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幼稚園教諭に限らず、給料は額面と手取りで金額に違いがあります。手取りは額面から所得税・住民税・健康保険料などを控除した金額のことで、額面の80%程度の金額になることが多いでしょう。幼稚園教諭の給料は経験年数・年齢・私立か公立かによっても異なるので、まずは条件ごとの平均月収・年収を把握した上で手取りを考えることが重要です。

当記事では、幼稚園教諭の平均給料を、年齢や経験年数、私立・公立による違いを踏まえ額面・手取りに分けて徹底解説します。幼稚園教諭は額面・手取り額でどの程度もらえるのか、一般的な給料水準を知りたい方はぜひご覧ください。

幼稚園教諭の給料は手取りでどのくらい?

幼稚園教諭とは幼稚園に勤務し、3歳から小学校入学前までの子どもを教育する仕事です。幼稚園教諭の仕事内容は勤務する幼稚園によって異なるものの、多くの場合は、幼稚園教育要領に基づく保育・子どもの健康管理・保護者の方への連絡などを担当します。

幼稚園教諭の給料は手取りと額面のいずれで考えるかによって異なるため、用語の違いを理解しておきましょう。

給料の手取り・額面とは

給料の手取り・額面の意味はそれぞれ、以下の通りです。

額面 額面とは基本給・通勤手当・残業手当など雇用主から支払われる金銭のすべてを合計した金額にあたり、給料明細の「総支給額」欄に記載されます。
手取り 手取りとは額面から所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料などをすべて控除し、雇用主から実際に渡される金銭のことを指します。手取り額は額面の80%程度の金額になることが多く、給料明細の「差引支給額」欄で確認が可能です。

就職・転職サイトの給料は通常、額面で記載されます。幼稚園教諭として就職・転職した後の手取り額は、記載された数値よりも低い金額になることに注意しましょう。

幼稚園教諭の給料・手取りを詳しく解説!

幼稚園教諭の給料水準は、年齢・経験年数・公立と私立のいずれで働くかに応じて変化します。以下では、幼稚園教諭の平均年収や月収、初任給などさまざまな観点から給料・手取りを解説します。幼稚園教諭の給料水準・手取りについて知りたい方はぜひご覧ください。

幼稚園教諭の平均年収・月収

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2022年度時点における幼稚園教諭の平均年収・月収は下表の通りです。

【2022年度:幼稚園教諭の平均年収・月収】
年収 約399万円手取り:約319.2万円
月収 約26.7万円手取り:約21.3万円
賞与 約78.6万円手取り:約62.8万円

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

正社員の幼稚園教諭として働く場合は約5.4万円を給料から控除されることが多く、1か月あたりの手取り額は約21.3万円が相場です。約62.8万円の年間賞与を考慮すると1年あたりの手取り額は、約319.2万円が相場でしょう。

幼稚園教諭の初任給

幼稚園教諭免許は所定の短大・専門学校・4年制大学などの教職課程を卒業と同時に取得でき、20〜24歳で初めて就職する人が目立ちます。下表は、20〜24歳の幼稚園教諭の平均月収・年収です。

【2022年度:幼稚園教諭(20〜24歳)の平均月収・年収】
経験年数 月収 年収(賞与込み)
0年 約21万円手取り:約16.8万円 約260万円手取り:約208万円
1~4年 約22万円手取り:約17.6万円 約332万円手取り:約265.6万円

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

幼稚園教諭の平均初任給は最終学歴や地域によって変化するものの、1年間の手取りで約208万円が相場です。しかし、初めて就職した職場に約1〜4年勤務すれば賞与が高くなることで1年あたりの手取り額は増加し、約265万円を超える可能性が高いでしょう。

年齢による給料の違い

幼稚園教諭の給料水準は年齢が上がるにつれて、下表の通りに変化します。

【2022年度:幼稚園教諭の年齢別平均月収・年収】
年齢 所定内給与額(月収) 年間賞与その他特別給与額 年収
20~24歳 約21.9万円手取り:約17.5万円 約49.2万円手取り:約39.4万円 約312万円手取り:約249.6万円
25~29歳 約24.1万円手取り:約19.3万円 約74.5万円手取り:約59.6万円 約364万円手取り:約291.2万円
30~34歳 約25.7万円手取り:約20.6万円 約76.4万円手取り:約61.1万円 約386万円手取り:約308.8万円
35~39歳 約26.5万円手取り:約21.2万円 約78.2万円手取り:約62.6万円 約396万円手取り:約316.8万円
40~44歳 約28.1万円手取り:約22.5万円 約90.2万円手取り:約72.2万円 約428万円手取り:約342.4万円
45~49歳 約28.7万円手取り:約23万円 約91.5万円手取り:約73.2万円 約428万円手取り:約342.4万円
50~54歳 約29.3万円手取り:約23.4万円 約89.1万円手取り:約71.3万円 約441万円手取り:約352.8万円
55~59歳 約31万円手取り:約24.8万円 約108.5万円手取り:約86.8万円 約481万円手取り:約384.8万円
60~64歳 約33万円手取り:約26.4万円 約116.9万円手取り:約93.5万円 約513万円手取り:約410.4万円
65~69歳 約32.8万円手取り:約26.2万円 約109.8万円手取り:約87.8万円 約504万円手取り:約403.2万円
70歳~ 約39.5万円手取り:約31.6万円 約142.8万円手取り:約114.2万円 約617万円手取り:約493.6万円

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

大まかな目安として30代後半や40代以降には、全年代の平均年収を超える給料を得られる可能性が高いでしょう。60代以降も働く幼稚園教諭は園長など責任ある役職に就いている傾向があり、額面で500万円以上の給料を狙うことも可能です。

私立・公立による給料の違い

学校法人などが運営する「私立幼稚園」と自治体などが運営する「公立幼稚園」では母体が異なることから幼稚園教諭の待遇にも、下表の通りの差がつきます。

【2019年度:私立・公立ごとの幼稚園教諭の平均月収】
平均勤続年数 月収(賞与込み)
私立 7.8年 約28.7万円手取り:約22.9万円
公立 11.1年 約37.8万円手取り:約30.2万円

(出典:内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/pdf/chousa/kekka.pdf

公立幼稚園の幼稚園教諭は公務員として扱われ、充実した福利厚生を受けることが可能です。そのため、公立幼稚園の幼稚園教諭は比較的勤続年数が長く、私立の平均月収を上回ることもあります。もちろん、私立幼稚園の中にも福利厚生が充実している職場はあるため同じ職場で努力して勤続年数を上げれば、経験やスキルに応じた月収アップも狙えるでしょう。

幼稚園教諭の年収を効率よく上げる方法

政府は2022年2月から「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」として、幼稚園教諭の給料を月額9千円引き上げるための費用を補助しています。

(出典:内閣府「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業のリーフレット」/ https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/r031223/leaf.pdf

政府による賃上げの実施により、幼稚園教諭や保育士などの給料は改善傾向にあると言えるでしょう。

幼稚園教諭として働きながら年収を上げるには、以下の方法も効果的です。

  • 勤続年数を上げる
  • 役職者へのステップアップを狙う
  • キャリアアップ研修を受講する

現在の職場でステップアップを狙うことが難しい場合は待遇のより良い職場への転職を検討すると、効率よく年収を上げられるケースもあります。幼稚園教諭の経験年数が10年以上の場合は園長の求人を探し、大幅な年収アップを狙うのもよいでしょう。

その他、一部の幼稚園では「リトミック指導員」「絵本専門士」などの資格を取得すると、資格手当が支給されることもあります。資格手当が支給される職場では該当する資格の取得を目指すと年収アップを図れる上、幼稚園教諭としての専門性も高めることが可能です。

まとめ

幼稚園教諭の手取り額は、額面から所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料などを控除した、80%程度の金額になります。2022年度における幼稚園教諭の平均年収は約399万円で、手取り額は約319.2万円です。

幼稚園教諭の給料は勤続年数や年齢、私立・公立かによっても違いがあるため、平均月収・年収の額面・手取り額は変動します。幼稚園教諭として働きながら年収を効率よく上げるには、勤続年数を上げるほか、役職者へのステップアップを狙う方法などがあります。

※当記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています