働き方が見直され、在宅勤務という働き方が確立されはじめています。子どもをもつ在宅勤務の人の中には、在宅勤務でも保育園に入園できるのか不安な人もいるでしょう。在宅勤務でも保育園に入園することができます。しかし、入園できるかは自治体の保育の必要度を表す点数の基準により異なります。
当記事では、在宅勤務でも保育園に入園できるのか、在宅勤務の人が入園に必要な書類や在宅勤務が保育園にバレるのかなどを解説します。在宅勤務で子どもが保育園に入園できるか不安を感じている人は、ぜひご一読ください。
目次
在宅勤務でも保育園に入園は可能?
在宅勤務であっても、子どもを認可保育園に入れることは可能です。ただし、母子家庭や共働き家庭から優先的に保育園に入園が決まる傾向があるため、入園しやすいとは言えません。待機児童が多い地域では自宅外勤務に比べて在宅勤務は入園の必要性が低いと判定されやすく、場合によっては子どもを預けられないこともあるでしょう。
昨今ではテレワークを導入する企業が増えたことで、在宅勤務で育児をする困難さが社会的に認知されはじめている状況です。内閣府も「居宅内の勤務と言っても必ずしも子どもの保育を行いやすいわけではない」として、利用調整の取り扱いに注意を促しています。地域によっては入園基準を見直す動きも出ているため、お住いの地域では入園基準がどうなっているか情報を集めて確かめましょう。
(出典:内閣府「多様な働き方に応じた保育所等の利用調整等に係る取扱いについて」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/office/pdf/s75.pdf )
週に何日在宅勤務だったら入園が不利になる?
在宅勤務をする人の中には「出勤中心で週2日だけ在宅勤務」「基本在宅勤務で週に1度だけ出勤」といった人もいるでしょう。週に何日在宅勤務すると入園審査で不利になるのかは、自治体によって異なります。
会社勤めでも自宅勤務が出社勤務より多い場合は、勤務場所は住居内扱いです。自治体によっては在宅で仕事をするなら子どもたちの自宅保育も可能とみなし、利用重要度が下がる場合があります。
入園基準を勤務場所に関係なく、「1か月に〇時間以上(1日〇時間以上かつ月に〇日以上)」といった就労時間や就労日数を判断の基準としている自治体もあります。会社員で在宅勤務が週に何日あれば入園にあたって不利になるかを知りたい場合は、自治体の要項や条件をよく確認することが必要です。
在宅勤務でも保育園に入園するには?
保育園に入れるかどうかを決めるのは「点数」です。点数とは各家庭の保育の必要度を数値化したもので、「基準指数」と「調整指数」の2つがあります。自治体では2つの点数に加えて優先順位も考慮し、入園の可否を判断しています。
基準指数 |
・保護者の状況を点数化したもの
・保護者の就労状況や病気の有無、介護・看護の必要な家族の有無などにより加点・減点される |
---|---|
調整指数 |
・家庭環境を点数化したもの
・兄弟姉妹の有無や同居している保育可能な親族の有無などにより加点・減点される |
優先順位 |
・点数が同じ世帯が複数あったとき、入園できる世帯を決める順位を決める基準
・在園する兄弟姉妹がいるなら優先順位が上がり、同居中の祖父母がいるなら下がるなど |
どの状況にどれくらいの点数を付けるかは、自治体によって異なります。各自治体ではホームページで点数データを公表していることが多いため、まずは入りたい保育園がある自治体の基準を確かめましょう。直接窓口に問い合わせるのもよいでしょう。
在宅勤務により点数が低いときの対処法
在宅勤務で点数が低くなってしまう場合は、少しでも点数が上がるように対策をしましょう。点数が低いときの対処法には、以下のような方法があります。
-
●認可外保育施設に一時的に預ける
●日常的にベビーシッターサービスを利用する
●新設の保育園に入園を希望する
子どもを認可外保育施設に預けたり、ベビーシッターを利用したりなどの実績があると、保育の必要度が高いとして加点対象になる自治体があります。新設の保育園は在園児がいないため、進級によってクラスの定員枠が埋まることがありません。定員まで募集するためほかの園に比べて受け入れ人数が多く、入りやすくなります。
在宅勤務の方が入園に必要な必要書類
自治体窓口では、保育の入園の申し込みに必要な申込書や同意書などが受け取れます。保育が必要な状況であることを証明する書類も必要です。
提出する書類は、保育の状況に応じて下記のような書類が必要となります。
保護者の状況 | 必要書類 |
---|---|
就労中 | 就労証明書 |
就学中・技能習得中 | 就学等証明書や在学証明書など |
出産を予定している | 母子手帳の写し |
病気の治療・療養中 | 疾病・障がい状況申告書や医師の診断書 |
障害がある | 疾病・障がい状況申告書や障害者手帳の写し |
介護中 | 介護・看護状況申告書 |
ひとり親家庭 | 戸籍謄本など |
(出典:大阪市「令和5年度 保育施設・保育事業利用の案内について」/ https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000574018.html )
(出典:荒川区「保育園入園申込みに必要な書類」/ https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a037/kosodate/hoikuen/shorui.html )
在宅勤務者の就労証明書の書き方
入園の申し込みをする場合は、就労証明書の提出が不可欠です。就労証明書の用紙は、自治体の保育課窓口や入園を希望する保育園で手に入ります。総務省のマイナポータルを使うと、希望する園がある自治体の様式に合った就労証明書が簡単に見つかります。
(出典:総務省「手続の検索・電子申請(ぴったりサービス)就労証明書作成コーナー」/ https://app.oss.myna.go.jp/Application/wrkCert/search )
就労証明書には大まかに仕事の内容、就労日や就労時間、給与(収入)について書く欄があります。勤めている場合は、勤務先の担当者が記入します。就労証明書には提出期限があるので、早めにお願いするようにしましょう。
自営業や個人事業主・フリーランスの場合、提出するのは就労証明書ではなく就労状況申告書です。記入項目には大まかに業種や業務内容、事業形態、就労日数や時間などがあり、自分で記入します。就労状況申告書のほかに、就労実績が分かる請負契約書や開業届などの書類、収入を把握するための確定申告書などの提出も求められます。
在宅勤務は保育園にバレる?
子どもが入園した後で、勤め先はそのままで在宅勤務に変わることがあります。園に黙っていてもバレるのか気になる人もいるでしょう。結論から言うと、さまざまな理由から在宅勤務であることがバレる可能性があります。
在宅勤務であることがバレるのは、下記のような理由です。
-
●子どもの発熱などで、保育園から職場に緊急連絡が入った
●子どもが保育園で「お母さんはお家で仕事している」と言った
●保育園に子どもを送ったときと、お迎えに来たときで服装が違う
●在宅勤務であることを知ったほかの保護者が保育士に話した
在宅勤務でも働いていることに変わりはありません。就労証明書の内容に虚偽がなければ問題になることはないでしょう。ただし、保育園によっては「在宅勤務なら、通勤時間の分早くお迎えに来てほしい」と言われる可能性があります。
在宅勤務で子どもを保育園に預けるメリット・デメリット
在宅勤務は働く場所が自宅になるというだけで、仕事内容は会社に出勤したときと変わりません。そのため、在宅勤務といっても自宅で子どもの面倒をみることは難しいでしょう。
保育園に子どもを預けられれば、自宅で集中して仕事ができるなどたくさんのメリットがあります。一方で、自治体によっては在宅勤務が保育園入園に不利となるデメリットも存在します。
ここでは、在宅勤務で子どもを預けることで具体的にどのようなメリット・デメリットがあるかを見ていきましょう。
在宅勤務で子どもを保育園に預けるメリット
在宅勤務で子どもを保育園に入れることで得られるメリットとしては、主に下記の3点が挙げられます。
-
●通勤時間がかからず、通勤時間分を子育てや家事にあてられる
●保育園にいる子どもが体調を崩したとき、連絡を受けてすぐにお迎えに行ける
●会社で病気をもらうなど、子どもに病気をうつすリスクが軽減する
自宅で働けば、通勤時間は発生しません。在宅勤務では通勤にかかっていた時間を育児や家事、プライベートな時間などにあてることが可能です。状況にもよりますが、保育園に預けている子どもが体調を崩したとき、すぐに迎えに行けることもメリットと言えるでしょう。
出社しないことでほかの社員と接する機会が大きく減り、感染症の社内感染リスクが下がります。親が病気になる可能性が減ることで、子どもへの感染リスクも低くなります。子どもが病気になった場合も、在宅勤務であればほかの社員に病気をうつす心配がありません。
在宅勤務で子どもを保育園に預けるデメリット
保育園によっては、在宅勤務のためにデメリットが生じるケースもあります。たとえば、下記のようなケースです。
-
●保育園入園に必要な点数が低くなることがある
●保育園から、通勤がない分、早く迎えに来てほしいと言われることがある
自治体によっては「在宅勤務」が入園の審査基準に影響し、点数が低くなるケースがあります。通勤や準備に時間がかからない分、保育園から「帰りは早く迎えに来てほしい」とお願いされることがあります。
まとめ
在宅勤務でも子どもを保育園に入れることは可能です。しかし、自治体によっては保育の必要性が低いと判定される可能性もあります。まずは入園したい保育園がある自治体の入園基準や、保育の必要度を表す点数の基準がどのようになっているかを確認しましょう。
在宅勤務は仕事場が自宅なだけで、仕事内容は出社時と変わりません。保育園に在宅勤務であることがバレても、就労証明書の内容に虚偽がなければ問題となることはないでしょう。
※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています