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昨今の保育園は社会福祉法人や株式会社、学校法人などさまざまな団体が運営しています。保育園の本社勤務は、保育園を展開する企業の本社で働くことです。職種によっては保育園や子どもに関わりながら、企業内でキャリアアップが目指せます。

当記事では、保育園の本社勤務の仕事内容や本社勤務で求められる能力、本社勤務のメリットとデメリットについて解説します。保育士の資格を生かしながら、企業で働きたいという保育士の方は、ぜひ参考にしてください。

保育園の本社勤務とは?

保育園業界には複数の保育園を地域や全国で展開している企業があります。保育園を展開する企業において、保育園を円滑に運営するためのサポート業務を担う中軸が本社です。

本社では事務や人事、営業など一般企業と同様の業務に加え、保育園を運営する企業ならではのさまざまな業務が行われています。具体的には、保育園の品質管理者や運営に関わるマネージャー、保育園の運営管理をサポートするスーパーバイザーなどです。

以下では本社勤務の詳細について説明します。

本社勤務には保育士資格が必要?

本社勤務の場合、保育士資格の有無を問わず働ける場合もあります。保育園に直接関わる職種と、一般企業と同様の職種とでは仕事内容が大きく異なります。そのため、希望する職種によって保育士資格の要不要も異なります。

スーパーバイザーのように保育園と直接連絡を取り合ったり、業務を進めたりする職種には、保育士資格が必要な可能性が高いでしょう。スーパーバイザーは保育士資格の保有を必須条件としていない求人でも、保育士資格や保育士経験があると歓迎・優遇される傾向にある職種です。

一方、本社勤務で事務や人事、営業など企業運営に関わる職種については保育士資格が不要の場合があります。ExcelやWord、PowerPointなどを使う機会が多いため、基本的なPCスキルが求められます。

自分が就きたい職種に応じて資格を取得したり、スキルを磨いたりすることが大切です。

本社勤務で求められること

本社勤務で求められることは、担当する業務によって決まります。また、新卒者か、就業経験がある転職者かによっても求められることは異なります。

ただし、本社勤務ではさまざまな職種の人々と関わって仕事を進めるため、担当する業務や経歴に関わらず、対人的な能力やスキルが大事です。

仕事で求められる対人的な能力やスキルはさまざまあります。たとえば、人とスムーズに意思疎通ができるコミュニケーションスキルや、分からないことを尋ねて明らかにする質問力、相手の話をじっくりと聞く傾聴力などです。

本社勤務には目標設定や管理力、タスク管理力といった業務遂行能力も求められます。関わる仕事やプロジェクトの見通しを総合的に立て、効率的に遂行する能力を持つことが重要です。

保育園の本社勤務の仕事内容

保育施設を運営する企業での本社業務は多岐にわたります。事務や人事、営業などの総合職、運営する保育施設と密接に関わる保育施設運営・サポート職といった業務などです。

ここでは、「総合職保育士」「スーパーバイザー」「総合職」の3つを取り上げ、それぞれの仕事内容について解説します。

総合職保育士

総合職保育士として採用されると、保育園で通常の保育業務に携わるだけでなく、本社で事務や人事といった業務にも就く可能性があります。最初は保育現場で働きながら、将来的に保育園の園長や主任保育士などの管理職に就くか、本社スタッフになるかを選択できることが多いようです。

総合職保育士としての働き方は企業によって異なります。入社して2年間は保育業務に就き、3年目から本社で総合職に就く場合や、入社して2年間のうちに保育業務と総合職に並行して関わる場合などさまざまです。

なお総合職保育士は、保育園の勤務地が選べなかったり、転勤や移動が多かったり、配属された地域によって給与などの待遇に差が出たりするといったケースもあるので求人情報をよく確認しましょう。

スーパーバイザー

スーパーバイザーは、保育園の運営を円滑に進めるためにさまざまな業務を担います。具体的な仕事内容は次の通りです。

                                         
●園長や保育士の業務サポート
複数の保育園を受け持ち、訪問や電話、Webミーティングを定期的に行い、園長や保育主任、保育士たちをサポートする。
●行政による監査対応
運営基準の確認、行政上の必要書類の作成や確認といった事務的な作業を行う。
●保育園のヘルプ
担当する保育園で人員が足りなくなった場合などにヘルプで入る。子どもたちと関わる仕事を任されることもあるため、保育士資格の有資格者には有利となる。
●開園準備
保育園を新設する際、内装のレイアウトや必要な遊具などの選定に携わる。
●保育士の採用面接
新たに保育士が必要な保育園のために、採用の案内や面接といった人事の業務を行う。
●保育園と本社の架け橋
現場の保育園と本社との架け橋となり、互いの意思疎通を助けるとともに職場の環境改善や問題解決などを行う。

総合職

保育園を運営する企業における総合職の仕事内容は、一般企業の総合職と大きく変わりません。営業や経理など、企業経営をするために必要な職種がさまざま含まれます。

主な職種とそれぞれの仕事内容は次の通りです。

                           
●営業
営業は、自社の商品やサービスの売り込み・見積・契約の締結・納品・アフターフォローといった業務を担う。営業の中にも新規営業やルート営業などの種類がある。
●経理
経理は、企業経営における金の流れを正確に把握し管理する。日々の売上および仕入の会計処理・口座管理・決算処理・給与振込・監査対応などを行う。
●事務
事務は、書類の作成・ファイリング・データ入力・郵便物の処理・電話対応などのデスクワークを担う。事務の中には一般・営業・OA・人事・労務などさまざまな種類がある。
●人事・労務
人事・労務は、従業員に関わる業務に携わる職種である。人事と労務とでは仕事内容が異なり、人事は人員採用・教育研修・評価などを行い、労務は給与計算・社会保険の手続き・福利厚生業務・勤怠管理・入退社の手続きなどを担う。

上記で紹介した職種のほかにも、企業によっては企画や広告、マーケティングやエンジニアといった職種があります。

保育園の本社勤務のメリットとデメリット

本社勤務には、保育園での勤務とは異なるメリットとデメリットがあります。

●メリット

             
●保育士の資格と経験を生かせる
・保育士資格を有している場合は、給与面で優遇される可能性がある。
・総合職保育士になれば保育園での勤務経験を生かせるだけでなく、キャリアアップして主任や園長への道も開ける。
・保育園の運営管理や人事の採用において保育士の経験が役立つ。
●仕事とプライベートのバランスが取りやすい
・保育士は保育園の行事やイベントなどで土日祝日に出勤することがあるが、本社勤務の場合は平日の出勤のみとなる可能性が高い。
・勤務時間とプライベートの時間ではっきりと区別できるため、生活リズムを調整しやすい。

●デメリット

             
●職種によっては子どもと触れ合えない
・基本的に本社で仕事をするため、保育園に足を運ぶことはあっても保育業務を行う機会が少なく、子どもとあまり触れ合えない可能性がある。
●部署異動や転勤がある
・総合職保育士はさまざまな施設に配属されることが一般的であるため、一か所に長期間勤務する機会は少なくなる。
・本社スタッフを対象に、担当エリアの変更や部署異動が定期または非定期に行われる可能性がある。

まとめ

保育園の本社勤務とは、保育園を複数展開する企業の本社で働くことです。本社勤務は一般的に、企業を運営する事務や人事、営業などの総合職と、展開する保育園の運営をする、スーパーバイザーや総合職保育士などのサポート職に分かれます。

保育士の本社勤務は職種によって子どもと触れ合えず、部署異動や転勤の可能性があります。しかし、仕事とプライベートのバランスが取りやすく、保育士の知識や経験を生かしてキャリアアップも目指せる働き方です。

※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています