況や健康状態といった基本情報を計算し、ポイント化した点数のことです。
- 母親・父親の就労状況(勤務日数・時間)
- 疾患・障がい・妊娠(出産)の有無
- 介護が必要な家族の有無 など
●調整指数
調整指数は、家庭状況に応じて加点・減点の調整をする点数のことです。
- 兄弟姉妹の有無(加点)
- 保育可能な同居家族の有無(減点)
- ベビーシッター・認可外保育園の利用有無(加点) など
●優先順位
認可保育園の入園における優先順位とは、同一指数の希望者があった場合の、入園できる家庭を決定するための順位付けの基準を指します。
- 地域の居住歴(長いほど優先順位が高まる)
- 世帯の給与所得(低いほど優先順位が高まる)
- 兄弟姉妹の入園状況(同じ園に在園しているほうが優先順位が高まる) など
認可保育園と認可外保育園の保育料
認可保育園は国や自治体からの補助を受けているため、保育料の負担が軽いことが特徴です。認可保育園の保育料は、「住民税の所得割額」「自治体ごとの保育料設定」「兄弟姉妹の人数」「保育時間」によって異なります。
一方で、認可外保育園は世帯年収が関係せず、各保育園が定めた金額を保育料として支払わなければならないため、認可保育園よりも負担がかかるケースがほとんどです。一部地域では認可外保育園にも補助金があり、そのような場合は認可保育園より安くなる可能性も少なからずあります。
(出典:内閣府「幼児教育・保育の無償化概要」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/gaiyou.html#nintei ))
パートでも子どもを保育園に入れるポイント
扶養範囲内の勤務で認可保育園に子どもを預けたい場合、保育園選考の点数には気を付ける必要があります。また、他にも扶養内の勤務で子どもを保育園に入れるためには、いくつかポイントがあります。
ここでは、パート勤務でも子どもをしっかり保育園に入れるためのポイントを、それぞれ詳しく説明します。
認可保育園の場合は点数を意識する
扶養内で働く方が子どもを認可保育園に預けたい場合は、入園の優先順位が決定する点数を高めることがポイントです。
認可保育園が点数を決めるにあたって最も重視する点は、雇用形態・仕事内容・世帯収入額などではなく就業時間となります。したがって、在宅ワークでも子どもを保育園に預けることは可能です。労働日数・時間に余裕のある場合は、シフトを増やす・1日の労働時間を延ばすなどをするとよいでしょう。このとき、扶養外とならないよう注意が必要です。
また、認可保育園では認可外保育園やベビーシッター利用の実績も点数アップの要因となります。勤務時間を大きく延ばすことができない場合は、認可外保育園やベビーシッターを利用するのもよいでしょう。
認可外保育園に入れる
扶養内で働きながら、子どもを保育園に預けたいという場合は、認可保育園に限らず認可外保育園も候補に入れることをおすすめします。
認可外保育園は、認可保育園よりも保育料の負担が大きくなるものの、基準が緩いために保育が必要な事由が問われないことや、比較的簡単に申し込みできる点が魅力です。子どもも安心して過ごせる小規模でアットホームな雰囲気の園も多くあり、園によっては独自の保育方針を打ち出していることもあります。
0歳児から保育園に入れる
園の決まりや方針によっても異なるものの、保育園は基本的に0歳から小学校就学前の5歳児が対象となっており、0歳児でも問題なく預かってもらえます。
加えて、0歳の4月は競争率が低く、保育園に最も入りやすいタイミングとされているため、なるべく確実に保育園に子どもを預けたいという場合は0歳児の時点で入園させるとよいでしょう。
また、0歳の次に保育園に預けやすい年齢は3歳です。3歳児クラスとなると、定員数・受け入れ人数が大きくアップすることが主な理由として挙げられます。
保育園への入園の流れ
子どもを保育園に入れるための保護者の活動を「保活」と言い、待機児童の多い自治体では入念な保活で事前準備をする必要があります。中には、妊娠中の時点で保育園の見学に訪れ、出産後に備えて準備する方もいます。
保育園に子どもをスムーズに預けるためには、入園への流れを知って、希望する保育園に預けられるよう準備することが重要です。最後に、保育園への入園の流れを順に紹介します。
保育園の見学
入園準備にまず欠かせないのが、保育園の見学です。実際に保育園を訪れて見学することで、園内の雰囲気や送迎時の道路状況など、細かな部分も確認しておくことができます。
保育園見学は、年間を通して行えるものの、毎年10月~12月に翌年度の入園申し込みが始まるため、それまでに気になるいくつかの保育園見学(2~5園程度)を済ませておくとよいでしょう。
保育園の見学を申し込むときは、なるべく子どもたちが元気いっぱい遊んでいる午前中がおすすめです。また、夫婦や子連れで見学に参加したい場合、あらかじめ電話で確認しておきましょう。
入園の申し込み
保育園の見学が終わり、入園したい保育園をいくつか絞り込んだら、いざ入園の申し込みを行いましょう。申込書には第一候補から希望順に複数の保育園を記入できるため、1つに絞り込む必要はありませんが、候補順は決めておくことが望ましいです。
認可保育園に4月入園を希望する場合は、毎年10月~12月ごろに役所にて入園申請を行います。なお、申し込みを受け付けている保育園であれば、年度途中の申し込みも可能です。年度途中の申し込みの場合は、希望利用月の1か月~2か月前に行いましょう。
入園申し込みの際は、利用申込書・家庭状況申告書などの定められた書類一式を準備し、自治体・保育園に提出しなければなりません。。必要書類によっては、関係機関や職場に作成を依頼する必要があるため、あらかじめ何が必要なのかを把握しておきましょう。
面談
入園申し込みが通ったら、希望を出した保育園に訪れて親子面談を行います。認可保育園の入園前面談は合否を決めるための面談ではなく、子どもがスムーズに園環境に馴染めるよう、日頃の子どもの様子や健康状態・アレルギーの有無、万が一の際の緊急連絡先といった情報を・共有確認するための面談です。
従って、スーツなどのフォーマルな服装で行く必要はありません。しかし、カジュアルすぎる服装は浮いてしまう可能性があるため、親子ともに清潔感のある服装・社会人としてマナーある服装を心がけるようにしましょう。
また、面談は入園前に先生とじっくり話せるよい機会となるため、保育園に通う際の持ち物やその他準備しておくべきものなどを聞くだけでなく、伝えておきたい事情があれば詳細に伝えておくこともおすすめです。
入園内定通知
入園前面談が終わった後は、保育園が各家庭の入園合否を独自に決定します。入園が決まった場合は、入園内定通知書が自宅に郵送されます。なお、入園前面談は入園内定通知が届いた後に行うケースもあります。
入園内定通知が届いたら、まずは入園手続きを行いましょう。入園手続きでは、子どもの健康診断・説明会・面接などを行います。説明会では必要な準備物について説明を受けるため、すぐに準備するようにしましょう。
加えて、勤務先への復帰報告も忘れてはなりません。4月入園の場合、入園当初は慣らし保育を行うため、やや余裕をもって職場復帰・就職・転職の日程を決めることがポイントです。
また、入園内定通知が届かなかった、つまり保育園に落ちてしまった場合は、2次募集の応募がないかを確認しましょう。育休を延長できないなどの理由で、どうしても子どもを保育園に預けて職場復帰をしなければならないという場合は、認可外保育園への入園・ベビーシッターの利用が確実です。
まとめ
保育園(認可保育園)はフルタイム勤務の共働き家庭しか利用できないと考える方も多くいますが、扶養内で働く方でも就労時間が月48~64時間を超えていれば、保育園を利用する権利はあります。
扶養内のパート勤務でも子どもを預けるためには、「選考順位が決まる点数をアップさせる・認可外保育園を利用する・競争率の低い0歳児から預ける」がポイントです。
子どもを保育園に入れるための活動である「保活」は、やるべきことが多く大変な時期となりますが、あらかじめ必要な知識を習得することで、比較的スムーズに入園準備を進められるでしょう。ここまでの内容を参考に、ぜひ効率よく保活を進めてみてはいかがでしょうか。
※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています